Vol.42 3つのIT導入支援施策で中小企業の経営力強化・生産性向上をバックアップ!

平成28年度補正予算では、中小企業の経営力強化・生産性向上に向けた取り組みとして、大きく3つのIT導入の支援施策が展開されます。
今回のミラサポ総研では、IT導入支援施策を企画する中小企業庁 長官官房 参事官室 村上 貴将 政策企画委員に、今IT導入支援に力を入れる背景や、今後展開される支援施策の概要についてお伺いしました。
※本記事は平成29年1月18日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

中小企業を取り巻く環境とIT技術の進歩、今しかない!

ミラサポ事務局:今回ITに重点を置いた支援に力を入れることとなった、背景を教えてください。

村上委員: 中小企業は約380万事業者がいます。地域による違いや、企業ごとに状況は異なりますが、景気回復の実感が持てないという声を多くの中小企業からお聞きします。アベノミクスによる景気回復の効果は、大企業ばかりが受けていると感じているようです。
中小企業の共通課題として、人口減少・高齢化による人手不足、その人手を確保するためにも賃金を上げたいが、それも厳しいという状況が上げられます。補助金を活用して一時的に賃金を上げたとしても、生産性を高めなければ事業を継続することはできません。 賃金を上げるためにも生産性を向上させることが必要です。その効果的な策の1つとして、ITの導入があります。

もう1つITに重点を置いた理由に、技術の進歩があります。これまでもITの導入支援施策はさまざまと行ってきました。しかしながら、中小企業が導入するには技術的な壁や、コストの壁がありました。導入したいと思っても社内にIT技術に精通した人もおらず、導入した後の効果もわからない。導入するにしてもコスト(費用)がかかります。目の前には忙しい業務があるので、詳しく調べるなどの時間を割くことも、難しい状況でした。それが、IT技術が進歩したことによって、スマートフォンなどをみなさんも日常的に使っていらっしゃるように、ITがとても身近で使いやすいものになりました。
また、これまでも業種にとらわれない汎用性の高い会計ソフトなどを活用している中小企業は多くいましたが、業種特有の業務でITを活用しようとした場合、自社でのカスタマイズが必要となり、なかなか普及しませんでした。しかしここ数年で、業種別の業務に特化した、カスタマイズせずともすぐに導入できるアプリケーションやパッケージが多く開発されています。

このように、中小企業が生産性向上に本気で取り組まなければならない状況と、IT技術が進化し、中小企業にも使いやすくなった状況が重なった今こそ、私たちはIT導入支援に力を注ぐタイミングであると感じています。

サービス業の「本業」へのIT導入を支援!

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ミラサポ事務局:これまでもIT導入の支援は行っていましたが、今回の導入支援がこれまでの施策と異なるのは、どのような点でしょうか。

村上委員: これまでの施策では、本業が安定している中小企業に向けて、ITを導入して新事業に取り組み、さらに稼いでいただくための支援を行っていました。しかしながら、本業の生産性を上げていかなければ、新事業の展開も図れません。そこで、今回の支援では「本業」へのIT導入を支援します。

さらに、これまでのIT導入というと「ものづくり」への支援施策が多かったのですが、今回は中小企業の多くを占める「サービス業」のみなさんを中心に、支援を行っていきます。卸売、小売、飲食などサービス業の生産性は、そこに従事している「人」により、ばらつきがあります。ばらつきがあるということは、業務をベストプラクティス(最も効率のよい技法、手法)に集約していけば、生産性は向上すると考えられます。

昨年(2016年)7月に「中小企業等経営強化法」が施行され、事業分野別のベストプラクティス「事業分野別指針」を示しました。この指針を踏まえて、自社の「経営力向上計画」を作成し、申請・認定されると、「固定資産税の軽減措置」や「金融措置」を受けられるようになりました。すでに施行から半年で約1万件が認定されています。このベストプラクティスの1つが「IT導入」なのです。ITを導入することで、人によりばらつきが出ていた生産性が、向上されるのです。

「中小企業等経営強化法」では、事業分野別にベストプラクティスが用意されています。例えば宿泊業における「生産性が高まる」とは、「部屋の稼働率が高まる」ことかと思います。予約管理システム(IT)を導入し、室料の値付けを見直せば、稼働率が向上します。飲食業では食材ロス(廃棄となった食材の損失)が問題となっていますが、ITで食材を管理することで、ロスを減らすことができますし、運送業がトラックの配車管理にITを活用すれば、行き・帰りの積み荷の効率化を図れます。
このように、事業分野別にベストプラクティスが用意されているので、自社の課題に沿ったIT導入が検討しやすい環境も整いました。

そして、ITを導入したいけれど、どうすればよいのかわからない企業へは、IT専門家による導入サポートを行います。すでにITを導入し、生産性向上が図れた企業にヒアリングを行いますと、業務全体の見直しを行い、仕事の仕方を合理化したうえでITを導入しなくては、生産性の向上は図れないとみなさんおっしゃいます。ですので、今回のIT導入支援では社内にそのような知識を持った方がいなくとも、効果的にITを導入・活用していただくために、技術的なサポートを行うだけではなく、IT導入による業務全体の見直しをアドバイスできる専門家を派遣します。このことも、これまでの支援施策との違いです。
ITを導入してみたいが、何から始めたらよいかわからない企業や、導入したいアプリケーションやソフトはあるが、社内に導入に必要な知識を持った社員がいない企業は、ぜひIT専門家派遣をご利用ください。
このIT専門家派遣に関しては、具体的な活用方法や支援内容について、今後、このミラサポでお伝えしますので、お待ちください。

まずは、自社事業の「事業分野別指針」をご一読ください。
*「事業分野別指針」がない場合にも、基本方針に基づき申請することができます。

人がいない・効果がわからない・費用がない 全てに対処します!

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ミラサポ事務局:IT専門家派遣以外の支援施策も教えてください。

村上委員:IT専門家派遣の他に、大きく2つの支援施策を行います。

1つ目はITツール導入事例の紹介や相談の受付を行う「プラスITフェア」の開催です。平成29年3月3日(金)の東京会場からスタートし、全国10か所で開催します。

事例発表からの気づきもあると思いますし、会場では業種ごとのアプリケーションやソフトウェアの紹介もありますので、実際にどのような製品があるのかを知っていただき、自社の課題と照らし合わせて、導入を考えるきっかけにしていただければと思います。当ミラサポでは初回となる東京会場の模様をレポートしますので、楽しみにしていてください。


2つ目は「IT導入補助金」です。約600社のITベンダー(製品やサービスを利用者に販売する事業者)の、業種別業務に最適化されたアプリケーションやソフトウェアが登録されていますので、その中から自社に合った製品を選んでいただいた場合に、導入費用の一部を補助します。
ホームページでは導入可能な製品が一覧できますので、そちらをご覧いただくだけでも、参考になると思います。ぜひ一度、確認してみてください。

「IT導入補助金」の一次募集の公募期間は平成29年1月27日(金)から2月28日(火)17時までになります。予算の執行状況にもよりますが、1つ目でご紹介した「プラスITフェア」で興味を持っていただいた方に向けて、2次公募も予定しています。また、「IT導入補助金」についても、2月の中旬にはこのミラサポで活用方法などをお伝えしますので、そちらも参考になさってください。

これまでITに関する知識のある人が社内にいない、導入後の効果がわからない、導入費用がないといった課題を抱えていた中小企業の方々にも、「IT専門家派遣」が業務の見直しから導入までをサポートし、「IT導入補助金」では導入費用の一部を補助します。IT導入で何が変わるのかイメージができない方に向けては、「プラスITフェア」で事例紹介や相談会、実際の製品紹介も行います。
ぜひこの機会に、IT導入を検討いただき、本業の生産性向上に取り組んでいただきたいと思います。




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