Vol.5

"創業スクールを経て新事業を展開"協力者と共に お店そして塩竈のまちづくりに奮闘

2016年6月25日、宮城県塩竈市本町の神社下にある昔ながらの商店街に「渡辺果実店のジェラート ジェラテリア フルーツラボラトリー」がオープンした。店主は創業50年余の果実店後継者、渡邉 敬久さん(40歳)。創業スクール 第二創業コースを受講し、スクール講師や塩釜商工会議所、塩竈市役所、そして仲間たちのサポートを受けて、10年越しの思いを"カタチ"にした。

地域密着型の創業スクールだからこその展開

"果物の魅力を知ってもらいたい!"という思いから、長年にわたり商品開発を積極的に行うが、どうすればビジネスという"カタチ"にできるのか考えあぐねる中、創業スクール(塩釜商工会議所主催・塩竈市役所後援)の第二創業コース(業務転換や新事業・新分野への進出に特化したコース)を受講した渡邉 敬久さん。主催する塩釜商工会議所の経営指導員 星 裕介さんと講師である水上 洋介さんの親身なアドバイスを受け、ビジネスプラン「果物屋さんのジェラート」を練り上げた。「自分の視点と他人の視点は違う。間違いを含めてちゃんと指摘をしてくれるのが嬉しかった」と渡邉さんは振り返る。多くのビジネスプランをサポートしてきた水上さんから見ても、"強み"と"市場"をしっかりと捉えたビジネスアイディアに、数値根拠や環境分析などが反映され、実現性の高いビジネスプランに仕上がった。このビジネスプランは、中小企業庁主催の第2回全国創業スクール選手権でファイナリスト(8名)に選ばれ、その評価も寄与し日本公庫からの融資も決まった。創業スクール卒業後もコンセプトや理念の整理、店名やショルダーコピーの開発、ショップブランドカラーやロゴなどのブランド構築、チラシやカードなどツールの制作、オープニングレセプションの企画など、多岐にわたり星さんと水上さんのサポートは続いた。

まちづくりの仲間も全力サポート

「塩竈商人塾」や「しおがま本町 まちゼミ」といった、まちづくりや地域の活性化へ向けた活動を共にする塩竈市産業環境部商工港湾課の尾形 友規さんや本町通りまちづくり研究会(只野 敏雄会長・会員27名)のメンバーも渡邉さんを応援した。「本町通りまちづくり研究会では中心メンバーとして活動し、まちゼミでは講師もしてくれる。町のために尽力してくれるよっちゃん(渡邉さんの愛称)が新しい挑戦をするのだから、応援しないわけにはいかないよ」と、尾形さんは市報「広報しおがま」での紹介や記者クラブへのリリースを配布など、広報活動をサポートした。このような支援を市として行えたのも、塩竈市が後援をする創業スクールの卒業生だからであった。

一番厳しい協力者、家族

ジェラートのお店を始めると聞いたとき、信じてはいなかった奥様の由美さん。「工事が始まってお店が出来始めて、焦りを感じました。本気でやるんだな、引き返せないんだよなと」。今では"接客とスタッフの調和をとる係"として店主をサポートする。先輩経営者でもある母の良子さんは「いいところに目を付けたとは思うが、冬場は厳しい商売。"二兎を追う者は一兎をも得ず"と言うが、ぜひともこの果実店とジェラート店の双方で成果を上げてほしい」と、激励する。

伴走型支援が一つ目の壁を超える

オープニングレセプションには商工会議所や市役所の職員、創業スクールの講師、受講者、そして本町通りまちづくり研究会のメンバーをはじめ、地域の人々が多数来店した。「"みなさんのおかげでオープンできました"と涙ながらのスピーチを見たとき、経営指導員と会員事業者の関係ではありますが、人生をかけた取り組みに本当の伴走型支援ができたのだと、私までグッときました」と星さんは回想する。また、ともにオープンまでサポートを続けた水上さんは「オープンチラシやショップカード、各種POPなどのツール制作は、納品がかなりギリギリになってしまい、"間に合ってよかった..."が率直な感想です」と笑顔で振り返る。天候による影響を受けやすい商売ではあるが、オープン以来盛況なフルーツラボラトリー。本町通りまちづくり研究会会長の只野さんは「なかなか最初からあんなに人が集まるお店はない。本町通りまちづくり研究会への参加率が落ちたのは残念だけどね」と、優しい眼差しで後輩経営者を見守る。

さらに塩竈を盛り上げる!

水上さんは「これからも消費者の関心や季節の変動などにより、常に新しいことを考えていかなければならないと思います。そんな時も初心を忘れず、"果実店ならではのジェラート"のコンセプトをぶらさずに、"果実店だからこそできる"商品を開発し提供していければ、さらに強いブランドに発展できます」とエールを送る。「愛情かけて、果実店だからできるおいしいジェラートを作っているから、たくさんの方に食べていただきたい。"ジェラートと言えばフルーツ ラボラトリー"と言われるように、そして塩竈に来る用事が、フルーツ ラボラトリーに来ることとなるように、頑張っていきたい」と由美さんが語ると、「30代や私たち世代が事業を立ち上げて、塩竈そして本町通り商店街が盛り上がれれば嬉しい。自分たちだけが話題になっても、ダメなんですよ」と渡邉さん。店づくりも、まちづくりも、取り組みたいアイディアは尽きないという。今後も塩釜からクールな話題を次々と提供してくれることだろう。

渡邉さんは語る

始めないと何も変わらないと感じていましたし、挑戦してみないと結局何も変わりません。失敗したらまた頑張って、やり直せばいいのです。しっかりとした企画やアイディアをお持ちの方は、ぜひ創業を目指してほしいと思います。創業スクールの先生たちは、親身になって一緒に考えてくれますから。




すべての特集を見る