Vol.30 下請取引のベストプラクティスを更新!利益を守るための価格転嫁対策とは?原材料・エネルギーコスト増の価格転嫁対策について

原材料・エネルギーコストの高騰を受け、平成26年10月より取引価格の適正化を支援する取り組みが強化されてきました。半年が経過し、事業者の実態が少しずつ見えてきたようです。これまでの取り組み状況や今後の施策などについて、中小企業庁 事業環境部 取引課 佐々木光太郎制度係長にお話をうかがいました。
第1弾インタビューはこちら

監視・取締りや資金繰り支援など実態に即した支援施策を実施!

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ミラサポ事務局:前回(平成27年1月)お話をうかがった以降の取り組み状況を教えてください。

佐々木制度係長:まず、昨年10月から継続的に取り組んでいる原材料・エネルギーコスト増対策として、①主に中小企業・小規模事業者を対象とした全国的な相談体制の整備や下請代金法に基づく大企業への集中立入検査の実施など、下請代金法に基づく取締りの強化、②大企業に対する価格転嫁対策の要請とフォローアップ、③公的金融機関に対して、中小企業・小規模事業者の返済条件緩和など資金繰りについての配慮を要請することによる資金面の支援、を実施してきました。
これらに加え、今年1月下旬から2月下旬にかけては、「原材料・エネルギーコストの転嫁状況等に関する業種別調査」を行い、受注者側(下請事業者)、発注者側(親事業者)双方の取り組み状況を取りまとめました(詳細は後述)。そして3月末までに、下請事業者と親事業者とがWIN-WINの関係を構築していくことを目的として策定している「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(以降、「下請取引ガイドライン」、詳細は後述。)を改訂しました。

4月2日には官邸で開催された「経済の好循環実現に向けた政労使会議」(以降、「政労使会議」)において、前述の調査結果も踏まえ、今後の取り組みや追加措置が決定されました(「価格転嫁や支援・協力についての取組策およびサービス業の生産性向上に向けた取組策」)。その主な取り組みとして、「下請取引ガイドライン」に沿って取引を行うよう産業界への徹底した要請、講習会開催による「下請取引ガイドライン」の理解・活用の促進、下請代金法に基づく監視・取締りの強化、などを実施していきます。また、これら政府としての取り組みに加え、経済界としての取り組みも示されました。具体的には、原材料費の高騰など仕入れ価格の上昇で大きな影響を受けている取引先企業に対してその状況をよく聞き取ること、原材料費の高騰/下落や財・サービスの需給変動による損益の分担方法などを取引事業者間であらかじめ合意するなどにより価格転嫁を含めて適正な取引価格の形成に努めていただくよう一層の理解と協力を求めること、などです。

発注者・受注者共に公正な価格取引を

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ミラサポ事務局:実際、事業者の価格転嫁状況はいかがでしょうか。

佐々木制度係長:先に述べた1~2月の調査では、業界団体に所属する事業者 約1万9,000社と民間データ会社が保有するモニター下請中小企業 約1万社を対象に、受注者(下請事業者)、発注者(親事業者)、それぞれに原材料・エネルギーコストの転嫁状況をうかがいました。その結果、受注者側の約3割が「価格転嫁が受け入れられた」、約4割が「価格転嫁が一部受け入れられた」、そして約2割弱が「価格の協議ができない」と認識していることが分かりました。また、全体として、受注者側よりも発注者側の方が「価格転嫁ができている」と感じている割合が多く、両者の間には認識のギャップがあることも判明しました。
今回の調査結果も踏まえ、全ての取引で適正な価格転嫁が行われるよう、継続的な取り組みが必要と考えています。

下請取引に関するベストプラクティスが解決策のヒントに?!

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ミラサポ事務局:原材料・エネルギーコスト増加分の転嫁も含め、下請取引における先行事例も出て来ているようですね。

佐々木制度係長:上述の「下請取引ガイドライン」は、業種ごとに両者の望ましい取引事例(ベストプラクティス)などを示しており、現在16の業種で策定しています。今回の改訂では、原材料・エネルギーコスト増に関するベストプラクティスの追加を中心に、14業種を更新しました。
法律上どのような取引が違反になるのかを認識いただくことも重要ですが、具体的なベストプラクティスがあることで、下請事業者が親事業者との交渉時に事例を参考により良い交渉ができる、双方が客観的に取引の形を決められる、といったメリットがあります。実際に「下請取引ガイドライン」を活用し取引が改善に向かったという下請事業者、親事業者、双方の嬉しい声もございますので、ぜひ一度目を通していただき、交渉時のツールとして使っていただければと思います。
違反が疑われた事業者を見ると、取引慣行的に悪意なく行っていたケースもあります。ただ、悪意がなかったとしても法に違反している場合には、改善指導などを受けることになります。「下請取引ガイドライン」に照らし合わせることで、自社が適正な取引関係を結べているか再度チェックするきっかけにもなればと思います。

下請代金検査官や消費税転嫁Gメンが立入検査を行う際、この「下請取引ガイドライン」に沿った取引を行うよう要請するとともに、今後は、下請事業者がガイドラインに沿った取引を要請したにもかかわらず親事業者が協議に応じず、一方的に取引価格を据え置くなどの行為があれば、厳正に対処していきます。
この「下請取引ガイドライン」は、各業界団体を通じて関連事業者への周知を図っているところですが、さらに今年度内に約500回の講習会を開催して事業者のみなさまへ普及を図ることとしています。

まずはご相談ください!

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ミラサポ事務局:原材料・エネルギーコストの価格転嫁に悩んだらどうしたらよいですか。

佐々木制度係長:専用の相談窓口「下請かけこみ寺」を設けており、引き続き、原材料・エネルギーコストの価格転嫁に関する専門家も配置しています。取引でお困りの際には、まずはこちらにご相談ください。また、もやもやした悩みがあっても「こんな相談をしてもよいのだろうか」とためらってしまう事業者の方もいらっしゃるかもしれませんが、相談員と話すことで悩みが明確になり、その後解決に向けた行動に移せる可能性もあります。専門家が相談に応じますので、電話、WEBのいずれかでお気軽にご相談ください。


下請かけこみ寺(原材料・エネルギーコスト増に関する相談窓口)



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