Vol.29 50万円が経営を変えるきっかけに!「小規模事業者持続化補助金」

平成25年度補正予算に引き続き、平成26年度補正予算で公募されている(公募最終受付は平成27年5月27日まで)「小規模事業者持続化補助金」。
「小規模事業者持続化補助金」がもたらす経営改善の意義や平成25年度補正予算での採択事例、平成26年度補正予算での変更点など、中小企業庁 小規模企業振興課 桜町道雄課長と、小規模事業者の支援を行う一般社団法人 小規模企業経営支援協会 立石裕明氏にお話しを伺いました。
(※追加公募を実施。公募受付は平成27年7月31日まで)

小規模事業者が経営を考えるきっかけとなる補助金

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ミラサポ事務局:「小規模事業者持続化補助金」(以下:持続化補助金)は、どのような補助金ですか。

桜町課長:前編でお話しした「小規模基本法」があって初めて生まれた、小規模事業者の販路開拓のための補助金です。これまで販路開拓補助金というと、展示会出展費用の補助や商談会の補助などでした。しかし、人口減少によって何もしなければ自然とお客さんが減ってしまう状況の中、「小規模基本法」で振興することに決めた「持続的発展」をする小規模事業者の方々にとって、もっと身近な用途に使える補助金を作る必要がありました。「持続化補助金」は、販路開拓のためであれば、チラシ作成やポスティング、ホームページ制作、お店のバリアフリー化のための店舗改修など、幅広い用途に活用できます。この補助金をご利用いただいた方の75%は、これまで補助金の申請ということをしたことがなかった、という方々です。

補助上限額50万円、補助率2/3の補助金ですが、大事なのは、経営計画を作っていただくことを採択の条件にしたことです。経営計画といっても、1ページ程度の簡易なもので構いません。この補助金の利用をきっかけに、経営をどのような方向に持って行こうとするのか、一度考えていただくことが重要だと思うからです。アンケート調査によりますと、この補助金の利用者の約60%が、初めて経営計画を作成したと答えています。そして、半数程度の方にとって「自社の強み・弱みが明らかになった」「新たな事業を企画できた」「事業の見直しを行うきっかけとなった」など、様々な「気づき」が生まれています。この「気づき」の結果、約51%の方々が「新たな取引先や顧客を獲得した」としており、「獲得する見込み」の方を含めると、「持続化補助金」をご利用の実に約97%の方々が新たな取引先や顧客を獲得できるのです。また、売上についても、約35%の方々が「売上が増加した」としており、「増加する見込み」の方を含めると、約90%の方々の売上が増加するのです。50万円の補助金だけでここまでの効果が上がるとは思えません。やりたいこと、使いたいことに使える補助金ということもその理由ですが、やはり経営計画と向き合い、「気づき」によって経営が変わる、という点が非常に重要なのです。

経営計画を作ることが利益につながる?!

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ミラサポ事務局:「持続化補助金」を申請するにはまず、何に取り組めばよいのでしょうか。

立石理事長:まずは商工会・商工会議所の経営指導員と一緒に「経営計画書」作成に取り組んでください。この補助金のよいところは経営計画を作ることで、事業を見直すきっかけができることなのです。これまで経営上の細かい数字を把握せず、それでも30年以上経営を続けてきた小規模事業者の方も多くいらっしゃいます。いわば、どんぶり勘定・成り行き経営の方々です。
そのような方々が補助金をきっかけに決算や棚卸などを見直し、経営計画を紙に書いてみることで改めてわかること、チャレンジしたいことへの気付きがたくさんあるのですよ。もちろん、どんぶり勘定・成り行き経営からも脱却できます。
私はこれまで経営計画を立ててこなかった小規模事業者の方ほど、経営計画を立てることでの伸び代は大きいと思っています。むしろ、やってこなかった事が、大きな強みとなっていると思っています。

飲食店では売上や利益の構造を管理し始めるだけで、経費が5%下がると言われています。そこに経営計画を加えれば、さらに成果が出ます。そのことに気付くためにも、まずは経営計画を作成してみましょう。

経営計画作成をサポートするアプリ『経営計画つくるくん』も先日リリースしました。この『経営計画つくるくん』は、初期段階から経営指導員と経営者が30分程度話をして、その内容をアプリのフローに合わせて打ち込むと、「持続化補助金」申請のページができあがるアプリ、というイメージで企画しています。

ぜひ活用してください。また、特に、「持続化補助金」申請に活用していただきたい「経営計画書」の書き方例もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。


桜町課長:「持続化補助金」自体は販路開拓のための補助金ですが、経営計画を作る際に併せて足もとの財務やコストを見直すこともとても大事なことですね。

立石理事長:経営計画の作成は所属している商工会・商工会議所の経営指導員がサポートしてくださいます。これもとても重要なことです。これまでも経営指導員に決算など税務や財務に関する相談をされることがあった方もいらっしゃるかと思いますが、経営計画の作成に一緒に取り組むことで、その後も「売上をどうやってつくっていくのか」を相談できるようになります。補助金申請後にも、どんどん経営指導員に経営の相談をしてもらいたいと思いますし、その関係作りに「持続化補助金」が役立っていると思っています。

補助上限額の50万円という金額にも意味があります。限られた50万円であるからこそ、小規模事業者の方々は優先度の高い事業に使いたいと思われるでしょう。どう有効に使うかを考えることで、自社の強みがどこにあるのか事業構造を見直すきっかけにもなっています。
また、この補助金は地域の活性化も狙っています。大きな設備投資に使える金額であれば、地域外に発注をすることも多いと思いますが、チラシを作る、店舗を改装するなどに活用する場合には身近で相談できる人や、地域の事業者に頼むと思います。そうすることにより、地域内でお金が回ることを期待しています。

持続化補助金がきっかけで好循環が生まれる!

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ミラサポ事務局:平成25年度の採択事例をご紹介くださいますか。

桜町課長:初回の平成25年度補正予算では13,327の小規模事業者の方々にご利用いただきました。実際に活用した取り組みでは、「チラシやカタログなどの作成・配布」が最も多く、約40%。次いで多いのは「ホームページの作成・改良」、「設備などの導入」、「店舗の改装・改修など」です。

画像で紹介している1つ目は、地元名産のネギを加工し、瓶詰めで販売している事業者の事例です。補助金を活用して贈答用・詰め合わせ用の箱を制作しました。箱を作ったことで贈答用のマーケットに参入でき、単価もアップしました。さらに、デザインされた箱に並べて入れたことでイメージも変わり、新しいお客さんも付き始めました。併せて補助金で会社概要や商品を説明したホームページも作成しました。最近は新しいものに出会うと、まずホームページを確認しますよね。その時にホームページがないと実態がない会社だと思われることもありますが、しっかりしたホームページを開設できたことで信用も得やすくなり、さらに贈答品を受け取った方がホームページを訪れ、新たな顧客獲得にもつながっているそうです。
2つ目は、美容室を経営されている事業者が、補助金を活用し、カットとシャンプーを同じ場所で行える椅子を導入した事例です。高齢者の中にはカットしている場所から、シャンプー台までの移動だけでもつらい方がいらっしゃいます。一度座れば店内を歩く必要のない椅子を導入したことで、高齢者に優しいお店と認知され、高齢者のお客さんが増えました。また、シャンプーサービスの受注も増えて、売上増加につながっています。
平成25年度の採択事例を事例集にまとめました。どんな用途があるのかぜひ参考にし、今年度の応募に役立ててください。

立石理事長:ホームページを開設している小規模事業者はまだ少ないと思います。この補助金をきっかけにホームページを開設するだけでも、大きくビジネスが変わっていくと思います。
私の周りでは、座敷席しかなかった飲食店で補助金を活用しテーブルとイスの席に改装したことで、足の悪い高齢者のお客さんがお店に戻ってきてくれ、さらに法事の受注が増えました。店舗のフロアやトイレをバリアフリー化した方は、近所の高齢者が安心して車椅子で来てくれるようになったそうです。また、豆腐のパッケージをスタイリッシュに変えたことで新しいお客さんが商品を手にしてくれるようになり、売上が増えた事例などもあります。その他、全国からたくさんの嬉しい声が届いています。
いい商品をつくり続けているだけでは人口が減少している中、売上を維持していくことも厳しい状況ですので、本補助金をどんどん活用し経営に役立てていただきたいですね。

桜町課長:平成26年度補正予算では、昨年度金額に100億円を上乗せした166億円に予算が拡大されましたので、より多くの方々にご利用いただきたいと思います。すべて補助率は2/3となりますが、平成26年度補正予算は申請できるメニューを増やし、3通りあります。

1つ目は、販路開拓であれば取り組み内容を問わないもので、補助上限額は50万円です。
2つ目は、雇用の増加や従業員の処遇改善に関する取り組みと、移動販売などによる買い物弱者対策への取り組みです。こちらはより困難な取り組みを支援するために、補助上限額を100万円に引き上げました。買い物弱者対策とは、過疎化などで商店が廃業や撤退をするなど日常生活に不可欠な「生活インフラ」が弱体化した地域で、遠出が難しい高齢者などに向け商品・サービスを提供するビジネスを行うものです。補助金は、例えば商品を届けるために使う軽トラックやバイクの購入などの費用の一部にも使えます。中古の車やバイクの購入も対象となります。
3つ目は、複数の事業者が連携して販路開拓に取り組む共同事業に対して、上限額500万円を補助するものです。共同事業への参加者が1事業者増えるに従って補助上限額が50万円(又は100万円)増えますが、10事業者を超えて連携した場合にも、上限額は500万円となります。この共同事業とは、例えば路地裏で認知が進まない近隣商店同士が共通ロゴマークの開発を行ってその路地のブランディングに取り組み、新しいお客さんを呼び込むような取り組みや、商店街の活性化に意欲的な有志数店が連携し、エッジの効いたテーマでイベントを開催し、これまで商店街を利用していなかった新しい客層を呼び込むような取り組みなどが考えられます。

いずれの場合も、全国商工会連合会(以下:商工会)・日本商工会議所(以下:商工会議所)の支援を受けて作成した「経営計画書」と、商工会・商工会議所が作成する「事業支援計画書」を添付する必要がありますので、商工会・商工会議所と一体となって申請する必要があります。

今年度の公募は既に始まっています。受付の締切は、平成27年5月27日(水)[当日消印有効]です。
平成27年3月27日(金)に締め切った第1次受付に応募して採択されなかった方も、内容を見直して第2次に再応募いただけます。

申請書は3枚程度ですので、経営指導員にサポートしていただきながら取り組めば、難しい内容ではないと思います。まずは所属する商工会・商工会議所に相談をしていただければと思います。

小規模事業者、経営指導員みんなが主役

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ミラサポ事務局:「小規模基本法」が施行されたことや「持続化補助金」などの支援を行っていくことで、小規模事業者のみなさん、そして彼らをサポートする経営指導員の方々に、今後どのようなことを期待されていますか。

桜町課長:小規模事業者の方は謙虚な方々が多いと感じています。自分が何かを始めても、きっと変わることはないだろうと思ってしまう。しかし、身近なところからちょっとした工夫で何かを少し変えてみることが、経営にとって、将来に向けた非常に大きな一歩になると思うのです。会社の経営が変わると、その影響を受け地域も変わっていきます。そして、各地域がそれぞれの特徴を活かし持続的で魅力ある地方を創生することにもつながっていきます。1人の1,000歩より、1,000人の1歩の方が、大きな意味があります。ぜひ「持続化補助金」を活用して、その第一歩を踏み出していただければと思います。

経営指導員の方々には、小規模事業者に広く心配りをしていただき、勇気を出して一歩を踏み出そうとする小規模事業者の背中を優しく押すとともに、きめ細かなサポートをしていただきたいと思っています。
小規模事業者の一歩を踏み出す勇気と、その背中をそっと押す経営指導員の優しさ。その両方が、地方を変えていくと信じています。国としても応援していきますので、みんなでがんばりましょう。

立石理事長:これからの地方を担っていく若手小規模事業者に、この機会を活用してますます活躍してほしいと願っています。彼らは商工会・商工会議所の活動や、地域のお祭りなどのイベント、消防団活動、PTA活動と、地域を守り盛り上げるために日々動いています。そんな彼らが経営を見つめ直すことで、さらに地域の活性化が広がっていくと思います。
小規模事業者に光を当てる存在が「小規模基本法」であり、今年度大きな予算が付いていることは素晴らしいチャンスです。ぜひこの機会を多くの小規模事業者に知ってもらい、「持続化補助金」を活用していただきたいと思っています。
また、「小規模基本法」は小規模事業者のみならず、経営指導員の方々も主役にする法律だと考えています。本補助金が人口の多くを占める小規模事業者の経営を変え、地域を変え、地方創生につながっていくことの一助となっていただき、その流れを一緒につくっていただければと思います。
10年後に小規模事業者を取り巻く環境を振り返った時に、この「小規模基本法」が施行された平成26年が、大きなターニングポイントであったと言われるよう、力を合わせて盛り上げていければ嬉しいです。

併せて読みたい!小規模事業者支援に関するインタビューは、下記からご覧いただけます。




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