Vol.4

"動かなければ、何も始まらない"北海道から首都圏へ支援者たちが連携し進出をサポート

東京都世田谷区三軒茶屋に2014年11月29日(土)~12月12日(金)の2週間、期間限定ショップ「Made in 北海道」がオープン。北海道の豊かな自然から生まれた豊富な素材を活かした商品が48品並びました。1ヵ月半と短い準備期間で企画から出品者募集、オープンまでまとめあげたのが、北海道よろず支援拠点でコーディネーターを務める中野 貴英さん。彼にこの施策の相談を行ったのは、北海道の地域活性化を担い、地域貢献策の一つとして道外に商品・サービスを推進していきたいと考える北海道新聞社。昨年ミラサポ事業を通じ出会った両者が、同じ目線、志で新しい中小企業・小規模事業者の支援に乗り出しました。

北海道のポテンシャルを考えれば、
もっとやれる

関西での金融機関、コンサルティング会社勤務を経て、8年前に「地元北海道のために活動したい。北海道のポテンシャルがあれば、もっといろいろなことが出来るはずだ」と思い、北海道へ戻った中野さん。2014年6月に開設された北海道よろず支援拠点では月に100件以上の経営相談を受け、多くの事業者からの「売上を上げたい」との相談にマーケティング視点で各社の強みをアドバイスするが、「実際に売る」という局面をもっとサポートしたいと思いがあった。販路拡大だけではなく、納得できる価格設定、手に取りたくなるパッケージの開発、北海道の魅力を活かしたブランドストーリーを一緒に作り上げ、購入者がどう反応するのか分析したい。これまで以上に積極的に相談者に関わりたいと思っているところに、この「Made in 北海道」の相談が持ちかけられた。

地域を元気に。活性化させる
- 地方新聞社の役割

地方新聞社は地域の課題を媒体社として世に伝えることはもちろんのこと、地域の企業や自治体をフォローし、地域の活性化に貢献する役割も持っている。北海道新聞にも地域の人々・企業を元気にすることで地域を発展させ、北海道全体を元気にするとのミッションがある。その対策の一つとして「北海道ブランド発信プロジェクト」を立ち上げた。首都圏で北海道をPRしていくことを目的に、長期の計画で北海道の中小企業の販路開拓、商品開発の手助けや道内の地方町村の首都圏プロモーションを手掛けることを目標としている。東京の拠点を活かし第1弾となる期間限定ショップ「Made in 北海道」の場所と期間は決めたが、実際にどうPRするのか、仕入先となる出品者をどう募るのか悩んだ時に、中野さんを訪ねた。

販路開拓の場ではなく「テストマーケティングの場」として展開

「北海道」のものはイベントを行えばある程度は売れるが、それでは持続性のある売上にはつながらない。そこで2週間と実施期間が短い今回の施策では「テストマーケティングの場を提供する」ことをコンセプトの中心に据え、アンケートの実施、出品者へのフィードバックを徹底することで、これまでの物産展との差異化を図った。出品者は約10日間の募集期間だったにもかかわらず、中野さんがサポートする事業者を中心に、食品、工芸品など「北海道らしい」48商品がエントリーされた。「自治体や金融機関など地域の支援機関の方にこの施策の話しをしたら、彼らが支援を行っている事業者さんをどんどん紹介をしてくれました。みんな地域を元気にしたい思いは共通です。一人では出来なかったと思いますが、共感してくれた方々が私以上にこの施策のためにどんどん動いてくれました。人のつながりが本当に大切であると実感しています」。ショップへの来場者アンケートも想定以上に回収でき、購入者・非購入者の生の反応、意見も会話から集まった。これら大切なマーケティング資産の分析を進め、出品者が本施策に参加した目的でもある、フィードバックに力を入れ、各社の商品設計に活かしていく。

北海道と首都圏の温度差を肌で実感

無料の専門家派遣を利用し、地元産の食材にこだわった新商品「プレミアム 卵・焼きドーナツ ながぬまふ輪っと」を開発した森下松風庵。商品は北海道新聞でも記事となり、その縁で「Made in 北海道」に出品。取締役専務 森下由美子さんは「通常の物産展や百貨店だと競合商品がどうしても多いので、こういう場はありがたいです。地元では和菓子を中心に40種類ぐらいの商品を販売していて、すべてを首都圏で展開するのは難しいので、どういうものが消費者のニーズに合っているかを試すことができる機会は貴重です」と語る。自身も店頭に立ち試食販売を実践。「東京の人たちは意外と親しみやすく気軽に試食していただきました。けれどやっぱり買いものに対してはシビアですね。北海道なら、試食したらもう少し買ってくれるのですが」。北海道と首都圏の生活者の温度の差を肌で実感し、今後の展開に役立てていく。

消費者の生の反応が大変参考に

「当別青山産 ふきのピクルス」を生産している鶴巻アグリファームの鶴巻裕司さん。北海道よろず支援拠点で「Made in 北海道」のことを知り、当別町自慢の「とうべつBrandeli'」の認証も受けたこともあり、今年から生産を始めたばかりの「ふきのピクルス」を出品。「消費者の生の反応がわかるので大変参考になりますし、売れ行きが好調だとうれしく、励みにもなります。第2弾、第3弾があれば、どんどん参加したいです。ピクルスだけではなく新しい商品アイデアもあるので、どんどん試してみたいです」。

手に取ってもらう機会が、
新しいビジネスの可能性を拡げる

北海道産の鮭由来成分を配合した化粧品を出品したナチュラルケア株式会社 札幌営業所 所長 長谷川英司さん。「Made in 北海道」の近くにお住まいで、通信販売事業を行う方がショップでサンプル商品を手にしたことで、新しいビジネスが動き始めた。「少し売れれば、くらいのつもりで出品しましたが、ナチュラルケア美容ジェルを通信販売で扱ってみたいというお話をいただきました。展示会などに出すより有意義な結果になりました」。実際に試したことで実感した化粧品としての商品力。さらに通信販売で成功するためには「商品のストーリー」が命。北海道で生まれたナチュラルケアの商品にはそのストーリーがあり、魅力を感じていただけたとのこと。この「Made in 北海道」がBtoBビジネスの機会提供にもつながった。

隠し玉は多数。さらに北海道の事業者を道外、首都圏へ導く

北海道新聞の記事などで本施策を知った北海道の事業者は、さっそく問い合わせをしてきている。このような機会を作れば活用したいと思っている事業者は多数いる。「世の中のヒット商品も、狙ったところとは違うところでヒットしたものは少なくありません。実際に動いてみて、わかることはたくさんあります。北海道の中小企業・小規模事業者はそのような気付きを得る場が少ないと思っています。実際に首都圏へ進出するきっかけを作れば、ビジネスは動きます。このような機会を作ることの重要性を感じています」。中野さんの頭の中には、すでに第2弾、第3弾で首都圏進出をサポートしたい隠し玉がたくさんあるという。今後どのような「北海道らしい」商品、生産者を紹介してくれるのか。中野さん、そして彼の共感者の活動が楽しみである。

中野さんは語る

北海道がもっと進化できるよう、縁の下の力持ちになりたいのです。たぶんなれると信じています。北海道のために活動したいとの思いで地元に戻りましたが、よろず支援機関はそれが出来る場です。これからもさまざまな支援機関の方々と連携し、北海道を元気にしていきます。




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