Vol.19  点から面へ 新しくなった創業支援!

平成25年12月11日に「産業競争力強化法」が成立するなど、平成26年度から創業支援に対する取組みが強化されてきています。
今回は、新しくなった創業支援の体制や、創業希望者・準備者と創業者、そして彼らを支える創業支援事業者がそれぞれ活用できる施策などについて、中小企業庁 経営支援部 創業・新事業促進課 鈴木智也創業支援専門官、塚田祥平創業促進二係長にお話をうかがいました。

地域ぐるみでの創業サポートへ!

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ミラサポ事務局:創業支援が新しくなった背景について教えてください。

鈴木創業支援専門官:日本における中小企業数は、平成11年から平成24年の13年間で約99万社減少しており、今後も減少傾向と言われています。厚生労働省の「雇用保険事業年報(平成24年)」によると、開業率は4.6%と欧米の半分程度であり、大都市圏を除く29府県の開業率は、全国平均を下回っているのが現状です。地域の雇用機会を創出する面でも、新たに地域における創業支援について考える必要があります。
こうした状況を踏まえ、政府としては、昨年6月に策定した「日本再興戦略」において、開業率を欧米並みの10%超にすることを目標とし、それに向けて、平成26年度からは地域における創業を強化する創業支援施策を行っています。

新たに取り組んでいる創業支援施策の1つ目は、産業競争力強化法に基づき、市区町村と地域の創業支援事業者(商工会、商工会議所、金融機関など)が連携したプラットフォームをつくり、地域に根ざした創業サポートを行う体制づくり「創業支援事業計画」です。これまでのように個社別に創業をサポートし創業を促進するのではなく、地域全体での創業機運を高めることが狙いです。
自治体と創業支援事業者が共同で支援を行うことで、地域ぐるみで身近な創業支援ができるようになりました。

ミラサポ事務局:「創業支援事業計画」とは、どのような支援施策なのでしょうか。

鈴木創業支援専門官:市区町村が地域の創業支援事業者と連携をして、共同で創業支援事業の計画を作成します。計画を国が認定し、計画に基づく支援を地域の創業希望者や準備者、創業者が受けられるようになります。

創業支援事業の内容としては、まずは幅広い方にワンストップ相談窓口をご利用いただけるようにします。これまでは創業相談というと敷居が高いイメージがあり、「創業したい」という強い気持ちをお持ちの方のみが相談窓口にいらしているところがありました。ただ、「これってビジネスにならないかな?」「今までのスキルを活かした事業を考えたい!」など、創業につながる"ビジネスの種"をお持ちの方はもっと沢山いらっしゃると思います。みなさまの"思いつき"は、夢のある素晴らしいアイディアです。それらをおうかがいし、創業への第一ステップを一緒に考えます。住民票を取りに役所に行ったついでにでも、気軽にお立ち寄りいただける窓口を整備します。
相談内容はアイディアの段階、創業に向けて準備を進めている段階、創業後など創業のステージによって異なると思います。さらに創業後、経営者の方は孤独を感じやすく、相談先に困っている声も聞かれます。そこで、相談者のステージに合わせて、課題の優先順位をつけ有効な支援メニューのご紹介やアドバイスをさせていただきます。また、これら相談で寄せられた声も活用して、地域内での事業者同士のマッチング支援も行ってまいります。相談の業種も問いません。どなたでもお近くの相談窓口をご活用ください。

「創業支援事業計画」の中でも、1ヶ月以上継続して創業希望者などに全般的な創業ノウハウ(経営、財務、人材育成、販路開拓の知識)の提供を行う事業は「特定創業支援事業」と呼ばれます。これを受け、知識習得がなされたと認められた創業希望者などは、市区町村から発行された証明書を受領でき、3つの特典を利用できます。
1. 株式会社を設立する際、登記にかかる登録免許税が半額になる
  ※設立時資本金の「0.7%」が「0.35%」に軽減(または最低税額「15万円」が「7.5万円」に軽減)
2. 無担保、第三者保証人なしの創業関連保証の枠が1,000万円から1,500万円に拡充される(既に創業している場合でも、保証枠が拡充)
3. 創業関連保証の特例が、事業開始6ヶ月前から利用できる(通常は事業開始2ヶ月前から)

こちらもお近くの相談窓口にお問い合わせください。

創業支援事業者への支援も充実

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ミラサポ事務局:「創業支援事業計画」では市区町村と連携して創業をサポートする「創業支援事業者」が重要な役割を担っていると思いますが、創業支援事業者の関わり方を教えてください。

鈴木創業支援専門官:創業支援事業者には、相談者の"思いつき"をビジネスとして具体化し、創業に押し上げる大切な役割を担っていただきます。相談者と共に、アイディアからビジネスの取っかかりを見つけ、創業を実現させ、事業を軌道にのせるまでのプロセスを歩むことになります。
実際に「創業支援事業計画」に参加されている創業支援事業者は、地域の金融機関、NPO法人、自治体の財団、商工会、商工会議所などです。計画の申請は、自治体側から積極的に動いたところもあれば、地域内の商業事業者が自治体に話を持って来たという場合もあります。自治体と創業支援事業者との連携規模も地域の状況に合わせ、大小さまざまです。申請された事例の一部をガイドラインで紹介していますので、参考になさってください。

先にご説明した通り、連携体の中で自治体や商工会議所などにワンストップ相談窓口を設けています。また、計画に基づき創業セミナーや研修など、地域に合った支援施策を進めています。
市区町村が持つ地域の信頼性と創業支援事業者の支援経験が融合し、創業希望者などを継続して支援する体制ができるとよいと思います。

「創業支援事業計画」の認定を受けた創業支援事業者は、下記3つのメリットがあります。
(1)中小機構から創業支援のノウハウ提供や、専門家の紹介を受けられる
(2)法人の場合、新規雇用者の人件費、専門家謝金、広報費など、創業支援事業計画に基づく支援事業に関する対象経費の2/3以内まで補助金が活用できる(上限額1,000万円以内、下限額100万円)
(3)NPO法人・一般財団法人・一般社団法人は、これまで申し込みができなかった信用保証協会から無担保の信用保証を受けられる(8,000万円まで)

(3)の該当者については、資金調達の1つの手段としてもお役立ていただければと思います。

創業支援事業者にとっては、過去に接点がなかった未来の創業者とのつながりができることも、本事業に参加する魅力になると思います。
全国で地域の創業希望者などをサポートしてくださる機関・団体はまだまだ不足しています。地域の中小企業・小規模事業者に寄り添う伴走型の支援が必要です。我こそはという機関・団体の方は、ぜひご参加ください。認定自治体が増えることで、近隣自治体へも創業支援の取り組みが広がっていけばよいなと考えています。また、認定については、複数の自治体が連携して行うことも可能です。実際にこうした連携事例も地域を中心に広がりつつあります。

ビジネスプランの作成スキルが身に付く!

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ミラサポ事務局:「創業支援事業計画」のほか、今年度から取り組んでいる大きな創業支援施策はありますか。

塚田創業促進二係長:はい、創業に必要なノウハウの提供を行う研修事業「創業スクール」です。創業は知識がないと何事も進みませんが、創業希望者の悩みとして、資金調達と並び"経営知識がない"との声が多く寄せられています。
この「創業スクール」も地域に根ざした創業を支援していますので、経営ノウハウに関する全国統一的なカリキュラムと共に、地域で創業するための知識も、地元で創業した先輩経営者のレクチャーなどを交え、学んでいただけます。

「創業スクール」で用意しているカリキュラムは3つ(①ベーシックコース、②第二創業・再チャレンジコース、③女性起業家コース)です。どのコースも創業で必要とされる基礎知識を数日間に渡って学習していただきますが、対象者を3パターンに分けています。①ベーシックコースはノーマルな内容で、幅広い方に受けていただけます。②第ニ創業・再チャレンジコースは会社を経営したご経験のある方、新たに会社を継ぐ方を対象にしています。③女性起業家コースは、結婚、出産といったライフイベントとの両立など女性ならではの悩みを解決したい女性向けに設計しています。女性の視点を活かした内容で女性講師も多く、座学よりもワークショップといった会話形式をより取り入れるなど、スクール毎に構成にも工夫を凝らしています。
さらに、いずれのコースでも必ず1つ以上のビジネスプランを作成しますので、創業に必要なビジネスプラン作成に必要な知識も身に付きます。また、創業に成功した方の話を聞くと、共に創業に取り組む仲間の存在をポイントとしてあげる方がいらっしゃいます。こうした創業者や創業希望者の間のネットワーク作りもこの創業スクールの開催の目的の1つです。
受講料は、①ベーシックコースと③女性起業家コースは、10,800円(税込)。②第ニ創業・再チャレンジコースは5,400円(税込)です。参加者の方に受講料をご負担いただきますので、その分しっかりした内容にしています。
3コースともに、創業年数などの受講条件は設けていません。ぜひ創業知識を身につけたいという方は、ご自身に合ったコースをお探しください。

3月初旬には、ビジネスプランコンテストを全国で開催し、優秀者を発表します。各スクールからコースごとに1つのビジネスプランを選出し、地域審査や全国審査を経て、優秀者を発表します。優秀者は、新聞メディアなどで広く周知させていただきますので、ぜひビジネスプランコンテストでの表彰も目指していただければと思います。

ミラサポ事務局:実際、どのような方が「創業スクール」を受講されていますか。

塚田創業促進二係長:纏まった時間が取りやすい子育て後の主婦や、仕事帰りの会社員など、さまざまな方が受講されています。また、受講者のうち女性が4割を占めます。年代は30代から40代が多いですが、20代前半の方や70代の方など、幅広い層にご参加いただいています。
ぜひ創業の一ステップとしてご活用ください。

創業支援は、住みよいまちをつくること!

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ミラサポ事務局:地域で創業支援を考える意義はなんですか。

鈴木創業支援専門官:創業者を含む中小企業・小規模事業者は所属する地域と運命共同体であることが多く、地域活性化は必要不可欠です。地域が活性化すると雇用が生まれ、消費が増え、そしてまちが大きくなることにもつながります。
また、地域を見渡したときに、この産業が不足していて、住民のくらしに不便が生じているといった問題が見えてくるかもしれません。例えば買い物難民の問題もその一例です。そうした不足産業を担う事業者を育てるため、まずは関連セミナーを充実させるということは創業支援に当たります。創業支援を促進する中で資金が必要であれば、自治体による補助金支援を行うなど地域独自で考えていくことも必要かもしれません。まちづくりを進めていく中で、創業支援も一緒に考えていただければと思います。

「こんなことができたらいいな」という"思いつき"(ビジネスの種)を持つ方がもっともっと増え、創業を気兼ねなく考えていただければ嬉しいです。そして、その"思いつき"を創業という形にするところを一緒になって進めてくださる支援者の方もまた、徐々に増えていくことで、創業促進、さらには地域の産業活性、地域の発展につながっていくことを願っています。

併せて読みたい!創業に関するお役立ち情報は、下記からご覧いただけます。





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