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経営指導員の方へ具体的な支援方法具体的な支援方法

より少ない労力と資金力で目標に向かうために「事業計画策定」を

藤尾 政明

日々経営指導員のみなさんは、さまざまな相談を受けていると思います。相談を受けるとアドバイスしなくては、何か指導しなくてはと意識が行きがちですが、まずは相談者の状況を理解・把握するためにも、じっくりと話を聞きましょう。そして、何をすべきかを整理するために、一緒に事業計画を書いてみましょう。

小規模事業者のみなさんに事業計画の策定を提案しても、必要性を理解していただくのは、難しいことだと思います。一番の近道は、計画書の仕組みを事業者の方に知ってもらうことです。
・現状を把握して
・現状を踏まえた目標を立てて
・目標を達成するために、必要な取り組みを考える
この3つだけを、やればよいということをお伝えしましょう。

部署が多数ある大企業の事業計画書は電話帳のようになってしまいますが、小規模事業者ならば、3枚程度にまとまるものです。
持続化補助金に応募する場合には、申請書が事業計画書となります。採択された計画書を見ると、「現状」、「目標」、「取り組み内容」の整合性(一貫性がある)が取れており、実現可能性の高い計画になっています。補助金申請に限らず、「整合性(一貫性がある)が取れた、実現可能性の高い計画」の視点を大切にしてください。

「計画書を書いたら、頭の中が整理できた」という声をよく聞きます。それは「現状が把握できて」、「目標がはっきりして」、「その目標を達成するためには何をすべきかがはっきりした」ということです。当然、事業計画を書いただけで、事業がうまく行くことはありません。しかし、それに近づけていこうと努力をし始めます。また、計画に沿って取り組むことで、より少ない労力と資金力で、無駄を省いて目標に向かっていくことができます。 目標を達成するために、できるだけ無駄な「戦(いくさ)」を省略することを考える。これが戦略です。計画を立てることが「戦略」になるのです。

藤尾 政明

「戦略」は難しくない!事例を示せば理解もしやすい

「経営力向上計画」は、事業計画をさらにシンプルにしたものです。
・現状を『認識』する
・現状を踏まえた『指標』(目標)を選ぶ(業種に応じて予め示されている中から選ぶ)
・その目標を達成するための『指針』(方針)も事業分野別に定められている中から選べばよい
実質2枚の用紙にまとめ提出し、内容が妥当であれば所轄の大臣に認定してもらえます。認定を受けると、固定資産税の軽減、補助金審査での優遇措置もあります。
この事業の目的は、「経営力=稼ぐ力」と位置付け、中小・小規模事業者等に「稼ぐ力」をつけていただき、GDPつまり国の「富」を増やすことです。

「稼ぐ力」をつけるために売上げを上げたいと思っても、具体的にどう行動したらいいかわからない事業者も多くいます。
「売上」は「客単価×客数」で成り立っています。
その上で取るべき戦略は4つのいずれかが考えられます。
・客単価向上に取り組む → 高いものを買ってもらう or 買い上げ点数を増やす
・客数増に取り組む → 新規顧客を獲得する or 既存顧客の来店頻度を増やす
経営指導員なら、相談者の状況からどの戦略が効果があるかわかると思います。選択肢を絞りアドバイスを行うと、それならばやってみようと思い始めるものです。

例えば、婦人服のお店でも、男性用Tシャツお店に置くと、一緒に売れることはよくあります。他には、トレイを大きくしただけでパンの売上が上がったパン屋さんもいます。双方ともこのような取り組みで、客単価が上がりました。他業種でもよいので、このように取り組みやすい、わかりやすい事例を示してあげましょう。大切なことは、「戦略とは難しいことでなく、こんな簡単なことでよいのだ!」と、実感してもらうことです。

事業を続けるために「儲け=適正利益」を得なければならない

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小規模事業者の中には「たくさん儲けることは悪」と思っている方もいます。しかし、いい仕事をしていても適切に儲けていなければ、事業を続けられなくなる日が来ます。
日本は20年来「安く売る努力」をしてきました。そして経済が行き詰まったわけです。これからは「高く売る努力」をしなくてはなりません。事業を続けていくため、やりたいことをやるためにも、「儲け=適正利益」を取るように伝えましょう。商品に「付加価値」をつけて高く売り、儲けを得ることは従業員の生活を守り、地域を支え、自己実現していくために必要なことなのです。

「付加価値」とは、少し高く売る努力をすることです。3本のグラフがありますが、真ん中の「経費節約」は、青色の部分を縮めて、「手元に残る儲け」(グラフの①部分)を増やす方法ですが、その余地はそれほど大きくありません。一番右のグラフのように「付加価値」(グラフの②部分)を儲けに上乗せし、もし1割高く売ることができれば、手元に残る儲けは1割増えるのではなく、2倍になるのです。少しでも高く売る努力を、事業者と一緒に取り組んでください。

「小規模事業者 ハンドブック」には、焼き肉屋のランチ新メニューで、器を丼からお重に変更しただけで、原価、手間に変化なく、1つ300円の儲けを増加させた付加価値の事例も載せています。「こんなことに価値があるのか?」と思ってしまうことも、経営指導員のみなさんが「価値がある!」と伝え、背中を押していきましょう。

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経営指導員の「横のつながり」を大切に

藤尾 政明

研修などで多くの経営指導員と出会う機会があると思います。ぜひ、指導員同士で交流をしてください。よい事例は共有して、自分の地域に持ち帰り、日々の活動に活かしてください。
また、これまでに対処したことがない事案で悩んだ時に、相談をできる・連絡をできる経営指導員がいれば、自身にキャリアがないとしても、最善のアドバイスができます。

「小規模事業者 ハンドブック」には、支援の具体的な手法や、テクニック、事例など、みなさまの業務に役立つ情報が詰まっています。学んでいただき、小規模事業者を安心させられる、頼られる経営指導員になっていただきたいと思います。

藤尾 政明

藤尾コンサルティングオフィス
有限会社藤尾酒店 代表取締役
藤尾 政明(ふじお・まさあき)

商工会・商工会議所の経営指導員の方々を対象とする「小規模事業者支援研修」の事業計画の策定支援の進め方講座担当講師。立命館大学経営学部卒業後、地元の信用金庫に勤務。その後、家業である酒販店に従事し、現在も代表取締役として経営実務にも携わっている。
・姫路市商工会商業部会 副会長
・ソムリエ・きき酒師
○兵庫県香寺町商工会(現姫路市商工会)青年部時代、主張発表大会で全国優勝(2002年)




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