公的機関の歩き方

中小事業者の組合設立をサポート

Vol.14 中小企業団体中央会

中小企業団体中央会

第14回は「中小企業団体中央会」の歩き方をお届けします。
中小企業団体中央会は、中小企業の振興発展を図るため、中小企業の連携・組織化を推進・支援していく支援機関です。47都道府県に設置された都道府県中小企業団体中央会と全国中小企業団体中央会により構成されています。その全国中小企業団体中央会に、支援の概要や利用の仕方を伺いました。

組合等連携組織の設立の相談から各種助成事業まで幅広く支援

中小企業団体中央会の構成図

中小企業団体中央会の構成図

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中小企業団体中央会(以下「中央会」と言う。)は、「中小企業等協同組合法」および「中小企業団体の組織に関する法律」に基づいて設立された支援機関です。

中小企業は、規模が小さいがゆえに、経営資源が不足し、経営基盤が安定していません。また、取引の面でも不利な立場に立たされるなど、多くの問題を抱えています。しかし、そのような中小企業でも、力を結集し、お互いが経営資源を補うことによって、経営上抱えているさまざまな問題を解決しようとする組織が組合です。

組合は、その強固な連携による共同事業を推進することによって、中小企業の経済的地位の向上を図っていくことにあります。中央会には、組合に加えて一般社団法人、LLPやLLCなどの連携組織(以下「組合等」と言う。)など、2万8,342の会員組織が加入し、全国381万の中小企業のうち232万の事業者が所属しています。全国津々浦々の中小企業を最も網羅した中小企業団体と言えるでしょう。

47都道府県の中央会はこちら

組合を設立するには、まず、組合員になろうとする者が設立発起人(通常4人以上)となり、設立認可申請に必要な添付書類を作成して所管の行政庁に設立の認可申請を提出します。そして、認可、設立登記をもって成立となります。現在までにさまざまな組合が設立されており、機械金属部品やメッキなどの製造業関連がかなりの割合を占める一方、俳優や声優、最近では、漫画家・シナリオライターやネイルメーキャップアーティストなどフリーランスや個性的なサービス関連業の組合も設立されています。

中央会では、組合の設立後の適正かつ円滑な運営も含めて幅広い相談に応じています。また、以下のような事業によって中小企業と組合等を支援しています。

組合等の設立・運営に関する相談・支援
●一般社団法人、LLP、LLC等組合以外の連携組織の組成支援
●個人・小規模事業者の組織化促進
中小企業の経営・労務・経理税務・法律等の相談
●金融支援 [商工組合中央金庫の融資(中央会推薦貸付制度)]

さらに中央会では、組合等のために以下のような各種助成事業を通じた支援を行っています。

・中小企業活路開拓調査・実現化事業(研修、展示会、ビジョン調査・実現化、情報ネットワークシステム構築など)

・ものづくり等支援事業

・相談支援事業(会計相談窓口事業、個別専門指導事業・組合コンサルタント指導事業、消費税軽減税率対策窓口相談等事業など)

各種助成事業はこちら

組合の設立で中小企業にさまざまなメリットがもたらされる

組合を設立することで中小企業には、主に以下のような事業実施上のさまざまなメリットがもたらされます。

【共同生産加工事業】

個々の企業では所有できないような高額・先端的な機械設備などの物的生産施設を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工し、組合員に供給する事業。これにより原価の引下げ、安全規格の統一、品質の向上、設備や業務の効率化、省力化など物的生産性の向上が可能となります。

【共同購入事業】

組合員が必要とする資材等を、組合がまとめて購入して組合員に供給する事業。これにより、仕入先等との交渉力が強化され、仕入れ価格の引下げ、代金決済などの取引条件の改善、ロットの確保、購入品の規格・品質の均一化等が図られます。

【共同販売事業】

組合員が製造した製品等を、組合がまとめて販売等を行う事業。これにより販売価格や決済条件などの取引条件が有利になるほか、大口需要先への対応や新販路の拡大等が図れます。

【人材養成事業】

組合が、組合員とその後継者、組合員企業の従業員などを対象として実施する人材育成事業。人材は、企業経営の根幹をなすものであり、業界における次世代の技術・技能の向上を目指し、従業員等の意欲の向上が図られます。

組合の事業の種類はこちら

中小企業は、規模が小さいことにより経営上さまざまな制約があり、個々の企業努力では解決困難な場合が多々あります。そこで、組合を設立して中央会の会員になることで、中央会の指導員が日常的に組織活動のお手伝いをするほか、国や自治体等の支援策を活用した経営力向上をお手伝いしていますので、ぜひ組合を設立することをお勧めします。

組合の取り組み事例

働く場の創出による地域活性化に取り組んだり、人材の確保・育成に取り組んだりすることで、事業の成長を図ろうとする事例を紹介します。

(1)町の活性化、高齢者の働き場所の実現を目指す

「伊豆松崎であい村蔵ら」の店内では、手づくりの装飾品を展示・販売

「伊豆松崎であい村蔵ら」の店内では、
手づくりの装飾品を展示・販売

2013年に設立した「企業組合であい村蔵ら」(静岡県賀茂郡松崎町)は、高齢者の働き場所と憩いの場を確保するため、古民家を活用して、「伊豆松崎であい村蔵ら」を開業しました。主な事業は「カフェと軽食の運営」と「手芸品や装飾品の製作」であり、組合員が自らの技能や経験を持ち寄り、地元の食材を使ったワンコイン以内の食事の提供、および手づくり装飾品の展示・販売を行っています。また、小物づくり体験教室も開催し、高齢者がいきいき活躍できる場所づくり、1人暮らしの人や高齢者が気軽に遊びに立ち寄り、喫茶ができる居場所づくりを目指しています。

当初は、2010年に設立した任意団体として事業を始めましたが、活動実績による事業拡大に伴い、企業組合を設立しました。組合としたことで、金融機関との取引でも信用力が増し、また、組合員も自ら出資していることから、自分の組合という自覚が芽生え、従来よりも業務に励むようになりました。

平均年齢が73歳の組合ですが、地場産品を活かした和菓子・洋菓子、茶などを提供することで、町のアンテナショップとして町起こしの手伝いと高齢者の居場所づくりを目指していきます。

(2)共同で人材の確保・育成に取り組む

成功事例・失敗事例も載る「営業ハンドブック」

成功事例・失敗事例も載る
「営業ハンドブック」

1982年に設立の「東日本リースキン協同組合」は、清掃用品のリース・販売を事業とする個人事業者の組合です。組合設立のきっかけは、事業資金の調達に四苦八苦していた個人事業者に対して、組合の信用力で転貸事業を行うことでした。

現在でも転貸事業は続けていますが、近年は、人材の確保・育成事業に力を入れています。全組合員が、清掃用品のリース会社の代理店ですが、商品知識や営業スキルなどを教育するにも、1社での取組みには限界があります。そこで、「営業ハンドブック」を作成し、組合がサポートしています。ハンドブックには、営業トークや商品の推進ポイントだけでなく、成功事例、失敗事例も載せています。成功事例や失敗事例が自社外に出て、他の組合員が読むことができるのも、組合だからこその取り組みです。

近年は、個人家庭を訪問するリース事業の特性を活かし、「高齢者見守りネットワーク」に積極的に協力し、5つの自治体と協定を締結するなど、社会的課題への取り組みにも進んで参加しています。

組合の設立についてどんなことでもご相談ください

現在、年間400ほどの新しい組合が誕生しています。新たなビジネスを始めようとする際には、任意グループでスタートするケースも多いと思います。スタートアップ時はそれでもいい場合がありますが、ビジネスの発展段階に応じて、法人格を取得して事業を長期的に継続していくのに適した事業体を提案しています。

また、ひと口に組合と言っても、前述の事例にあるように、事業協同組合や企業組合などいくつかの種類があります。どんな組織を組成することが効果的かなど含め、幅広いご相談に応じていますので、ぜひ身近な都道府県中央会にご連絡ください。

インタビューをした人

事務局次長
総務企画部長
及川勝さん

及川勝さん

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