Vol.33 マイナンバー制度って、どんな制度?何が出来るようになるの?内閣官房 企画官にインタビュー

2016年1月から実施される「マイナンバー制度」。
「マイナンバー制度」とはどんな制度であるのか、制度によって何が変わるのか、マイナンバー制度の周知広報を担当している内閣官房 社会保障改革担当室・内閣府 大臣官房番号制度担当室 森田 博通企画官にうかがいました。
※本記事は2015年9月17日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

マイナンバー、個人番号カード、マイナポータル 3つそろって「マイナンバー制度」

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ミラサポ事務局:「マイナンバー制度」とは、どのような制度なのでしょうか?

森田企画官:マイナンバー制度は、

  • マイナンバー(個人番号)
  • 個人番号カード
  • マイナポータル
  • の3つの要素があることをまずご理解いただきたいと思います。

    まず、マイナンバーは、「税」、「社会保障」、「災害対策」の3つの行政分野から導入され、2016年1月から利用が始まります。
    分野を横断する番号制度は、欧米などでは1960年代頃までに導入した国も多くあります。日本でも1970年代頃から議論はあったのですが、なかなか実現しませんでした。このため、日本では行政機関ごとにそれぞれ付番し、情報を管理しているので、機関を超えて情報のやりとりでは番号で突合できないことから、氏名・住所などの情報での突合が必要になり、時間と労力を要しています。
    社会保障、税、災害対策の3分野でマイナンバーを導入することで、行政事務が簡素化され、業務の効率が高まり、利用者も手続きでの待ち時間が短くなったり、社会保障の手続で住民票や所得証明書などの添付書類が減ったりするなど、利便性が向上します。さらに情報のやりとりの確実性も高まります。

    また、社会保障・税の分野で、給付金などの不正受給や不当に負担を免れることを防止することが可能になります。本当に困っている方に、受けることが可能な給付の申請を促すことも可能になりますし、低所得者対策をよりきめ細かくしていくことも可能になります。

    社会保障制度は、年金、医療、介護、子育てと、いずれも次の世代に引き継いでいかなくてはならない制度です。そのためにも不正、不当なものをなくし、公平・公正な税・社会保障制度としていかなければなりません。個々人がメリットを感じることは少ないと思われるかもしれませんが、社会全体として重要な社会基盤と認識しています。

    これまでの個人情報同様、適切な管理を行えば問題ない

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    ミラサポ事務局:「マイナンバー制度」導入にあたり、中小企業・小規模事業者はどのような対応を行う必要があるのでしょうか。

    森田企画官:従業員、配偶者・扶養親族をはじめ、取引先、株主などのマイナンバーを集め、適切に管理していただく必要があります。これまでの税や社会保険の調書や届出書の様式にマイナンバーの記載欄が加わるだけなので、届出書類の数が増えるわけではありません。ただし、マイナンバーを集めるときには、番号が正しいかの確認と、正しい番号の持ち主かの身元確認を行っていただく必要があり、その点は新たな事務をお願いすることになりますが、なりすまし防止のために必要なことですので、適切な対応をお願いしたいと思います。

    マイナンバーの管理に関してはガイドラインを踏まえた安全管理措置を採る必要がありますが、人事・給与などの情報は現在も機微な個人情報であり、通常、担当者のみが閲覧・利用できるように管理されていると思います。紙で管理しているのであれば、鍵のかかる棚や引出しに保存するなど、こうした機微な情報の現在の管理と同じように扱っていただければ、問題ありません。ガイドラインでは具体例を例示していますが、すべてが義務付けられているわけではありません。マイナンバーの管理のために大幅な対応の変更をしなければならないと思っていらっしゃる方もいると思いますが、事業者によって必要なセキュリティレベルは違います。必要な対応のみを適切に行っていただければ問題ありません。

    マイナンバー独自の対応としては、従業員が退職した後、マイナンバーが不要となった時に、確実かつ速やかに廃棄していただかなければいけません。この点は、これまでの個人情報の管理にはなかった点ですので、注意してください。

    一部誤解されている方もいらっしゃるようですが、マイナンバーの管理を無理に電子化する必要はありません。紙の情報で管理するのであれば、鍵のかかった棚や引出しなどで保管していただければ、問題ありません。
    電子化して管理している場合、マイナンバーに限った話ではありませんが、最近では公的機関だけでなく民間企業もサイバー攻撃で狙われています。ウィルス対策ソフトを最新版に更新した上で、不審なメールは開かないなど、最低限のことを全従業員に教育していただきたいと思います。

    罰則についても誤解もあるようですが、社員が故意に持ち出して販売するなどのケースでなく、過失で情報が漏えいしてしまったといった場合には、すぐに罰則ということにはなりません。企業の信用・信頼の問題はもちろんあるでしょうが、過度に不安に思わず、必要な対応を行っていただければと思います。

    マイナンバーと同時に、法人には「法人番号」が付番され、2015年10月以降、書面で登記上の所在地に送られ、税務手続きなどの際に法人番号を記載することとなります。法人番号は国税庁が管理するホームページで公表され、検索できるようになります。今後は、行政などが公表する情報はできる限り法人番号を付けて公表します。法人番号を使って検索することで、様々な法人の情報がインターネットなどで広く収集できるようになります。

    ICチップにより、さまざまなサービスが個人番号カード1枚で!

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    ミラサポ事務局:個人番号カードを活用すると、どのようなことが行えるのでしょうか。

    森田企画官:まず個人番号カードの申請についてですが、2015年10月以降ご自宅に簡易書留で郵送される「通知カード」とともに、個人番号カードの交付申請書が送られてきますので、必要事項を記入し、顔写真を貼って、返信用封筒に入れて郵送してください。郵送でなくとも、スマートフォンやパソコンからWEBで申請を行うこともできます。
    受け取りは、通知カード、交付通知書、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を市区町村の窓口に持参して、受け取ってください。

    「個人番号カード」は表面には氏名・住所・生年月日・性別・顔写真が記載されています。表面は、運転免許証やパスポートなどと同様に本人確認書類として活用できます。裏面には個人番号が記載されています。
    最大の特徴は、いろいろな場面で使えるICカードであることです。ICチップにはいくつかのアプリが格納され、「電子証明書」が格納された公的個人認証のアプリや、住基アプリなどの全国共通アプリの他に、市区町村などが独自に用意したアプリが搭載されます。
    このICチップにより、個人番号カードが印鑑登録証や図書館カード、健康保険証のかわりとなり、さまざまなサービスを個人番号カード1枚で受けられるようになります。
    他にも、現在100程度の市区町村で提供しているコンビニなどで住民票や印鑑登録証明書などの公的な証明を取得できるサービスが、今後800程度の市区町村で実施される予定です。また、公的個人認証サービスを民間へ開放する予定ですので、オンラインバンキングなどのオンライン取引や口座開設などが、安全かつ迅速に利用できるようになります。さらに、一定の手続きを踏めば、個人番号カードを社員証としても利用ができます。

    カードの写真を削って貼り換えようとしても、偽造がわかる技術が用いられています。ICチップもいじると壊れてしまいますので、偽造・不正は行えないようにしています。
    個人番号カードの利用にはパスワードを設定しますので、個人番号カードを紛失したとしても、それだけで悪用されることはありません。クレジットカードをイメージしていただければわかりやすいのですが、カードに番号が記載されていますが、暗証番号がなければ利用できません。個人番号カードは様々なサービスに利用できるようになりますが、カードがあっても、パスワードがなければ何にも利用できません。そもそもICチップには情報にアクセスするための鍵となる電子証明書やIDは入りますが、情報を溜めていくことにはなっていませんので、ご安心ください。
    もし、紛失してしまった場合、365日24時間対応するコールセンターを開設しますので、そちらにご連絡いただければ即時サービスを止めることは可能です。

    マイナポータルに自治体からタイムリーなお知らせが!

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    ミラサポ事務局:最後に、「マイナポータル」ではどのようなことが行えるようになるのでしょうか。

    森田企画官:マイナポータルは2017年1月以降に順次サービスを開始する予定です。
    パソコンやスマートフォンなどを使って、カードリーダーなどで個人番号カードの情報を読み取り、パスワードを入力することで利用できます。

    元々、自分の情報が、自分の知らないところで勝手にやり取りがされるのではないか、という心配を解消するために作られたサービスで、国や自治体などの行政機関が、いつマイナンバーの手続で個人情報をやりとりしたのか、履歴を閲覧できるようになります。また、自治体などが保有する自分の個人情報を確認することもできます。

    利用者の利点としては、自治体などから個人に対して直接お知らせが出来るオンラインのルートができるので、例えばご家庭のお子さんに必要な予防接種のお知らせが届いたり、年金や介護などの各種お知らせを受け取ったりすることが可能になります。

    社会保障のお知らせでは、これまで、ある給付金で受給対象と見込まれる人だけに出せばよいお知らせを、相手が特定できないため、幅広くお知らせをせざるを得なかった場合もあります。今後は自治体による対象者の絞り込みが今よりも容易になり、マイナポータルを通じて、必要な方を絞り込んでお知らせすることも可能になります。

    また、引っ越しなどのライフイベントに関する手続きの、官民横断的なワンストップ化も検討していますので、便利にご利用いただけると思います。

    個人事業主の方などが税の申請をe-Taxで行う場合、マイナポータルで得られる情報と連携すれば、税の手続きも簡素化し、税務署に出向いて手続きを行うより、時間や手間が省かれるはずです。

    日本郵便では「電子私書箱」サービスを検討しています。封書などで受け取っている証明書など、各種書類を電子ファイルで受け取れれば、自身で電子化せずe-Taxなどの電子手続きが可能になります。ペーパーレス化、作業効率化、コスト削減にもつながるはずです。

    さらに、民間企業もアプリを開発して提供するなど、オンラインサービス提供の場として利用することができます。利用者は自分で自由にポータルサイトの内容をカスタマイズできるようにする予定ですので、便利なアプリを事業者が開発し、利用促進を図れば、サービスの充実を図ることもできます。

    民間活用という点では、個人番号カードとマイナポータルは、民間の創意工夫により、様々な利用拡大が見込まれます。




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