公的機関の歩き方

経営者との対話を重視する「手づくり融資」により企業成長をサポートする、日本政策金融公庫

Vol.1-2日本政策金融公庫
中小企業事業本部 新事業室 堀川有一新事業・ベンチャー推進課長

「日本政策金融公庫」(略称:日本公庫)のご紹介、第2弾。
中小企業支援の中で、近年取り組みを強化している、新事業・ベンチャー支援についてお話します。

他機関と連携したベンチャー支援に注力!

「中小企業事業」が取り組む新事業育成のなかで、特に力を入れているのが、ものづくり(テクノロジー)系のベンチャー企業支援です。ものづくり系のベンチャー企業は成長に時間がかかるため、短期間で成長が見込めるIT企業などに比べて、ベンチャーキャピタルなどから資金提供を受けるのは難しい面があります。そうした民間機関からの資金提供が難しいベンチャー企業に対し、リスクマネーを提供することに力を入れています。

新事業・ベンチャー支援の専門部署として、新事業室を設置したのは、IPOが活性化する前の平成24年4月です。当時、株価は8,000円台に下がり、優れた技術を有するベンチャー企業であっても資金調達がなかなかできない状況にありました。このような環境下で、日本公庫はいち早く、ベンチャー企業を支援する体制を整備しました。
ベンチャー企業の事業ステージは、4段階(シード、アーリー、エクスパンション、レーター)に分けられます。そのうち、アーリーからエクスパンションの初期~いわゆる「死の谷」~は、民間金融機関などから融資を得ることは難しいと言われています。新事業室では、この事業ステージにいるベンチャー企業向けに融資を行い、ベンチャー企業の事業展開をサポートしています。

なお、小口の資金ニーズに対しては、アーリー以前の段階から「国民生活事業」でご相談を承っていますので、事業ステージに合わせてご利用ください。

新事業・ベンチャー支援融資額は、平成25年度 過去最高

ベンチャー企業及び中小企業者の新事業展開支援の融資制度には、「新事業育成資金」があります。自社に基礎技術をお持ちで、製品開発が終了して販売見通しが立ち、これから事業を拡大していきたいという中小企業・ベンチャー企業の方に、ご利用いただけます。融資件数は、平成22年度から年間600社以上で推移しており、平成25年度の融資金額は、平成12年の制度創設以来、過去最高額となりました。

「新事業育成資金」にはいくつか資金供給手法がありますが、特徴的なものに「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)【新事業型】があります。無担保・無保証人で融資を受けられ、本制度による借入金は民間金融機関から自己資本と見なされるなど、ベンチャー企業などが利用しやすい制度設計になっています。こちらも平成25年度の融資社数、金額はともに過去最高となりました。

融資条件などの詳細は、ホームページ上でご覧いただけますが、その他にも複数の支援内容がありますので、まずは窓口にご相談ください。

新事業育成資金についてはこちら
挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)【新事業型】についてはこちら

経営者との対話に時間をかけ、融資を手づくり

融資を行う際は、ベンチャー企業の事業ステージを見極めて適切な融資制度のご提案をしています。融資をするということは、借り手であるベンチャー企業の負債を増加させることでもあり、借入れに適した事業ステージではないと、かえってベンチャー企業の倒産リスクを高めてしまう可能性もあります。
新事業室では、事業計画のブラッシュアップのご支援も力を入れており、ベンチャー企業に合った資金調達方法のご提案の他、事業計画の内容、書き方についてアドバイスを行っています。

新事業・ベンチャー支援で心がけていることが、1社1社、経営者のお話をお聞きし、事業内容を正確に理解したうえで、融資手続を行っていく、いわば手づくりで融資を行っていくということです。ご相談いただいたベンチャー企業にお話をうかがい、その新事業の内容を理解することに努めます。販売予定先に直接ヒアリングさせてもらう場合もあります。1社、1社、手づくりで融資を検討していくため、時間がかかりますが、ベンチャー企業の優れた技術をきちんと評価することが必要であると考えています。

事例を参考に、融資のご検討を

ご紹介した融資の一部については、活用事例をホームページに掲載しています。融資を受けられたことがない方もいらっしゃると思いますので、利用をご検討の際は参考にしていただければと思います。

融資事例はこちら

融資後も経営をサポート

日本公庫では融資後に経営課題を解決するための支援も行っています。
その1つが、販売先のマッチングです。マッチングサービスとして、年1回「全国ビジネス商談会」を行っており、平成25年度(平成26年2月)は全国各地の多種多様なお取引先751社にご参加いただきました。また、小規模なところでは半年に1回、ベンチャー経営者が一同に会し意見交換をする「アントレプレナーの会」も実施しています。

その他、中小企業経営に関するノウハウや全国約5万社のお取引先の情報を管理する独自システムを活用した3つの顧客支援サービス(①企業診断、②SWOT分析、③経営に役立つ情報のご提供)を行っています。詳細は、窓口でお問い合わせください。

顧客支援サービスについてはこちら
経営に役立つ情報についてはこちら

ご相談は、お気軽にお電話または支店窓口で!

ご相談は、事業資金相談ダイヤルまたは全国の対象支店窓口にて承っています。
事業資金相談ダイヤルは0120-154-505(行こうよ!公庫!)です。受付時間は、平日9時から19時までです。全国の対象支店窓口は日本公庫HPにてご案内しています。お気軽にご相談ください!

世の中にないビジネスには、ないなりの理由が存在します。新しい事業を始めるには、そうした障壁を破るだけの力を持っていることが必要不可欠です。ベンチャー企業の場合は、実績の代わりに、経営者の方が並々ならない情熱と適切な収益感覚をお持ちであることが重要だと思います。
我こそはという中小企業・小規模事業者の方と一緒に、新しい事業を前へ前へと進めていければと思います。

日本公庫の店舗案内はこちら

(写真左:国民生活事業本部 創業支援部 ベンチャー支援グループ 永沼グループリーダー、
  中央:中小企業事業本部 新事業室 堀川新事業・ベンチャー推進課長、
   右:広報部 広報課 赤星課長代理)

インタビューをした人

堀川 有一さん

最近、嬉しかったことや挑戦していることは?
融資したベンチャー企業のお客さん(経営者)から、感謝の言葉をいただけたり、融資後1年経ってあの時の融資があったから事業が上手くいったと仰っていただけることは何にもかえがたい喜びですね。仕事を忘れて個人的に嬉しくなります。

日々、ポジティブな経営者にお会いするので、この仕事をしてからは、ポジティブ思考を心がけています。ベンチャー支援では上手くいかないときも多々ありますが、そんな時もネガティブ思考にならず「陽はまた昇る」の気持ちで前向きに取り組んでいます。

Profile