「専門家派遣」を徹底活用!~あなたにピッタリな専門家とめぐりあうために~

「ミラサポ」サイト内で、中小企業・小規模事業者の皆さまにぜひ活用してほしい機能を紹介。今回は「専門家派遣」を紹介します。
ミラサポ専門家派遣では、中小企業の経営に関わる各分野の専門家が、無料で課題解決に向けた相談を受け、アドバイスを行います。専門家派遣事業は2014年度から開始され、毎年2万~3万件の派遣を実施しています。
今回は、ミラサポ専門家派遣の活用方法を紹介するとともに、中小企業庁経営支援部経営支援課にその魅力やポイントなどについて伺いました。
※本記事は2019年2月8日時点の取材をもとに執筆・掲載しています。

中小企業の経営課題解決に必要な「専門家」のアドバイスを無料で受けられる

多くの中小企業では、自社の専業以外の部分で専門家を常時雇っている余裕はありませんが、さまざまな専門家の知識が必要になる場面は少なくありません。資金繰りの問題や販路拡大の問題、IT活用や事業継承問題など、専門家の知見が必要な課題が発生したら、一人で悩まず、ぜひミラサポ専門家派遣の活用を検討しましょう。

これまでの実績から見るミラサポ専門家派遣とは

ミラサポ専門家派遣は「中小企業・小規模事業者ワンストップ支援事業」の一環として2014年度に開始しました。年間2万~3万件の申請があり、ほぼ同数の派遣が実施されています。利用対象者は、中小企業者、小規模事業者および起業を目指す者などですが、利用者の7割近くが小規模事業者であり、大変高い割合を占めています。

専門家派遣の支援実績(件数)および相談内容内訳

専門家派遣の支援実績(件数)
および相談内容内訳
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図「専門家派遣の支援実績(件数)および相談内容内訳」を見ると、平成29年度の専⾨家派遣の事業実績は、約2万6千件です。分野別相談内容の内訳を見えると、平成27年度から29年度にかけて「販路拡大・販促支援」や「ITを活用した経営力強化」、「事業承継」に関する相談件数が増加していることが分かります。

平成29年度におけるミラサポ専門家派遣の支援内容内訳と派遣先企業業種内訳

平成29年度におけるミラサポ専門家派遣の支援内容内訳と派遣先企業業種内訳
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そのうち、平成29年度における派遣内容の内訳は、図「平成29年度におけるミラサポ専門家派遣の支援内容内訳と派遣先企業業種内訳」のとおり、「販路拡大・販促支援」に関する案件が33.4%、「ITを活⽤した経営⼒強化」に関する相談が19.2%、「経営⾰新」に関する相談が11.2%と上位を占めています。また、利用者の業種を見てみると、製造業が最多で全体の4分の1を占めており、続いて卸・小売業が全体の5分の1となっています。これにサービス業と宿泊業・飲⾷サービス業を加えると全体の7割以上です。

さまざまな専門知識を備えた専門家が登録されている

登録専門家の保有資格および専門分野別対応可能人数内訳

登録専門家の保有資格および専門分野別対応可能人数内訳
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ミラサポ専門家派遣では、支援機関の推薦を受けた専門家が全国で8,557名登録されています(2018年12月時点)。登録専門家の保有資格としては、中小企業診断士(2,423名)が最も多く、情報処理技術者(768名)、ファイナンシャルプランニング技能士(702名)が続きます。その他、税理士や弁護士といった公的資格を有する者や、豊富な経営支援の実績のある専門家が登録されています。専門家によっては、複数の資格を有するなど、ミラサポ専門家派遣における対応可能な専門分野は多岐に渡ります。
たとえば、「経営革新」に関する分野の相談については、4,227名の専門家が対応可能です。その他にも「創業」や「販路拡大・販促支援」などの分野においても、登録専門家数の半数以上が対応可能となっています。
ミラサポ専門家派遣では、これらの課題を解決するための支援として、無料で原則年3回までの利用が可能です。

専門家派遣の使い方と流れを解説!

ミラサポ専門家派遣を活用するに当たって、次のようなポイントがあります。

(1)まずは支援機関に相談を

ミラサポ専門家派遣を利用したい場合、まずはお近くの「よろず支援拠点」や「地域プラットフォーム」にご相談ください。

これらの支援機関で相談対応を行い、経営課題の整理・抽出を行った上で、当該支援機関では対応困難な課題について専門家への派遣申請が行われ、個々の課題に応じた専門家が派遣されます。
たとえば、販路を開拓したいという課題なら、バイヤーや製品パッケージやロゴをデザインするデザイナーなどの専門家が派遣されます。また、経営革新や人手不足対策には社会保険労務士などが相談に乗ります。
派遣が実施される際には、「よろず支援拠点」や「地域プラットフォーム」の担当者が、原則として同行します。

なお、ミラサポ専門家派遣を利用する際、ミラサポの会員登録と企業情報登録が必要となります。

企業情報登録については、「設定」にある「企業ID登録・連結」を押下し、自社の企業IDがすでに登録されているかどうか検索してください。
検索しても自社の企業IDが見つからなかった場合は、新規登録を行ってください。

(2)支援機関から適切な専門家が派遣される

ミラサポ専門家派遣では、1回の派遣につき専門家が支援を実施できる時間は最大6時間までとしています。また、1年度当たり3回までの利用が可能であるため、1回の派遣で課題が解決しない場合や新たな課題について支援を受けたい場合などは、再度派遣を利用することも可能です。また、事業継承に係る課題については、解決に十分な時間が必要なため、5回までの利用が認められています。さらに、2019年度は、ITを活用した経営力強化に関する課題についても、5回まで増加することが決定しています。

注意点として、事業者から専門家の指名および派遣申請をすることはできません。
専門家派遣は、企業が抱えている経営課題をよろず援拠点や地域プラットフォームによる相談で抽出し、それに基づく申請により、課題解決に適した専門家を選定して派遣しています。
また、相談やアドバイスによる支援が派遣対象であり、ホームページの作成や借入申請書の作成、就業規則の作成など、事業者の業務を代わりに行うことを目的とするものは派遣の対象とはならないため、ご注意ください。

派遣が終了したら、中小企業はミラサポ上で専門家の支援業務に関する従事証明入力、および派遣された専門家の評価入力が必要です。支援終了後に、入力用のURLを記載したメールが送られてきます。また、年1回の満足度調査アンケートが実施されますので、こちらにもご協力ください。

専門家派遣の魅力とは

ミラサポ専門家派遣の魅力は、無料で利用できることです。
経営課題はあっても、その解決にどれだけの費用が必要かを専門家ではない経営者が判断するのは困難です。相談して課題を明らかにし、対策をアドバイスしてくれるミラサポ専門家派遣を利用することで、課題解決の道筋とその実現性を把握し、なすべき方策の提案までをコスト負担なしで得ることが可能です。
また、回数も1年度あたり3回利用することができ、相談内容によっては5回まで利用できます。
他の専門家派遣制度では、一部自己負担が必要であったり、派遣対象地域が限定されていたりする場合もありますが、ミラサポ専門家派遣においては、様々な知見を有する8,000人以上の専門家の中から、適切な専門家を無料で全国各地に派遣してもらえます。

ミラサポ専門家派遣を利用する中小企業の成果事例

無料で専門家のアドバイスを受けることができるミラサポ専門家派遣を活用して課題解決に取り組んだ中小企業を2社紹介します。

事例1 現場の生産性向上のために自律的な5S活動サイクル確立を支援

千歳金属有限会社の専門家派遣活用事例

千歳金属有限会社の専門家派遣活用事例
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千歳金属有限会社は、1958年に東京都で創業し、1984年に福島県鏡石町に工場を建設した、従業員14名の板金加工業です。同社は生産性の向上について課題だと感じており、公益財団法人福島県産業振興センターのふくしま中小企業支援プラットフォームに相談しました。
同支援機関の担当職員が、同社に対してヒアリングと工場視察を実施したところ、現場におけるさまざまなムダやロスが判明しました。そこで、製造業への5S活動やQCD改善の指導実績が豊富な専門家に依頼しました。

初めに、5Sの基本的な知識と活動方法の指導および工場内での整理・整頓・清掃の実践から開始しました。具体的には、不要物の撤去や定期清掃の実施、床にラインマーカーを引いて通路と作業場の区分などを実施。
また、工具・消耗品などの種類が多いため、3定(定品・定位置・定量)の指導を受けた他、自発的に5S活動のPDCAサイクルを回すための仕掛けとして、毎月、改善箇所を定めて、期限と担当者を決めて改善に取り組むようにしました。

結果、多くのムダやロスが減少して生産効率が上がり、営業戦略との相乗効果で売上総利益率が5%増加しました。また、清潔感のあるきれいな職場環境になったことで、顧客からの評価も高まり、安全面での効果や、従業員の意識向上による職場定着率の向上などの効果も実感できています。

事例2 新卒社員採用のための就業規則整備と休日カレンダー作成を支援

有限会社高木建設の専門家派遣活用事例

有限会社高木建設の専門家派遣活用事例
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岡山県高梁市で木造・鉄筋住宅の新築・増改築などを手掛ける有限会社高木建設は、創業1972年、従業員7名の地域密着型建築会社です。
同社では社員の高齢化に伴い、優れた技術の継承と今後の経営を検討するために新卒社員を採用し、企業の中心となる人材を育成したいと考えていました。

「働き方改革」などワークライフバランスの見直しが問題となっている中で、自社の新卒社員を受け入れる際の注意点と、それに伴う就業規則の見直しを図るため、岡山県商工会連合会/備北商工会の岡山県経営支援プラットフォームに相談。同支援機関の担当職員がヒアリングを実施し、雇用や労務関係の支援実績が豊富な専門家に依頼しました。

当該専門家の支援により、就業規則を現在の法令に合った内容に改定し、労働時間や休日数の見直しを図るなど改善策を実施。また、若手社員にとっては、休日をカレンダーで指定された方が仕事とプライベートの区別がハッキリし家族にも喜ばれることから、「年間休日カレンダー」を作成しました。繁忙期などを十分考慮したうえで、業務に支障をきたすことなく、社員も休日を満喫できるような取組となりました。
社内の労働条件を整備することは、企業の強みとなり、新卒募集にあたり、学校の就職担当者にも十分アピールできる成果と考えられています。

上記の2社以外にも、さまざまな企業が専門家派遣を活用して、成果を得ています。

担当者からのメッセージ

2019年度のミラサポ専門家派遣は、4月開始を予定しています。

これまで、1年度あたりに利用できる専門家派遣は原則3回まで(事業承継に係る課題については、1年度当たり5回まで)でしたが、2019年度は、IT を活用した経営力強化に係る課題についても、1年度当たり5回まで利用できるようになりました。

中小企業庁経営支援部経営支援課 大浜賢勇支援体制専門官

中小企業庁経営支援部経営支援課
大浜賢勇支援体制専門官

また、働き方改革に係る制度改正により、中小企業・小規模事業者はより一層の業務見直しが迫られることから、人手不足対策や生産性向上などの様々な課題に対応できるよう支援体制を強化していきます。
中小企業経営の上でお悩みのことがございましたら、ぜひお近くのよろず支援拠点や地域プラットフォームにご相談いただき、ミラサポ専門家派遣をご活用ください。




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