Vol.15 窓口で知的財産の出願アドバイス、専門家サポートを受けられます!

「知的財産(知財)」の概要と活用ポイントを特許庁の担当者へインタビューする、知財シリーズ第3弾。
今回は、特許庁 総務部普及支援課 家永 紫乃担当に、出願時の検討内容、「知財総合支援窓口」の平成26年度の強化ポイントなどをうかがいます。

知財は、1社1社オーダーメイド対応を

家永担当

ミラサポ事務局:知財の出願では、具体的にどのようなことを考えれば良いでしょうか。

家永担当:「出願有無の検討」、「出願」、「出願後の活用」、の3つについて考えると良いと思います。
「出願有無の検討」のところでは、出願対象が既に出願や権利化されていないかを調べる必要があります。例えば、特許権は、出願から1年6ヶ月経過後に一般公開されます。特許電子図書館(IPDL)では無料で先行技術の検索が可能です。検索が上手くいかないという方のために、「知財総合支援窓口」では検索方法のアドバイスも行っています。検索の結果、先行技術がある場合は出願を断念せざるを得ませんが、そのまま商品を販売してしまうと既に権利を取得している他社から警告を受け、莫大な損害賠償を支払わなければならないケースもあります。先行技術がある場合には、その後の商品戦略なども見直し、経営への悪影響を最小限に抑えるようにしましょう。
また、先行技術の該当がなかったとしても、本当に出願することが良いかどうかを考える必要があります。出願すると、内容がすべて公開され、他社に追随される可能性が高まります。製造方法のノウハウなどは、公開せずにブラックボックス管理した方が良いこともあります。また、製造プロセスを見ないと分からない場合には、オープンにしない方が良いことも考えられます。例えば、飲料メーカーなどは、ロゴやデザインは登録していますが、肝心の製法については登録していない場合もあります。ノウハウ管理をする場合には、他の方が出願した場合に備えて、タイムスタンプなど先使用している証拠を残しておくことが大事なケースもありますので、「知財総合支援窓口」では状況に合わせた対策をご紹介します。
*特許電子図書館(IPDL)はサービスを終了し、平成27年3月23日より、新サービス「特許情報プラットフォーム」を開始しました。

製品、技術は常に模倣されやすいリスクを負っていますので、条件をクリアし、出願が適切と判断された場合には、早めに出願するのがお勧めです。

「出願」では、どこまで権利を取得するかを考える必要があります。一般的には、可能な限り広く強い権利を取ることが重要です。それには、明細書に記述する技術内容が重要になってきます。明細書の書き方によって請求範囲が変わり、権利施行の際に不利になることもあるからです。明細書の作成は専門家に依頼することが多いと思いますので、出願対象となる技術や製品を、いかに上手に伝えるかのスキルが求められます。専門家にどう伝えればよいか戸惑う方も多いと思います。「知財総合支援窓口」では、より分かりやすく伝えるためのアドバイスもさせていただきます。
また、前段で広く強い権利を取ることが重要とお伝えしましたが、自社の次なる技術を出願する際に、既に登録済みの自社の権利に抵触し、新規性が認められないため出願できない場合もあります。出願する際には、将来も見越した自社の商品戦略も考慮して、範囲を定めると良いと思います。

最後に、取得した権利をそのままにすると勿体ないので、是非、出願後は活用しましょう。権利化した技術・製品の販路開拓や海外進出など高度な専門性の必要な相談についても、中小企業診断士、企業の知財担当OB、弁理士などを紹介しアドバイスを受けることができます。
また、自社製品の模倣・侵害訴訟対応の支援も可能です。特許出願して権利化されるまで時間がかかりますが、中小企業であれば早期に審査が進む制度もあります。

知財は、出願対象や事業戦略によって対応方針が異なりますので、一概にこうした方が良いとパターン化することが難しい領域です。いずれのタイミングについても、判断に迷うことがあれば「知財総合支援窓口」でアドバイスを行っていますので、積極的に利用していただければと思います。出願のご相談を受けた方に対しては、その後の知財活用のご提案なども行っています。

今年度は、専門家サポートを強化

知的財産支援ガイドブック

ミラサポ事務局:平成26年度、「知財総合支援窓口」の支援で強化された点を教えてください。

家永担当:平成26年度は、2つの支援策を強化しています。
1つ目に、「知財総合支援窓口」への相談、もしくは出願の経験がない企業を対象に、中小企業診断士や企業の知財担当OBによる訪問サービスを開始させました。なかなか知財の活用に踏み出せない事業者の方や、ついつい知財を後回しに考えてしまう方に、知財の重要性や経営への影響について考えていただくきっかけになればと思っています。訪問先の企業の選定は、各窓口に委託しておりますが、連携している中小企業支援センターなどの情報を基にしているようです。自治体の職員とともに企業を訪問するケースもあるとの現場の声も聞いています。

2つ目は、窓口に定期的に、知財に関する専門家として弁理士と弁護士を配置したことです。弁理士は週1回以上、弁護士は月1回以上の頻度で、半日~1日各窓口におりますので、より詳しい内容を相談できる機会が増えたと思います。

ミラサポ事務局:他にも専門家を派遣するサポートがあるそうですね。

家永担当:平成24年度から、デザイン・ブランドに関する支援を強化しており、デザイナーや意匠の専門家であるデザインコンサルタントも派遣しています。優れた技術があっても、デザイン・ノウハウがあっても、知財が分からないため活用できないという事業者が沢山いらっしゃいます。意匠権の相談件数はまだまだ少ないため、そうしたお悩みにお応えできればと思います。
意匠権を検討するひとつの指標としては、外観が他の製品と異なっていないかということを問いかけることが良いと思います。他の製品と同じ外観であれば意匠権を考える余地はありませんが、外観が他と比べて特徴的であったりする場合は、意匠権が取れるという着眼を持っていただいても良いと思います。例えば、ネジの山が美しいといったことでも、特徴的と見なしてもらえる可能性があります。改めて自社の製品を見直してはいかがでしょうか。

その他、啓発活動というところで、特許庁職員が講師として初心者、実務者それぞれに向けたセミナーも実施しています。また、中小企業の接点の多い金融機関、税理士・中小企業診断士などの支援機関の方を対象として知財制度などについての説明会も行っていますのでご要望に応じてご活用ください。




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