Vol.25 日本経済を牽引するサービス産業へ!

経済産業省は、平成27年2月4日に中小企業385万社の約8割を占めるサービス事業者が生産性向上に取り組む際の参考となるよう、10項目の手法と取り組み事例を示した「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」(以下ガイドライン)を策定しました。
ガイドライン策定の背景や活用方法について、商務情報政策局 サービス政策課 鈴木瑠衣係長にうかがいました。

サービス産業の課題は生産性

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ミラサポ事務局:ガイドラインを策定した背景を教えてください。

鈴木係長:サービス産業は、日本のGDPの7割、就業者数の7割を占め、経済全体に大きく影響を与えます。特に中小企業・小規模事業者に限っては約8割をサービス事業者が占めています。しかしながら、以前よりサービス産業は生産性が低いと言われてきました。サービス産業全体の生産性向上のためには、ボリュームゾーンである中小企業・小規模事業者の底上げが必要です。
これまでもベストプラクティス(最善の方法)の事例集などを作成し改善へ向けたサポートを行ってきましたが、事例から自社サービスの改善を行える企業は少なく、どのような観点で生産性向上に取り組めば良いのかを丁寧に示さなければならないという思いがありました。
そこで、サービス産業の生産性向上に向けた具体的手法と段取りなどを示すガイドラインを作成することを、昨年(平成26年)6月に公表された「日本再興戦略 改訂2014」に盛り込み、このほど公表しました。

生産性向上へ向け取り組みの方向性と具体的な手法を示す

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ミラサポ事務局:ガイドラインの構成を教えてください。

鈴木係長:今回のガイドラインには事例も掲載されていますが、事例を紹介することを目的としているわけではありません。サービス産業は製造業と違い「生産性向上」と言われても何を行えばよいのかイメージをすることが難しいので、生産性向上のための取り組みの方向性と具体的な手法をしっかりと示しています。

様々な業種のサービス事業者が抱える課題にフィットするよう、過去の研究会や報告書で指摘された考え方を事業者の課題意識に置き換えて、「付加価値の向上:提供するサービスの価値を増大させる(売上向上)」の視点から8項目、「効率の向上:時間や工程の短縮(コスト削減)」の視点から2項目、計10項目に課題を整理しました。
内容に関しては有識者の方々との議論を重ね、サービス事業者がなぜ生産性の向上に取り組まなくてはならないのか、<誰に><何を><どのように>取り組むべきかを示しました。また、事業者が自ら自身の課題を選べるように構成した方がよいとの意見もいただき反映しています。

サービス事業者として自身の立ち位置を把握しなくては、なぜ改善に取り組むのか、何を行えばよいのかもわかりませんので、自身の課題を整理することにもガイドラインは活用いただけるはずです。

例えば「付加価値の向上」の課題の一つに「価値や品質の見える化」があります。サービスの質は目に見えないことが問題であり、見えないからこそお金に還元できていません。ですので、付加価値向上の手法として、サービスの質「見える化」を提示し、その考え方や取り組み事例がガイドラインには示されています。

今後、取り組みの手法も時代に沿って変わっていくと思いますので、必要に応じて改訂することも想定しています。事例もアップデートし、お伝えしていきたいと思っています。

*「サービス産業の高付加価値化に関する研究会報告書」(平成26年5月)、産業構造審議会新成長政策部会・サービス政策部会 サービス合同小委員会(平成20年6月)、サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて 報告書(平成19年4月)

何かアクションを起こしたいと思い立ったらまずはガイドラインを

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ミラサポ事務局:いつ、どのようにガイドラインを活用すればよいのでしょうか。

鈴木係長:事業者の方たちは日常的に何かを改善したいと、問題意識を持っていると思います。問題意識から何かアクションを起こしたいと思い立った時に、ぜひ手にしてほしいと思います。
冊子は各地方経済産業局で配布をしておりますし、ホームページでもご覧いただけます。

また、課題がある方は支援機関や専門家などに相談することも多いと思いますので、支援機関の方にこのガイドラインの使い方を理解していただき、サービス事業者へ広めていただきたいとも思っています。併せて、サービス事業者が所属する業界団体を通じて、サービス事業者へ直接お届けする取り組みも行います。

日々の業務に忙しい事業者の方は「第3章:具体的な手法」の自身が課題だと認識している項目から読み始めると思うのですが、前段として、そもそも自身のビジネスがどの段階の課題にあるのか、課題に正しく気づくことが必要だと思うので、まずは「第2章:事業コンセプトの確立」を読み、自社の理念や事業を振り返り、課題に対する考え方を整理していただくと良いと思います。その上で、具体的に何に取り組めば良いのか、10項目の具体的な手法を参考にしてください。

「第4章:中小企業における具体的な取組事例」には各課題に呼応した事例を掲載しています。約半数が平成25年度ものづくり・商業・サービス補助金で採択された優良事例です。また、残りの事例は過去にベストプラクティスとしてまとめていた「ハイ・サービス日本300選」から選んだ事例となります。

課題解決だけに特化した内容ではないので、新たな目標設定をする時にも活用してほしいですし、今は何か新しいことに取り組みたいと思っていない方も、事例などから刺激をもらい、自分のアイディアを引き出すことにも活用していただけると考えています。

平成26年度補正予算「ものづくり・商業・サービス革新補助金」の「革新的なサービスの創出」に応募するためには、このガイドラインで示された方法で、どのように革新的なサービスの創出などを行うのかが問われます。
具体的には、前出の10項目のどの項目に当てはまるのかを申請の際にチェックし、各項目で取り組む方向性がガイドラインに示されていますので、その方向性に沿った内容で、具体的な取り組み、改善内容などを事業計画書に書き込むことが求められています。この課題10項目は目新しい項目ではなく、サービス事業を展開していれば、いずれかに該当すると考えていますので、どなたでも応募いただけると思います。

これまでの行政サービスはものづくりへの支援が多かったのですが、今回このようなガイドラインの策定を通じて、日本経済をけん引する存在として行政もサービス事業者のみなさまに期待していることが少しでも伝われば、担当者としては嬉しいです。サービス産業は本当に業種が幅広く、自身が「サービス産業」の担い手だと気付いていない方もいらっしゃると思います。ぜひ、多くの方にこのガイドラインを手にしていただき、サービス事業者であることを「自分ゴト化」していただき、サービス産業の市場拡大に貢献できればと思います。




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