Vol.23 中小企業・小規模事業者の利益を守るために 価格転嫁対策を強化!政府による原材料・エネルギーコスト増の価格転嫁対策について

平成26年10月より、原材料・エネルギーコストの高騰を受け、取引の適正化などを支援する取組みが打ち出されました。
今回は、さらに強化されるという原材料・エネルギーコストの増加に伴う価格転嫁対策について、支援施策の概要や取組み状況などを、中小企業庁 事業環境部 取引課 堀内雄介企画調整一係長にうかがいました。

中小企業・小規模事業者の利益を守るために

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ミラサポ事務局:取組みを強化した背景を教えてください。

堀内企画調整一係長:安倍内閣発足以来、いわゆるアベノミクスの影響もあり、景気はゆるやかな回復基調にあります。ただ、その恩恵は大企業には見られるものの、必ずしも地域の中小企業・小規模事業者までは届いていないと認識しています。この理由の一つには、円安に伴う原材料価格の高騰などによって、製造やサービスを行うためのコストが高くなっているにもかかわらず、中小企業・小規模事業者の皆様にとって、その分のコストを販売価格に上手く上乗せすることが困難であるという状況があります。

昨年(平成26年)10月に全国の中小企業・小規模事業者約1,500社に調査をしたところ、その約半数は販売価格にコスト上昇分をまったく上乗せできておらず、残りの約半数についても、すべてのコスト上昇分を販売価格に反映できている事業者は少ないことが分かりました。多くの中小企業・小規模事業者にとって利益を確保することが難しい環境になっていると言えます。具体的な中小企業・小規模事業者の声として、「コストを販売価格に上乗せできなくて苦しい」「大企業からのしわ寄せをやめて欲しい」といった内容も寄せられています。このような事態を厳しく受け止め、政府をあげて中小企業・小規模事業者に向けた価格転嫁対策を実施していく必要があると考えています。また、平成26年末に開催された「経済の好循環実現に向けた政労使会議」(政府、経済界、労働組合の代表者らが労使を取り巻く課題について議論を行う会議)でも、「取引企業の仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁や支援・協力について総合的に取り組む」などの内容を含む文書が取りまとめられました。

まずは困っていることをお知らせください!

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ミラサポ事務局:具体的な支援施策について教えてください。

堀内企画調整一係長:平成26年10月3日に転嫁対策パッケージを発表し、主に(1)~(4)の施策を行っています。
まず、(1)関係者へ以下の要請文書を発出しました。
・公的金融機関に対する、中小企業・小規模事業者からの返済条件緩和要請等配慮の要請
・各省関連の業界団体、計745団体に対する、原材料・エネルギーコスト増加分の価格転嫁に関する経済産業大臣名の要請
・「下請代金支払遅延等防止法」(以降、「下請代金法」)上の親事業者約20万者に対する取引適正化の要請

さらに、文書を発出するだけではなく、(2)下請代金法に基づく立入検査をしっかり実施することとしています。具体的には、原材料・エネルギーコストの影響を受けやすい業種の大企業約200社を抽出し、下請代金法違反行為を取り締まる検査官(下請代金検査官)が集中的に検査を行っています。例えば、下請事業者が親事業者に商品を納めるときに、原材料・エネルギーコストの増加分を販売価格に上乗せする交渉をしても親事業者が相談に応じない場合は、下請代金法に抵触している恐れがありますので、取り締まりが必要です。検査にあたっては、消費税転嫁の取り締まりを行う別部隊、消費税転嫁Gメンとの連携も行っています。消費税転嫁Gメンは検査時に、併せて原材料・エネルギーコストの違反がないかを調査しています。

また、中小企業・小規模事業者の方々に対しては、(3)「下請かけこみ寺」に特別相談窓口を設置しました(相談料無料)。「下請かけこみ寺」では、不安な気持ちで年を越して欲しくないとの思いから、平成26年は大晦日まで電話による特別相談窓口をオープンし、ご相談の声を受け付けました。
大企業が自ら違反を申告することはほぼありませんので、中小企業・小規模事業者の方々の情報源が重要です。役所に告げ口したことが親事業者に知れてしまうと更に酷な対応を強いられるため言いにくいとお思いの方がいらっしゃるかと思いますが、ご相談内容は秘密厳守です。Webシステムでの相談体制も整備し、対応を強化しています。Webシステムはフォームを用意しておりますので書き込みもしやすいかと思います。調査や検査の際にも情報源が絶対に分からないように細心の注意を払っていますのでご安心ください。
「下請かけこみ寺」にご相談をいただいたり、申告をしていただくと、下請代金検査官が、その情報を基に電話などで相談者に具体的な状況確認をさせていただく場合があります。お話いただいた状況も踏まえ、親事業者への調査や立入検査を実施し、下請代金法違反の恐れがあれば指導を行うなど、厳正な取り締まりを行います。
また、相談窓口のみならず、積極的に情報を収集するために、書面調査も実施しています。書面調査のご回答も貴重な情報源としており、調査や立入検査対象の抽出の際には参考にさせていただきます。

次に、(4)資金繰り支援として、政府系金融機関において、原材料・エネルギーコスト増の影響を受ける中小企業・小規模事業者への貸付や、返済条件の緩和に関する相談を受け付けています。

ミラサポ事務局:「下請かけこみ寺」の相談窓口では、何を伝えればよいでしょうか。

堀内企画調整一係長:詳しい内容がなくても構いません。まずは「原材料などのコストを販売価格に転嫁できなくて困っている」、その声だけでもお知らせください。先に述べたように、いただいた情報をきっかけに、下請代金検査官などからご相談者にご連絡し、詳しい内容をおうかがいします。繰り返しになりますが、秘密は絶対に厳守します。

価格転嫁対策に困っている方はひとりではありません。言いたくても言えない方々が沢山いると考えています。勇気をもってまずはご相談ください。ご相談にお応えできるように万全な対策を立てております。

今後も取り締まり・相談体制と、資金繰り支援を強化!

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ミラサポ事務局:今後は、どのように取組みを展開されますか。

堀内企画調整一係長:平成26年10月の価格転嫁対策パッケージ発表後も円安は進んでおり、引き続き対策が求められています。今後も、政府をあげて取組みを行うこととし、親事業者と下請け事業者との取引の適正化などについて業界団体との会議の場など機会があるごとに要請を行います。

さらに、下請代金検査官による立入検査を強化していきます。現在検査対象を大企業約200社としていますが、平成26年度内に更に大企業約300社を追加し、計約500社まで検査することを考えています。検査対象企業は、書面調査に基づく申告などに基づいて選定しています。このように、引き続き手を緩めることなく徹底した取締りを行ってまいります。

また、資金繰り支援として、平成26年度補正予算案では、日本政策金融公庫および商工中金において「原材料・エネルギーコスト高対策パッケージ融資」を新たに創設し、原材料・エネルギーコスト高の影響を受け、資金繰りに困難をきたす事業者や省エネ投資を促進する事業者に対して、経営支援を含む手厚い資金繰りを実施していくこととしています。具体的には、資金繰りに困難をきたす事業者に対する金利の引下げ幅を拡大するとともに、省エネルギーを推進する事業者に対して従来とは別枠の限度額で低利融資を行うこととしております。

支援施策をより多くの事業者にご活用いただき、原材料等のコスト増加に伴う価格転嫁に悩む中小企業・小規模事業者の状況が改善されるよう、今後とも取組みを推進していきたいと考えています。




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