Vol.31 初の発刊!「小規模企業白書」ダイジェスト

昨年(2014年)成立した『小規模振興基本法(以下、小規模基本法)』を受け、今年(2015年)4月、小規模事業者を対象とした『2015年版小規模企業白書』 が創刊されました。
今回は「小規模基本法」の立案・施行に続き、本白書の企画・作成を担当した中小企業庁 小規模企業振興課 桜町 道雄 課長に、『2015年版小規模企業白書』の創刊に至った背景や概要などをお伺いしました。
※本記事は2015年7月27日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

小規模事業者に光を当てた「小規模企業白書」

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ミラサポ事務局:今回が初めてとなる『2015年版小規模企業白書』 が創刊された背景をお聞かせください。

桜町課長:『2015年版小規模企業白書』は、小規模事業者を対象としたはじめての法定白書です。小規模基本法に基づき、小規模事業者の動向や、国が講じようとする小規模事業者向け施策について国会に報告することとされています。過去52回にわたり、中小企業基本法に基づく『中小企業白書』が発表されてきましたが、それと並び今後報告していく白書となります。大きな違いとして、中小企業基本法は中小企業の成長発展を支援することを主な目的としていることから、中小企業の成長発展を視点に『中小企業白書』が作成されてきました。小規模基本法では、人口減少や農村部まで浸透したグローバリゼーションがもたらした価格競争など小規模事業者をめぐる事業環境が厳しさを増す中、小規模事業者の持続的発展を支援していくことを明確に打ち出しました。この持続的発展というもう1つの新たな視点を軸として『小規模企業白書』を作成しています。

ミラサポ事務局:『2015年版小規模企業白書』では、どのような内容を取り上げているのですか。

桜町課長:全体を2部構成としています。第1部では小規模事業者の構造分析や経営課題などを明らかにし、第2部では、第1部を受けて、実際の小規模事業者の取組事例を紹介しています。


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■定価 税込 2,700円
■発行 日経印刷株式会社
■題字及び表紙デザイン  紫舟(書家/アーティスト)さん
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「小規模事業者」がわかる!

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図表1 身近な小規模事業者の数(業種別、常用雇用者の有無別)

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図表2 身近な小規模事業者の数(業種別、常用雇用者の有無別)

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図表3 経営者から見て従業員は会社や事業に貢献しているか

ミラサポ事務局:『2015年版小規模企業白書』では、どのような内容を取り上げているのですか。

桜町課長:第1部は第4章まであり、第1章では、さまざまな統計データから小規模事業者の実態を明らかにしました。小規模事業者数を常用雇用者の有無別に見た図表では(図表1)、例えば、宿泊業・飲食サービス業48万者のうち、ラーメン店などの専門店で10.4万者、居酒屋・ビヤホールで9万者、喫茶店で5.6万者が小規模事業者であることが一目で分かるようになっています。建設業や製造業、卸売業・小売業、生活関連サービス業・娯楽業など全業種についての集計結果を掲載しているので、経営者の方にはぜひ目を通して頂いて、「当社がどこに含まれているか」を確認して頂きたいと思います。
また今回、小規模事業者を対象にアンケートを実施したところ、従業者に占める親族従業者への依存度が非常に高いことが明らかとなりました。個人事業主で約7割、法人で約4割を占めており、家族や親族全体で事業を支えていることが分かります(図表2)。同じアンケートからは、従業員の働きぶりについて、経営者は大変評価していることが見てとれます(図表3)。

これまでの小規模事業者の動向

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図表4 我が国の事業者数、事業所数の推移

ミラサポ事務局:過去の小規模事業者の動向も掲載されていますね。

桜町課長:第1部第2章では、小規模事業者の動向について俯瞰しています。過去最長50年間の我が国の事業者数、事業所数の推移を見たところ(図表4)、規模を問わず、1986年までは増加傾向でしたが、それ以降は減少に転じていることが分かります。小規模事業者数を見ると、1986年の約477万者をピークに減少に転じ、2012年に約334万者となっており、26年間で約143万者が減少(▲約30%)しています。

小規模事業者の未来につながる取組

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図表5 販路開拓に向けて、小規模事業者が実際に取り組んでいる取組(複数回答)

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図表6 販路開拓のために実際に取り組んでいる取組(複数回答)と直近3年間の売上傾向との関係

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図表7 小規模事業者の経営計画書の作成経験の有無

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図表8 フリーランスという働き方についての感じ方

ミラサポ事務局:小規模事業者の販路開拓や雇用形態に関する取組も紹介されていますね。

桜町課長:第1部第3章では、小規模事業者の未来に向けた効果的な経営力の向上や、自らの持つ技術やスキルを拠り所に、組織に属さず個人で活動する「フリーランス」などの新しい働き方について取り上げました。
経営力の向上面では、今回のアンケート調査で、販路開拓のために、小規模事業者が実際に取り組んでいる取組と、直近3年間の売上傾向について尋ねたところ(図表5)、小規模事業者は対面的な営業活動に最も積極的に取り組んでいることが分かりますが、売上の増加には必ずしも結びついている訳ではないことが分かります(図表6)。
こうした取組については、売上の増加につながるよう、精度の向上に取り組むことが必要であるといえます。

また、小規模事業者の販路開拓等の事業活動を後押しする国の支援策の一つとして、「小規模事業者持続化補助金」を紹介しています。本補助金の特徴は、受給要件の一つに、小規模事業者が経営計画書を自ら作成し、作成した計画の審査を受ける必要があることです。採択された小規模事業者を対象にアンケートを行ったところ(有効回答数 5,266件)、全体の約6割がこの補助金の活用をきっかけに、はじめて経営計画書を作成したと回答しています(図表7)。

また、経営計画書作成後、小規模事業者の意識の変化を聞いたところでは、
✔「自社の強み・弱みが明らかになった」(50.8%)
✔「新たな事業を企画できた」(50.3%)
とする回答が5割を超えたほか、
✔「事業の見直しを行うきっかけとなった」(43.3%)
が約4割を超えるなど、経営に向き合おうとする意識が生まれています。
本補助金で求めている経営計画書は1ページ程度の簡易なものですが、小規模事業者が自らしっかりとして経営計画を練る上で、十分効果があるものと思います。

50万円が経営を変えるきっかけに!小規模事業者持続化補助金

新しい働き方として取り上げた「フリーランス」では、その事業形態についてアンケート調査を実施し、把握を試みました(有効回答数 800件)。アンケートの制約上、フリーランスの全体像を直接把握することはできませんが、その傾向を捉えることができました。詳細はぜひ白書をお読みいただきたいと思いますが、興味深いアンケート結果を一つご紹介します(図表8)。
フリーランスご自身の働き方について、どのような点をメリットや、デメリットと考えているか、フリーランス自身の働き方について、5つの評価尺度を設定し、満足度を聞いたところ(図表8)、

✔「仕事の自由度や裁量の高さ」(72.6%) ※「大変満足している」「満足している」を集計、以下同じ。
✔「仕事の内容ややりがい」(64.7%)
との回答は高く、6割超える一方で、
✔「社会的評価」(19.2%)
✔「収入」(14.5%)
との回答は低く、2割未満に留まりました。
収入や社会的評価の満足度は低いながらも、総じて自身の仕事に誇りを持ち、取り組んでいる姿勢がうかがえます。

地域に欠かせない存在として活躍

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図表9 小規模事業者の地域活動への参加状況

ミラサポ事務局:小規模事業者の地域での活動状況も調査されていますね。

桜町課長:第1部第4章では、小規模事業者と深い関わりのある地域との関係にも言及しています。アンケート調査結果の一つとして、小規模事業者の地域活動への参加状況を紹介したいと思います(有効回答数 5,874件)。
地域において代表的と考えられる活動を3つ取り上げ、それらの活動への小規模事業者の参加状況を聞いたところでは(図表9)、

✔「地域のお祭り、イベント」(73.9%)※「積極的に参加している」「参加している」を集計、以下同じ。
✔「消防団・防犯活動」(38.0%)
✔「PTA活動」(26.8%)
となりました。実に7割を超える小規模事業者が、地域のお祭り、イベントに参加しています。この他、消防団・防犯活動、PTA活動についても少なからず参加していることが分かります。

今後、少子高齢化や人口減少が進行してゆく地域も多いですが、そのような中でこそ小規模事業者は必要不可欠な存在として、ますます活躍の場が広がっていくことが期待されます。

多くの取組事例から気づきが!

ミラサポ事務局:第2部の見どころを教えてください。

桜町課長:第2部では4章にわたって、小規模事業者の経営への取組事例を数多く(42事例)取り上げました。今回の小規模企業白書の目玉の一つです。時代の変化に翻弄されながらも地域と共に逞しく活動している実態について、ヒューマン・ストーリーを織り交ぜながら紹介しています。この取組事例については後篇でしっかりとお伝えしていきますが、国内総企業数の9割近くを占める334万者の経営者をはじめ、自治体や支援機関の方々が白書を手に取って頂いただき、さまざまな気づき 経営のヒントを得ていただきたいと考えています。

後編:ミラサポ総研Vol32「「小規模企業白書」刊行にこめた想い」

『2015年版小規模企業白書』全文




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