Vol.47 活用してみませんか?中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン

【策定の意図など】
人材不足は中小企業・小規模事業者の経営上の大きな不安要素です。多様な働き手が最大限能力発揮できる職場づくりや、設備導入等による生産性向上に取り組んでいる好事例を収集・分析し、人手不足対応への考え方を整理しました。豊富な事例とともに、経営者にヒントを与えることを企図しております。
今回のガイドラインが人手不足にお悩みの企業・団体様にとって少しでも役に立つものであれば幸いです。

中小企業・小規模事業者の人手不足にはこうして対応しましょう!

中小企業庁が取りまとめた「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」では、以下の手順で中小企業・小規模事業者の人手不足対策を提示しています。

1.人手不足の状況を把握する

  • 人手不足は全業種にわたり深刻化。人口構造的に恒常化しうる問題。
  • 中小企業は大企業よりも離職率が高く、離職が人手不足につながっている側面もある。
  • 新卒は大企業志向。一方、復職女性、高齢者等は中小企業を選択する傾向にあり潜在労働力が多数。外国人も増加傾向。

2.基本的な考え方を理解する

  • 経営課題として深刻化する人手不足を変革・成長のための機会と捉え直す。経営者次第で変革が進む可能性。
  • 女性、高齢者、外国人等の多様な人材に視野を広げ、働き手の立場にたった職場環境整備等を進め、人材を確保する(掘り起こす)。
  • IT導入や設備導入、人材育成等により、労働生産性を向上する。

3.3つのステップから実践する

  • 【ステップ1】経営課題や業務を見つめ直す
  • 【ステップ2】業務に対する生産性や求人像を見つめ直す
  • 【ステップ3】働き手の目線に立って、人材募集や職場環境を見つめ直す

中小企業・小規模事業者の人手不足対応でポイントとなる3つのステップごとの取組と事例をご紹介いたします。

中小企業・小規模事業者人手不足ガイドラインの概要はPDFでもご覧いただけます。

ステップ1:経営課題や業務を見つめ直す

1.経営課題を見つめ直す

  • 自社のニーズ・課題に遡って捉えることで、経営課題についての解決の方向性・優先度を再認識する。
  • 出発点として、人材確保の経営課題上の意味・目的を明確化する。

取組事例

<課題と対策>

  • 技術志向・研究開発型企業への脱皮が必要だった。
  • 女性技術者集団を中心に研究開発を加速。育成した女性技術者と、中途採用のミドル層人材の両輪で、事業展開に貢献している。また、社員の残業を減らして効率化とインプット増加を図った。

2.人手が不足している業務を見つめ直す

  • 固定観念を払拭する。
  • 業務を洗い出し、軽作業と重作業を切り分ける、フルタイム勤務を短時間に切り分けるなど、業務を細分化する (プチ勤務)。見える化・細分化により切り出し分担することで、求人数は増えるが求人獲得の可能性が広がる。

取組事例

<課題と対策>

  • 季節労働者・若手採用が課題。しかし、シニアを「短時間シフト勤務」で活用し、季節的な仕事量の増減に対応した。各自の作業が不安なく確実に行えるように、その日の全作業を紙で配布するなど、シニア向けの工夫を行っている。

ステップ2:業務に対する生産性を見つめ直す

3.業務に対する生産性を見つめ直す

  • 段取り変更等のソフト的なアプローチと、ITやロボット投資による省力化のハード的なアプローチの両方を考える
  • 作業やノウハウをデータ化・見える化すれば、ソフト(多能工化等)・ハード(設備導入)のアプローチにつながる。
  • ムリ(設備や人への過負担)・ムダ(原価を高める要素)・ムラ(仕事量のバラつき)の削減や標準化を考える
  • 生産性の向上は副次的に人材の確保にもつながる。

取組事例

<課題と対策>

  • 多品種小ロット生産で利益をあげる体制にすることが課題。受注から部品製作・納品まで全てにおいてITを駆使。
  • 多くのプロセスが自社開発ソフトでデジタル化され、多品種単品の24時間無人化稼働を実現。

4.業務に対する求人像を見つめ直す

  • 固定観念を払拭し、業務の見直しと合わせて、求人像の幅を拡げる。必要により、人材育成の仕組みも考える
  • 求人像を明確化する

取組事例

<課題と対策>

  • 技術の伝承が課題。男性・日雇い勤務が業界の常識の中、全員正社員雇用女性採用を行う。
  • 一人前の職人になるには10年かかる世界で、作業工程を切り分けることで、経験の無い人材も短期間で戦力となる人材育成システムを展開。

ステップ3:働き手の目線に立って、人材募集や職場環境を見つめ直す

5.働き手の目線に立って、人材募集(自社PR、募集方法)を見つめ直す

  • ターゲットが明確で、ターゲットに対するメッセージがリアルで明確であることが重要。
  • ヒストリーやライフスタイルなど働き手から見た自社の特徴・魅力を訴えていくことが重要。欠点のPRも時に有効。
  • 社長自ら思いを語る等の採用体制や採用手法の選択も重要。募集時に良好な母集団を形成するという発想が重要。
  • インターンシップや職場見学会等により企業理解を促進することも重要。

取組事例

<課題と対策>

  • 女性社員が出産後も復職し、定着できる体制を整備する必要があった。
  • 女性社員に対応したインフラ整備等を行った結果、離職率は低くなり、出産後の復職率は上がった。さらに、毎年多くの技術職の採用に成功。

6.働き手の目線に立って、職場環境を見つめ直す

  • 働き手の制約や志向を考え、職場環境づくりをすることが重要
  • 女性(主婦等):育児との両立を重視しており勤務体系の柔軟性が重要。
    <対応策>女子トイレ設置、短時間勤務、フレックスタイム、在宅勤務等、時間に柔軟な勤務・休暇・配置等
  • 高齢者:健康や生きがいを重視しており、身体負荷への配慮や無理のないシフト、繰り返しの指示などが重要。
    <対応策>短時間勤務、無理のないシフト、再雇用前の意思疎通、分かり易い依頼の工夫、身体への配慮等
  • 外国人:能力、成果主義、ジョブの明確化を志向しており、人事制度の明確な説明が重要。私生活面でも苦労しがち。
    <対応策>人事制度の明確な説明、上司や先輩との交流、日本文化や日本語、生活面のサポート等

取組事例

<課題と対策>

  • 経営悪化状態で大量退職が発端となり、女性、高齢者、外国人など求人像の幅を広げ人員を補強。
  • 在宅勤務制度、70才まで働ける雇用制度、国籍・学歴。年齢・性別にとらわれない評価制度の導入。離職率ほぼゼロを達成し、23年連続黒字を達成。

<課題と対策>

  • 創業メンバーの高齢化、若手人材不足により、技能伝承に危機感を感じ、人材の採用・定着に取り組む必要があると認識。
  • 個々の事情に配慮した対応、IT導入等により、人材の安定的な確保及び生産性向上が実現。

中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集の活用について

現在、人手不足は、建設業やサービス業をはじめ全業種で深刻化しています。経営上の制約になっているところであり、経営のマネジメントの工夫が求められています。また、女性や高齢者、外国人といった多様な人材に目を向け、多様な人材から選ばれ、かつ、働き手が最大限能力を発揮できる職場を追求していくことが重要ではないでしょうか。さらに一人当たりの生産性を向上させるアプローチも有効です。これらを踏まえ、このガイドラインは多くの好事例から抽出される事項をもとに策定しております。ガイドラインにおける事例は、外形情報別、経営課題別、事業戦略別に整理しているので、ご自身に合った類型から検索し、人手不足にお悩みの企業・団体にとって少しでも役に立つものであればよいと思っています。

関連施策

人手不足対応ガイドラインの関連施策を活用することにより、事業者の取組を後押し。

3つのステップごとの支援策

【ステップ1】経営課題や業務を見つめ直す

  • よろず支援拠点等による経営相談(「人材不足対応アドバイザー」(仮称)の配置)
  • 中小企業大学校における経営者向け研修

【ステップ2】業務に対する生産性や求人像を見つめ直す

〇生産性を見つめ直す

  • 革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金の活用による設備導入
  • プラスITフェアやサービス等生産性向上IT導入支援事業の活用によるIT導入

〇求人像を見つめ直す

  • よろず支援拠点等による経営相談(「人材不足対応アドバイザー」(仮称)の配置)

【ステップ3】働き手の目線に立って、人材募集や職場環境を見つめ直す

〇人材募集を見つめ直す

  • 地域中小企業人材確保支援等事業によるマッチング支援等の活用
  • ハローワークの活用
  • 雇用関係助成金による採用の後押し
  • 外国人受入インターンシップ等の活用による外国人の受入れ
  • 新・ダイバーシティ経営企業100選等を活用したPR

〇職場環境を見つめ直す

  • 専門家派遣事業によるアドバイス
  • 職場意識改善助成金等の活用による環境整備
  • 雇用関係助成金による人材育成等
  • ものづくり中核人材育成事業等による人材育成

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