Vol.28 小規模事業者に光を当てる!小規模基本法に込められた思い

中小企業基本法の基本理念にのっとりつつ、小規模企業に焦点を当て、「小規模企業活性化法」をさらに一歩進める観点から、平成26年6月27日に「小規模基本法」が成立しました。
今回は本法の立案から施行までを担当した中小企業庁 小規模企業振興課 桜町道雄課長と、小規模事業者の支援を行う一般社団法人 小規模企業経営支援協会 立石裕明氏に小規模基本法、そして小規模事業者支援への思いをお伺いしました。

地域経済を支える小規模事業者

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ミラサポ事務局:まず、小規模事業者を取り巻く環境について教えてくださいますか。

桜町課長:小規模事業者は334万者、日本企業の86.5%を占めます。従業員数も約1,192万人、25.8%です。小規模事業者は、地域の特色を活かしながら創意工夫してビジネスを行い、新たな産業を生み出す、また就業機会の提供、地域住民の生活の向上や交流を促す、ということにも寄与する経済社会両面で地域を支える極めて重要な存在です。しかしながら、小規模事業者は人口減少、高齢化、海外との競争の激化、地域経済の低迷といった構造変化に直面し、売上や事業者数の減少、経営者自身の高齢化などの、多くの課題を抱えています。

立石理事長:小規模事業者にとっては、人口減少は大きなインパクトとなっています。その理由として、まずは多くの小規模事業者は商圏が狭いことが挙げられます。ほとんどの場合が同じ市区町村、隣町、同一県の中で活動をされています。自分の経営の良し悪しに関わらず、お客さんが減り続けている状況です。当然、経営は厳しくなります。そして、地方の町村部ほど人口減少が顕著な課題となっているのです。

桜町課長:現在、「地方創生」が大きな政策課題となっていますが、人口が減っている地方をどう活性化させるか、経済の好循環を全国津々浦々まで届けていくためにも、全事業者のおよそ9割を占める小規模事業者に元気で輝いていただくことが必要不可欠なのです。

小規模事業者は「持続的発展」

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ミラサポ事務局:そのような状況の中で施行された「小規模基本法」とは、小規模事業者にとってどのような存在なのでしょうか。

立石理事長:私は「小規模事業者が成長発展のみならず、持続的発展を掲げていけるためのもの」と捉えています。これまで国は、<図1>イメージ「成長発展」の線のように右肩上がりであることを促してきました。ただ、現在は先程お話ししたように人口減少などの影響により、現状を維持するだけでも大変な状況です。何も手だてをしなければ、経営状況が<図1>の下りのエスカレーターのように悪くなる方向に引っ張られています。「小規模基本法」は、頑張ってマイナスではない、現状維持をすることの重要性を初めて国が認めた法律だと認識しています。国がこれまでの哲学を変えてできた画期的な法律だと思っているのです。さらに、小規模事業者に真正面から光を当てたことにも、大きな意味があると思います。

桜町課長:立石さんのおっしゃるように、国としては、小規模基本法で中小企業政策の舵を大きく切りました。「成長発展」という、売上、利益、雇用などの規模を拡大しようとする小規模事業者のみならず、規模の拡大を必ずしも求めずに「持続的発展」を行う、全体の約8割を占める小規模事業者の方々にも寄り添って行こうと決めたのです。「自分が国の支援対象であるはずがない」などと思っておられる小規模事業者の方々のお話をよく伺いますが、決してそんなことはありません。334万者、やる気をお持ちの方々を、我々は全力で応援していきたいと考えています。

規模の拡大を求めない小規模事業者であっても、地域の雇用を維持し、地域住民に必要な商品・サービスを供給するという、大切な役割があるのです。そうであるからこそ、政策的資源を重点的に投入しようということなのです。それに加え、自己実現のためや社会貢献のために事業をやっておられる方々も結構いらっしゃいます。そのような方々は、従業員や取引先を無理に増やすよりも、仲間と夢を追いかけたり、お客さんに丁寧に対応して笑顔を見せて欲しいと思っていらっしゃったりします。そういうことを後押しすることになれば、日本の社会全体としても意義深いことではないかと考えています。

このような小規模事業者の方々をどのように支援するかですが、「小規模基本法」やその下に策定された「小規模企業振興基本計画」では、4つ大事なポイントを決めています。1つ目は、需要を見据えた経営を促進。小規模事業者の得意とする顔の見える信頼関係など、価格以外の要素を積極的に活用して需要の創造・掘り起こしを行うことです。2つ目は、新陳代謝の促進。多様な人材を活用・育成するほか、創業や事業承継などで新たな人材も入っていただいて事業の展開・創出を進めることです。3つ目は、地域経済に資する事業活動の推進。地域のブランド化・にぎわいの創出を行って、個社の振興と車の両輪となる地域の活性化も進める。そして4つ目が、地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備。「小規模基本法」と同時に改正された「小規模支援法」によって、小規模事業者の身近な存在である商工会・商工会議所を抜本的に機能強化して、小規模事業者が経営計画を作って売上を立てていくため、伴走しながら支援していただくことになっています。


経営計画作成のきっかけをつくる「小規模事業者持続化補助金」

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ミラサポ事務局:「小規模基本法」制定を受け、補助金も昨年度からスタートしていますね。

桜町課長:そうです、これらの取り組みを受けて、補助金も創設されています。平成25年度補正予算に引き続き、平成26年度補正予算でも公募されている(公募最終受付は平成27年5月27日まで)「小規模事業者持続化補助金」です。この補助金については後でしっかりとお伝えしていきますが、小規模事業者が、事業に役立つ補助金に応募することをきっかけに、経営指導員のサポートを受けて経営計画の作成に取り組む動きが生まれてきました。この小規模事業者が経営計画をつくるという波を、全国津々浦々に広めていきたいと思っています。




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