Vol.41 中小企業等経営強化法 平成28年7月施行 稼ぐ力を強化するチャンス!

「中小企業等経営強化法」が平成28年7月に施行され、中小企業・小規模事業者や中堅企業の生産性向上を集中支援することとなりました。
施行に至った背景や、中小企業・小規模事業者のみなさんが活用できる支援施策などについて、中小企業庁 事業環境部 企画課 佐伯 徳彦課長補佐(総括)にお話をうかがいました。
※本記事は平成28年6月13日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

「労働生産性」の格差を「稼ぐ力」で埋めたい!

従業員一人あたり付加価値額の推移

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ミラサポ事務局:まず、中小企業等経営強化法の制定・施行に至った背景や目的などについて教えてください。

日本経済が力強さを高めていくためには、GDPの6割を占める個人消費の活性化が必要です。このためには、企業において賃上げが行える経済構造にしていき、働いている方々の給与が増えて、経済の成長を実感できるようにしなければなりません。

しかし、人口減少・少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少や、国際競争の激化等により、中小企業・小規模事業者を取り巻く事業環境は厳しさを増しています。「従業員一人あたりの付加価値額*の推移」のグラフをご覧いただくと、従業員一人あたりの儲けを示す「労働生産性」は、大企業が成長している中、中小企業・小規模事業者は停滞状況にあり、その格差は広がるばかりです。

*従業員一人あたりの付加価値額=(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業員数

この状況を打開するために、中小企業・小規模事業者の方々が生産性を高められ、一人あたりの儲け「付加価値」を増やすことをポイントに施策の検討を行ってきました。

その中で重要なことは産業構造の変化です。サービス業の比率は上昇を続け、現在では雇用の7割を占めています。これまでは製造業を念頭においた施策を多く展開してきましたが、サービス業の方々にも使っていただける様にすることが必要です。例えば、サービス業では新しい収益源を開拓することは容易ではありません。「本業」の売れ筋を把握する、人手不足でもサービスの質を落とさないことなど、経営管理をうまく入れて、「本業」の収益力を高めることが必要であると考えています。

また、日本の経営者の多くが60歳以上であり、事業承継も社会問題となっています。儲かっていなければ、親族などの後継者に事業を継がせることはできません。10年後、20年後も事業を残していくためにも、今この課題に取り組まなければならいないと感じています。

このような背景を踏まえ、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」を改題して、「中小企業等経営強化法」とし、中小企業・小規模事業者のみなさんの稼ぐ力や生産性向上を応援させていただきたいと思います。

「事業分野別指針」を踏まえて、「経営力向上計画」を申請

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ミラサポ事務局:「中小企業等経営強化法」のもと、どのような施策が展開されるのでしょうか?

まず、「経営力向上計画」の申請書を書いていただきます。申請書は2枚と非常に簡単にしています。

この申請を書いていただくにあたり、ヒントとしていただくため、業種毎に「稼ぎ方のポイント」をまとめた「事業分野別指針」を参考にしていただきたいと思います。

「事業分野別指針」は、一言で言えば、稼ぎ方の事例や考え方をまとめたものです。私どもは「がんばる中小企業・小規模事業者300社」など、多くの優良事例を紹介してきていますが、より自分の問題、自分ごととして読んでいただけるために、業種毎に事例を指針としてまとめています。

この事業分野別指針では、業種の現状認識、目標、稼ぐために必要となる具体的な実施事項にまで言及していきます。また、事例をどんどん掲載していこうと考えています。「稼ぎ方」が事例から、より具体的なイメージをお持ちいただけるものと期待しています。

例えば「中食・外食業」の指針には、商圏の状況やお客さんの層に合わせて、ラインナップを変えていくなど、経営を考え、マネージメントをしてもらうための具体策が書かれています。

まずは、自社事業の「事業分野別指針」をご一読ください。
*「事業分野別指針」がない場合にも、基本方針に基づき申請することができます。

この「事業分野別指針」を踏まえて、自社の「経営力向上計画」を作成し、申請・認定されると、「固定資産税の軽減措置」や「金融措置」を受けることができます。

「固定資産税の軽減措置」は、資本金1億円以下の中小企業者が、①「経営力向上計画」の認定を受けていただき、②160万円以上の機械及び装置であって、③過去のモデルと比較して年間1%以上生産性が向上しているものを購入すれば、3年間、固定資産税が1/2に軽減されるというものです。
特に、平成28年度は既存の設備投資減税(生産性向上設備投資減税)の支援措置と併用して支援を受けられます。設備投資をお考えの方は、ぜひ今年度中にご活用いただければと思います。

「金融措置」では、計画に基づく新しい事業活動を行う場合、政策金融機関の低利融資を受けられることや、民間金融機関の融資に対する信用保証の増枠と保証料率の引き下げ等により、円滑な資金調達を支援していきます。

この2つの支援施策以外にも、「補助金」の優遇についても検討しています。「経営力向上計画」が「パスポート」のような役割を果たすことを考えています。追加支援施策の検討も進めていますので、ぜひお早めに申請を行ってください。

申請は支援機関がサポート!

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ミラサポ事務局:「経営力向上計画書」の申請はどのように行えばよいのでしょうか?

申請のためにみなさんに行っていただきたい流れをまとめますと
1. 「事業分野別指針」を読む
2. 自社の置かれた環境を把握し、強み・弱みを整理する
3. 「事業分野別指針」の中から、稼ぎのために何を行うべきか選択する
4. 「経営力向上計画書」にまとめる 
5. 事業分野ごとの担当省庁に申請する
この5ステップでしょうか。

これらを行うにあたり、まずは税理士さんや金融機関、商工会・商工会議所など、支援機関にご相談ください。計画の策定から、実施までをサポートいたします。なお、支援機関は認定支援機関に限ってはいませんので、普段からお付き合いのある支援機関さんに、ご相談くださればと思います。

小規模事業者の方は、経営計画作成アプリ「経営計画つくるくん」などのアプリを使い、ご自身で経営計画をまとめてもよいかと思います。

提出いただく「経営力向上計画書」の申請書類は実質2枚のみです。
この2枚に自社の現状や目標、「事業分野別指針」から選んだ取り組みを記入してください。
今回の申請では「事業分野別指針」から稼ぎのために何を行うか取り組みを選び、記載してもらうので、申請書の作成は難しいことはないと考えています。
申請の手引きも用意していますので、ぜひこちらもご確認ください。

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なお、固定資産税の軽減措置を希望する方は、設備を導入する前の【申請の段階】で、「中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る仕様等証明書(設備証明書)」を提出してください。
購入を予定している機器のメーカーに依頼をすれば、発行してもらえます。

申請の提出は、業種により異なります。事業分野ごとの担当省庁の出先機関までお願いします。例えば、経済産業省であれば、各地方の経済産業局となります。持参いただいても、郵送でも受け付けています。
申請書を受理してから、1か月ほどで認定結果をご連絡いたします。申請が殺到して、この標準処理期間が伸びるような場合には、別途アナウンスいたします。



ご質問、お問い合わせは、「経営力向上計画相談窓口」へご連絡ください。
中小企業庁 事業環境部 企画課
TEL:03-3501-1957(平日9:00-12:00、13:00-17:00)

詳しくは中小企業庁のホームページにも、掲載されていますので、ぜひ一度ご覧ください。

「中小企業等経営強化法」が施行され、中小企業・小規模事業者のみなさんの生産性が向上し、「稼ぐ力」をつけていただくことはもちろんのこと、30-40代くらいの若い経営者のみなさんが「稼ぎ方」について議論してくれるような状況になるとよいと思っています。
今の時代、「稼ぎ方」や「稼ぐ」ということに関して、 開けっ広げ に議論されることが少なくなっている気がしています。成功体験を持っている経営者の方も高齢化している中、次の世代の経営者が「稼ぎ方」について議論する声が聴けると、個人的にはとても嬉しいです。

関係省庁が連携し、今後も支援施策を増やしていきます。
「経営力向上計画書」の申請を、お待ちしています。




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