Vol.38 海外進出のチャンス到来!?海外展開支援について

2015年10月にTPP協定が大筋合意に至りました。TPPの特徴の一つとして、日本から輸出する工業製品の99.9%の関税が撤廃されることがあげられます。つまりTPPにより、最終的にはほとんどの工業製品が協定締約国へ無税で輸出できるようになるのです。
これまで以上に海外と日本の距離が近くなり、海外進出のチャンスが訪れます。

そこで今回のミラサポ総研では、中小企業・小規模事業者の海外展開を支援する中小企業庁 経営支援部 創業・新事業促進課 海外展開支援室 和田 祐造新事業促進専門官と中嶋 和海外展開係長に、TPP協定締結前である今からぜひ活用してほしい海外展開支援施策についてうかがいました。
※本記事は平成27年12月2日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

新たな市場を求め海外展開ニーズ高まる

FIXME

クリックすると拡大します

ミラサポ事務局:海外展開における、中小企業・小規模事業者の現況をお聞かせください。

我が国の人口は減少傾向で、それに伴い国内の市場規模は縮小化されていきます。そのような環境もあり、新たな市場を求め、海外展開へのニーズは高まっています。

海外展開には、大きく分けて「輸出」と、海外に子会社を持つ「投資」があります。現在「輸出」を行う製造業は約6,300社、「投資」を行う企業は約5,600社に上ります。「輸出」と「投資」双方を行っている企業もありますので、重複を除くと約1万社が現在海外展開を行っている状況です。

そして2013年に発表された「日本再興戦略」では、この海外展開を行う中小企業・小規模事業者の数を2017年度末までに新たに1万社増やすことを目標に掲げています。
目標を掲げる以前より海外展開支援施策を用意していましたが、中小企業庁では昨年7月に中小企業の海外展開支援を更に強化するため「海外展開支援室」を立ち上げ、目標実現に向けて全力を尽くしています。

ビジネスステージに応じた各種施策を用意

FIXME

ミラサポ事務局:新たに1万社の海外展開を実現するために、どのような支援を行っているのでしょうか。

海外展開実現のロードマップには、4つのステップがあると考えています。
1:海外の情報を収集する
2:事業展開の計画を立てる
3:代理店・バイヤーなど海外パートナーの開拓など、具体的な準備を進める
4:海外展開を実施・海外展開後に安定操業を続ける

ビジネスステージに応じた各種施策を用意しています。その主な実施機関は、中小機構(中小企業基盤整備機構)とジェトロ(日本貿易振興機構)となります。

1:海外の情報を収集する
中小機構やジェトロでは、海外展開セミナーを数多く行っていますので、お近くのセミナーに参加いただければと思います。
また、ジェトロのホームページでは世界各国の経済、産業、統計、貿易・投資実務などに関する情報を国・地域別、分野別に整理し「海外ビジネス情報」として提供しています。
中小機構「海外展開(進出・販路拡大)セミナー・イベント」
ジェトロ「セミナー・講演会」
ジェトロ「海外ビジネス情報」

2:事業展開の計画を立てる
専門家に相談することやF/S(フィージビリティスタディ:事業可能性の検証)が、このステップでのアクションです。
中小機構、ジェトロ双方で相談を受け付けていますが、
・中小機構:海外展開に関する経営課題や、事業計画策定を専門家に相談する
・ジェトロ:現地の最新情報を基に、どこに進出するのがよいか相談する
と、相談の内容により使い分けていただければと思います。
自社の海外展開計画を検証したい場合や、現地でF/S調査を行う際にも支援が受けられますので、ぜひご相談ください。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス」
ジェトロ「貿易投資相談」窓口

認定支援機関でも、経営支援の一環として海外展開の支援を行っているところもあります。中小機構やジェトロよりも拠点数が多く、みなさんにとって身近な相談先なのではないでしょうか。この海外展開支援を行える認定支援機関の数を増やすために、認定支援機関向けセミナーにも力を入れています。
海外展開をサポートするお近くの認定支援機関はこちら

グループでの進出を継続して支援していく

ミラサポ事務局:ステップ3では中小企業庁が行っている事業もあるそうですね。詳細を教えていただけますか。

3:具体的な準備を進める
新しく海外販路を広げるときに活用できる支援施策「JAPANブランド育成支援事業」です。事業計画の策定、新商品の開発、展示会・商談会の開催、海外でのプロモーションなどを支援しています。どのような業種でも申請いただけます。
2004年度から10年以上続いている事業で、これまでに累計407件の支援を行ってきました。年々認知度が高まってきており、申請数は直近3年間で146件、162件、173件と増え続けています。公募は例年2月もしくは 3月に始まり、現在来年の予算要求をしている状況です。

商工会や商工会議所、組合、NPO法人、4者以上の中小企業グループなどが支援対象となります。

主に2つの支援内容があります。
・戦略策定段階への支援
地域の強みなどを分析し、自分たちの商品の強みはどこか、どんな戦略を立てるべきか、ブランドコンセプトと基本戦略を固めるために、専門家の招へい、市場調査、セミナー開催などを行う取組みに対して支援を実施します。補助上限額は200万円です。

・ブランド確立段階への支援
中長期的な視野に立ったブランド確立への取組みを支援するために、専門家の招へい、新商品開発、海外展示会への出展などに活用できます。補助率は2/3で、補助上限額は2,000万円です。
国の施策は単年度が多いのですが、継続して最大3年間支援を行うことが特徴です(年度ごとに審査あり)。海外展開はすぐに効果が出る訳ではありません。同じ展示会へ継続して出展し、ブランドを認知してもらい、やっと海外の目の肥えたバイヤーに声をかけてもらい、商談をすることができるようになります。よって、継続して支援をすることが重要だと考えています。

新商品開発ではより海外で売れるためのアドバイスを、専門家が行っていきます。業種は問いませんが、日本の技術や強みを生かしたものを売り込んでいくことが多いので、近年では伝統工芸、食品の申請が多いように感じています。

FIXME

これまでの実績としては、「高岡銅器協同組合」がインターナショナルブランド「KANAYA」を作り上げ、海外市場へ販路拡大を図る取組みを支援しました。パリの見本市「メゾン・エ・オブジェ」へ出展し、各国のバイヤーから高い評価を得た結果、ヨーロッパへの販路開拓に成功しました。売上に占める海外比率も3%と伸ばしています。

また、「鹿児島県商工会連合会」は鹿児島県産食材のアジアでの浸透を図る取組みを行い、香港・上海・台湾を中心としたアジア市場で事業展開ができるまで成長し、参画企業7事業者で海外売上が約2,700万円増加(平成25年度)しました。
下記リンク先の資料ではこの二つの採択プロジェクト以外の実績も紹介しております。
ぜひ、ご一読ください。
JAPANブランド育成支援事業について

安定操業へ向けて資金調達から現地サポートまで

FIXME

ミラサポ事務局:最後に、一度海外へ進出した後に受けられる支援を教えてください。

4:海外展開を実施・海外展開後に安定操業を続ける
日本公庫(日本政策金融公庫)では海外展開に必要な資金の融資を受け付けています。また、中小機構では「中小企業成長支援ファンド」もありますので、ご検討ください。
日本公庫「海外展開・事業再編資金」
中小機構「中小企業成長支援ファンド」

また、現地スタッフの採用や海外進出準備期間の活動拠点の提供、海外現地で発生した様々な課題、海外法務・労務・税務など専門的な相談も新興国を中心としたジェトロ海外事務所で受け付けていますので、業務上のご相談もジェトロの窓口へご連絡をいただければと思います。
ジェトロ「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業」

海外展開を考えるうえで、今はとても良い状況だと思います。この記事でお知らせできなかった支援施策も多数用意しておりますので、ぜひ自社の状況に合わせた支援施策をご活用ください。
中小企業海外展開支援施策の概要

併せて読みたい!創業に関するお役立ち情報は、下記からご覧いただけます。

ミラサポ「海外展開」ページ

日本と海外のビジネスの架け橋 日本貿易振興機構(ジェトロ)に関してはこちらからお読みいただけます。
公的機関の歩き方 Vol.2-1日本貿易振興機構(ジェトロ)

公的機関の歩き方 Vol.2-2日本貿易振興機構(ジェトロ)




すべての特集を見る