Vol.10 小規模基本法って何?

4月25日に閣議決定された「2014年版中小企業白書(以下、「白書」)」。全国の小規模事業者から顔写真を募集し、表紙に掲載するということでも話題になっていますが、今回は51年の白書の歴史上、最も厚い白書(約900ページ)ということでも話題になっています。それだけ気合いを入れて、今回の白書は作られたということですが、どのような内容に力を入れたのか、中小企業・小規模事業者の方がどのように経営に活かせるのか、という点について、中小企業庁事業環境部調査室 早田 豪室長にお話をうかがいました。

経営に役立つ情報が満載!2014年版中小企業白書

早田室長

ミラサポ事務局:先日閣議決定された白書について、概要を教えてください。

早田室長:中小企業庁から提出された基本法案としては51年ぶりに、「小規模企業振興基本法案」が閣議決定され、国会に提出されました。2014年は、中小企業政策のパラダイムシフトの年とも言えますし、また、全国の小規模事業者にとりましても、大きな転換期と言えるでしょう。

これまでは「中小企業・小規模事業者」の中でも、"成長・発展"を目指す事業者を主眼に置いた施策が中心でした。しかしながら、"成長・発展"を通じて日本経済を牽引できる事業者は現実的にも限られる上に、今後の日本経済においては、更なる人口減少や地方の過疎化など様々な経済・社会環境の変化が待ち構えています。そこで、"成長・発展"を目指す事業者のみならず、事業の "維持・充実"を目指す事業者の存在にも、もっと光を当てていくべきではないか、という問題意識が基本法案提出の出発点となりました。

"維持・充実"を目指すと言っても、人口減少によって市場が縮小する中で長期にわたって事業を継続していくということは並大抵のことではありません。今回の白書には、このような厳しい経営環境の中で、中小企業・小規模事業者がいかにして事業を"維持・充実"していくか、そのために必要な情報を余すところなく盛り込んでいます。

顔写真募集
2014年版は、中小企業・小規模事業者のみなさまが主役である、という想いから、全国の小規模企業経営者の方々の笑顔の顔写真を5月16日(金)※まで募集しています。経営者候補の後継者の方、起業希望者の方も応募可能です。応募いただいた顔写真は、全て掲載させていただくとともに、会社名や社長のお名前も巻末に掲載させていただきます。是非とも、皆様方から多くの応募をお待ちしております。

※全国の小規模企業経営者の方々の笑顔の顔写真の募集締切は、インタビュー当時は5月16日(金)でしたが、その後、6月13日(金)に延長されました。

地域に根付く中小企業・小規模事業者が主役の時代到来!成功事例を参考に

早田室長

ミラサポ事務局:2014年版白書のポイントを教えてください。

早田室長:今回は、"小規模事業者"と"地域"がキーワードです。大都市圏への人口流出や地方の過疎化などが取り沙汰される一方で、日本全国には新たな取り組みに積極的にチャレンジしている小規模事業者がたくさんいらっしゃいます。2014年版白書では、そんな具体的な成功事例をできる限り多く掲載しました。「田んぼ」という地方ならではの資産を活かして観光集客に成功した事例や、「高齢者の足を確保する」という社会課題の解決から企業価値を創造したタクシー会社の事例など、ものづくりに限らず、飲食店や旅館などのサービス業でも取り入れられる、知恵とアイディアにあふれた事例をご紹介しています。

また、人手や資金などの資源が限られている中小企業・小規模事業者にとっては、ITの活用も重要と言えるでしょう。今回の白書では、クラウドソーシング(外部の人員を必要な時に活用する仕組み)やクラウドファンディング(個人から直接出資を募る仕組み)についても取り上げ、わかりやすく説明しています。こうしたクラウド活用による事業活性化は、今後も拡大していくことが予想されていますので、具体的な活用事例を参考に、ご検討されるとよいかもしれません。

その他、中小企業・小規模事業者にとって重要な課題であるが、なかなか他者に相談することができない「事業承継・廃業」についての情報にも力を入れました。さらに「起業・創業」「海外展開」に関するデータなども昨年に引き続き掲載しています。
今回の白書は、非常に分厚いですが、章ごとにテーマが独立していますので、ご自身の課題やご関心に合わせて、気になったところから読んでみていただけると幸いです。

地方自治体と国との連携による多面的なバックアップが重要

早田室長

早田室長:日本全国の中小企業・小規模事業者にきちんと施策を届けていくためには、国と都道府県や市区町村との連携が不可欠です。実際の企業間取引では、自治体の垣根(いわゆる県境)を超えた取引が少なくないにもかかわらず、支援施策は自治体ごとに分かれていたり、情報が十分に行き届かなかったり、という課題が依然としてあります。このような中で、実際の企業間取引や産業別の実態に応じた、効果的な自治体間の政策連携や国・都道府県・市区町村の政策連携が必要となります。
そこで白書では、今後に向けて、いくつかの新しい仕組みやシステム開発を提言しています。たとえば、国や地方自治体をまたいで施策を比較・一覧できる「施策マップ」や、日本全国の企業間取引がどのように行われているのかを可視化できる「地域産業構造分析システム」の開発など、国と地方自治体が連携して中小企業・小規模事業者を把握し、支援できる仕組みです。特に、「地域産業構造分析システム」を活用することで、地域間取引の中核を担う「コネクターハブ企業(地域中核企業)」が明らかになり、そのような企業を支援していく、育てていくという支援の手法は、今後、地域産業政策における中心的な支援手法となる可能性があると考えています。

2014年版中小企業白書は、「小規模事業者への応援歌」という副題がついています。表紙の題字は、著名な女流書家・金澤翔子さんによるもので、「全国の中小企業・小規模事業者に元気を届けたい」という強い願いが込められています。 白書は、中小企業庁のホームページで公開するほか(リンクは下記)、6月には全国の書店に並ぶ予定です。また、政策に関する情報は入手先が明確でない、内容がわかりにくいといったお声もいただいております。先に述べた「施策マップ」やメルマガでの情報発信など、政策広報にも積極的に力を入れていきますので、是非ともご期待ください。

中小企業白書2014年版 顔写真募集はこちら

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