公的機関の歩き方

商店街活性化の取組をサポート

Vol.15 都道府県商店街振興組合連合会

都道府県商店街振興組合連合会

第15回は「都道府県商店街振興組合連合会」の歩き方をお届けします。
都道府県商店街振興組合連合会は、組合員である商店街振興組合に対して、組織化や運営に係る相談・指導や研修会の実施などによる支援を行っています。
今回は、都道府県商店街振興組合連合会の活動をサポートする全国商店街振興組合連合会に、支援の概要や利用の仕方を伺いました。

商店街振興組合連合会の概要

組織体制図

組織体制図

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全国商店街振興組合連合会(以下「全振連」という。)は、「商店街振興組合法」に基づき、1968年に設立された支援機関です。全振連の支援対象者は、各都道府県に設置された都道府県商店街振興組合連合会(以下「県振連」という。)です。
 全振連の会員である県振連の支援対象者は、都道府県内の中小の小売商業者・サービス業を中心に組織される商店街振興組合です。
 県振連の組合員である商店街振興組合には、全国で約9万店舗が所属しています。

全振連は、県振連に対して情報提供や能力向上支援などを行っています。具体的には、会員に向けた情報誌「商店街PLAZA」の作成・配布や組織および運営の指導、役員・職員に対する講習会・研修会、補助金制度の実施などを行っています。
 県振連は、商店街振興組合に対して、情報提供や役員・職員に対する講習会・研修会、補助金制度の実施などを行っているほか、イベント補助事業など、それぞれ地域の実情に合わせた支援事業を展開しています。
 商店街振興組合は、「商店街振興組合法」に基づき組織化された、商店街の法人組織です。組合員同士が共同してアーケードや街路灯、防犯カメラの設置などの「ハード整備事業」や中元・年末の売出し、イベントなどの「ソフト事業」を行うとともに、地域文化の継承や高齢者・子育て支援など、地域コミュニティの担い手として公共の福祉の増進に寄与しています。

商店街振興組合の大きな特徴は、中小企業団体中央会の支援対象である「事業協同組合」と違い、中小の小売商業者だけでなく、商店街のある区域の大型店や銀行なども組合員に加えることができる点です。そのため、エリア全体を対象とした事業活動ができるほか、地域関係者が参加することで、スムーズに事業を進めることができます。
 その他に、商店街振興組合として法人化することで、以下のようなメリットがあります。

(1)信用力が高まります
法律に基づく法人であるために、組合員の権利義務が明確になります。また、それにより、第三者に対する信用力が高まり金融機関からの融資、国や自治体の各種振興策が受けやすくなります。

(2)情報収集・情報交換が図れます
地域に合わせた事業や商店街の抱える諸問題に対する相談・指導などの支援を受けることができます。また、全振連より、県振連を通じて、全国的な情報も入手できます。

任意の組織と比べて、上記のような効果を得ることができます。

組合員になることで幅広い支援を受けることが可能に

県振連では、組合員である商店街振興組合に対して、さまざまな支援を行っています。
「商店街振興組合法」第19条によると、具体的には以下の(1)から(11)の支援事業が規定されています。

(1)会員たる組合の組織及び事業の指導及び連絡

(2)販売、購買、保管、運送、検査その他連合会を直接又は間接に構成する者(以下「所属員」という。)の事業に関する共同事業

(3)所属員のためにする商品券の発行、信用購入あっせんその他販売方法に関する共同事業

(4)会員に対する資金の貸付け(手形の割引を含む。)及び会員のためにするその借入れ

(5)会員たる商店街振興組合の組合員の事業についての企業診断

(6)所属員及びその従業員の福利厚生に関する事業

(7)(1)の事業に該当するものを除き、所属員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供に関する事業

(8)会員が行う販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の事業に関する共同事業の指導

(9)会員たる商店街振興組合の組合員の従業員の集団的雇入れ及びその従業員に係る賃金、労働時間、宿舎等の労働条件の改善に関する事業

(10)会員の意見を総合して、これを公表し、又は国会、行政庁等に具申し、若しくは建議すること

(11)前各号の事業に附帯する事業

県振連は、上記の規定により、商店街振興組合の役員や職員、組合員に対して商店街活動・商店街振興組合の組織化および運営などに係る指導・相談・支援や、商店街近代化の推進や商店街振興組合の組織化および運営指導に必要な知識の習得のための研修会・講習会の実施を行っています。また、情報誌の作成・配布なども行っています。
 上記の他にも、人材養成を目的とした研修会を開催したり、補助金制度やイベント補助事業を設けたりして商店街振興組合の皆さまを支援しています。

商店街振興組合の設立要件や手順を解説

商店街振興組合設立のステップ

商店街振興組合設立のステップ

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県振連から支援を受けるためには、新たに商店街振興組合を設立し、組合員になる必要があります。
 組合設立の要件は以下のとおりです。
(1)市(都の区を含む。)の区域に属する地域であること
(2)小売商業又はサービス業を営む者30人以上が近接して商店街の形成していること
(3)他の商店街振興組合の地区と重複しないこと
(4)組合員たる資格を有する者の3分の2以上が組合員となり、かつ総組合員の2分の1以上が小売商業又はサービス業を営む者であること

組合を設立するには、図「商店街振興組合設立のステップ」のとおり、以下のような手順が必要となります。

(1)準備段階
 はじめに準備段階として、設立にあたっての合意形成、設立する組合の地区設定、有資格者と加入者数の推定などを行う必要があります。

(2)発起人の選定
 正式に発起人を選び、発起人会を開催する必要があります。発起人は7人以上を選定し、発起人の中から発起人代表を選びます。

(3)創立総会開催から設立認可まで
 総会の準備、創立総会の公告、創立総会の開催通知などを行い、創立総会を開催します。発起人が運営を担います。創立総会にて設立決定後、認可申請書や定款などの書類を都道府県知事(または市長)に提出し、認可申請を行います。

(4)設立の認可
 設立が認可され発起人から理事への事務引き継ぎが完了したら、出資引受書に基づいて設立同意者に出資の払込請求、設立登記を行います。

(5)事業開始手続き
 商店街振興組合が設立した後、事業を開始するにあたって、法人設立届出書や法人事業開始申告書などの届出を行います。組合員の中に大企業が1社以上含まれている場合、公正取引委員会に手続きに関する書類を提出する必要があります。

組合の設立事業には専門的な知識も必要となりますが、県振連から情報提供やアドバイスなど十分な支援を受けながら設立の準備を行うことができます。

詳しくは以下のホームページをご覧ください。

商店街振興組合設立の手順はこちらから

地域の商店街振興組合連合会による支援事例

地域に根差す商店街は、地域経済のみならず地域社会の活性化に無くてはならない存在です。一方で、急速に進む高齢社会や大型ショッピングモールの進出、人口減少などにより、多くの商店街が厳しい状況となっています。
 このような課題を抱える商店街に対し、地域の商店街振興組合連合会はさまざまな支援を実施しています。今回は、「地域商店街活性化事業(にぎわい補助金)」を活用し、成果を得た商店街とその事例について紹介します。

(1)老若男女から障がい者の方まで対象とした「人に優しい商店街」を確立

山下商店街の取組をあらわす「やさしいマーク」

山下商店街の取組をあらわす「やさしいマーク」
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東京都世田谷区にある山下商店街振興組合は、福祉・健康の視点を取り入れた取組を行っており、2019年には「保健医療福祉サービス拠点」の開設が予定されています。
 当商店街は、「人に優しいユニバーサルデザイン型商店街」をコンセプトに、視覚障害・聴覚障害のある方、車椅子を利用している方、食事に気をつけている方および子供連れの方など、それぞれ対象者に向けて具体的な取組を展開しました。当商店街が作成した情報ガイドには、各対象者にあわせた内容を盛り込み、商店街の活動をアピール。また、ユニバーサルデザインなどに関する講習会を実施したことで、参加者が積極的に障がい者を向き合おうとする意識が高まりました。地域の人々に活動を周知する目的で作成した「やさしいマーク」シールは、各店舗のユニバーサルデザインに対する意識向上を図ることができました。
 こうした取組の結果、地域住民の健康に役立ち、安心して訪れる事ができる商店街というイメージが定着し、来街者が増加しました。また、世田谷区が実施するイベントで事例発表者に選出されるなど、商店街一丸で行った取組が評価されています。

(2)50年続く祭りを地域一丸となって運営、商店街のコミュニティを超えた事業に

一宮市 萩原商店街

一宮市 萩原商店街
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愛知県一宮市に位置する萩原商店街は、衣料品や雑貨、食料品や飲食店・サービス業などが軒を連ねる近隣型商店街です。この商店街で50年以上続く「チンドン祭り」は、商店街の店主たちが思い思いの仮装をして店の宣伝をしたり、チンドン屋に宣伝を依頼して技を競わせるなどして誕生し、毎年多くの人が訪れる大イベントです。2013年より商店街が中心となって地元の子供会、小・中学校の校長、消防団、地域づくり協議会等からなる「チンドン祭り実行委員会」を組織し、地域の人々にも参画してもらい"町を挙げてのイベント"に成長しました。また、新たな事業も展開し、祭りに「プロ部門」と「素人部門」を設け、多くの人がその腕前を披露できるような仕組みをつくったほか、高齢化社会の備えとして、消防団との連携で自動体外式除細動器(AED)の体験講習会を実施したり高齢者に配慮した休憩施設の設置に取り組むなど、祭りや他の事業で地域コミュニティなどの連携を図りました。
 この結果、幅広い世代が参加するようになったほか、さまざまなアイデアが加わり地域一体イベントの効果が高まりました。商店街が長年に亘って「チンドン祭り」を開催し、地域レベルでの活性化を図ってきたことが評価され、2007年に愛知県の「ブランド商店街」にも認定されています。

上記の商店街以外にも、補助金事業を活用し成果を得た事例を紹介しています。
 詳しくは以下のホームページをご覧ください。

平成27年度および平成28年度「地域商店街活性化事業成果事例集」はこちらから

商店街のさらなる活性化に向けて取り組んでいます

全国商店街振興組合連合会 浜野次長

全国商店街振興組合連合会 浜野次長
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商店街の活性化は、「まちづくり」につながる大きな要素の一つです。しかし、商店街だけが頑張っても「まち」の活性化及び地域の発展につながるわけではありません。商店街が地方自治体などと連携して「まち」の活性化事業に取り組む必要があります。全振連や県振連は、会員である商店街振興組合に対して、商店街のアーケードの整備や老朽化した街路灯のLEDライトへの変更、防犯カメラの設置などの支援を行ってきました。これらの取組は公共の福祉の増進にもつながっています。
 現在、商店街が抱える様々な取組課題のうちの1つとしては、インバウンド対応が挙げられます。訪日外国人が増加している中、地域の商店街では無料Wi-Fiの設置や多言語マップの作成などを行い、対応に取り組んでいます。また、免税手続き一括カウンターを設置する商店街振興組合も徐々に増えています。このように、多くの商店街はさまざまな対策やアイデアに取り組もうとしていますが、国や地方自治体からの支援施策が必要です。そのため、各地の商店街振興組合の意見要望として、全振連や県振連が国や地方自治体に働きかけていくことが重要となっています。
 現在、全振連による調査では、県振連非加盟のものも含めると商店街振興組合は全国に2,100ほど設立されており、主要都市の中心商店街の大半が県振連の会員となっています。法人組織になるメリットとしては、体外的な信用度が増し金融機関よりの融資、国や自治体の各種振興策が受けやすくなるという点、様々な情報を得ることができるという点が大きいと思います。
 これから組合員になりたい、新しい組合をつくりたいと考えている方は、ぜひ上記のようなメリットをふまえ、各地の県振連へご連絡ください。

インタビューをした人

全国商店街振興組合連合会
総務部 次長
浜野光淑さん

浜野光淑さん

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