Vol.13 「知的財産経営」を始めませんか?

名前を聞いたことはあるが、実態がわかりづらい「知的財産(知財)」。そこで、中小企業・小規模事業者の代表として、ミラサポ事務局が特許庁の担当者に、知財の概要と活用ポイントをインタビューしました。5回シリーズでご紹介します。
今回は、特許庁 総務部普及支援課 家永 紫乃担当に、知財が保護する内容、活用メリットなどをうかがいます。

事業者の技術、製品を守る「知財」

知的財産権の種類

ミラサポ事務局:「知財」とは何かを教えてください。

家永担当:知財は、知的財産権とも呼ばれます。知的財産権は、人間の幅広い知的創造活動によって生み出されたものを、創作者の財産として、一定の期間保護する権利です。
知的財産権には大きく分けて、創作意欲の促進を目的とした「知的創造物についての権利」と、使用者の信用維持を目的とした「営業標識についての権利」があります。前者には、「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「著作権」、「回路配置利用権」、「育成者権」、「営業秘密」の7つが該当します。後者には、「商標権」、「商号」、「商品等表示、商品形態」の3つが該当します。
このうち、「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」、「商標権」の4つの権利を「産業財産権」と呼び、特許庁が管理しています。「産業財産権」は、昔は「工業所有権」と呼ばれていましたが、対象がものづくりからサービス分野などに拡がったこともあり呼称が変わっています。世の中で流通するものは、ほとんどの場合、産業財産権のいずれかに関連しています。

「特許権」と「実用新案権」は、新しい技術を保護するための権利です。違いとして、「実用新案権」が物の形状・構造に限った技術を扱うのに対し、「特許権」は、物の形状に限定されない、より高度な技術までを扱います。携帯電話を例に取ると、ボタンの形状を変えることで押し間違いを少なくする技術は「実用新案権」に該当し、電池の消耗を制御するプログラムなどの技術は「特許権」に当たります。「意匠権」はデザインを保護するための権利、「商標権」は企業のロゴなど商品・サービスを区別するために使用するマーク(文字、図形など)を保護するための権利です。
出願件数、登録件数ともに、「特許権」が最も多く、次いで「商標権」、「意匠権」が続き、「実用新案権」が最も少ない状況です。(2013年時点)

知的財産権の活用を考え相談したいと思っても、保護したい技術・製品が「産業財産権」に該当するかどうか分からない場合も多いと思います。特許庁では「産業財産権」以外も含め、経営の中で抱えるアイデア段階から事業展開までの知財に関する悩みやご相談をお受けしてワンストップサービスを提供する体制を取っております。電話、メール、お近くの窓口でみなさまのご要望に合ったご案内をさせていただきますので、是非「知財総合支援窓口」にお気軽にご相談ください。

知財活用が、ブランド力を向上させ、他社から企業を守る

家永担当

ミラサポ事務局:中小企業・小規模事業者が、知財を出願するとどんな良いことがありますか。

家永担当:一般的に、知財を出願するメリットとしては、自社の技術・製品の保護、他社を牽制するための手段になる、といったことが挙げられます。知的財産権を取得したからといって、すぐに売り上げが上がるなどの利益につながる訳ではありませんが、一定期間、市場の中で独占権を持って事業活動を行うことや模倣品を排除することが可能です。大企業の出願理由はこれに当てはまることが多いと思います。中小企業では、知財を取得することで、自社、対象製品などをブランド化し、対外的なアピール効果を得たり、自分たちがやっていることへの保証・自信をつけるというところもあります。それにより、社員のモチベーションアップにつながるといった間接的な効果もあるようです。

また、知財を出願していないことによる危険・リスクもあります。自社製品が、知的財産権を取得している他社の製品に抵触しているとされ、損害賠償請求を受けることは大いにあり得ることです。自社製品の販売停止を余儀なくされ、経営に痛手を負うケースもあります。警告を受けて慌てて相談される事業者の方は後を絶ちません。これまでそういったことが無かったからと高を括らず、改めてリスク回避の手段として、知財の出願を検討してみると良いと思います。中小企業などの知財活用事例集も公開していますので、是非参考にしてください。

どのように経営に知財を組み込んでいくかを考える「知的財産経営」の重要性が言われていますが、知的財産権の出願者数は、大企業が多く、中小企業・小規模事業者は少ないのが現状です。現在の中小企業の特許出願率は、約12%です。今後、多くの中小企業・小規模事業者の皆様に、知財の活用に踏み出していただければと思います。




すべての特集を見る