公的機関の歩き方

中小企業のお悩み解決サポート!

Vol.17
公益財団法人全国中小企業振興機関協会

公益財団法人全国中小企業振興機関協会

第17回は「公益財団法人全国中小企業振興機関協会」の歩き方をお届けします。
公益財団法人全国中小企業振興機関協会は、47ある都道府県協会と連携し、「下請かけこみ寺」事業の実施や取引商談会の開催などにより、中小企業の取引適正化や販路開拓、経営安定化をサポートする機関です。
その公益財団法人全国中小企業振興機関協会に、支援の概要や利用の仕方を伺いました。

都道府県協会と連携し、多面的な支援を実施

(左から)全国中小企業振興機関協会 中島誠参事、山岡泰宏参事、内田透取引グループ長

(左から)全国中小企業振興機関協会 中島誠参事、
山岡泰宏参事、内田透取引グループ長

公益財団法人全国中小企業振興機関協会(以下「全国協会」という。)は、下請中小企業振興法第15条に基づいて設置されており、その業務は同条によって次のとおり定められています。

(1)下請取引のあっせんを行うこと
(2)下請取引に関する苦情または紛争について相談に応じ、その解決についてあっせんまたは調停を行うこと
(3)下請中小企業の振興のために必要な調査または情報の収集もしくは提供を行うこと

「下請取引」とは、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)における「親事業者」と「下請事業者」の間の取引のことです。「親事業者」と「下請事業者」の定義は、「資本金の額又は出資の総額」と「取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託または役務提供委託)」によって条件が定められています。これら2つの条件を満たす取引に下請法が適用されます。

詳しくは、中小企業庁「下請代金支払遅延等防止法」ページをご覧ください。

全国協会は、1979年に設立された財団法人全国下請企業振興協会および財団法人全国中企業設備貸与機関協会が2006年に統合してできた財団法人全国中小企業取引振興協会を母体としています。その後、2011年に財団法人全国中小企業情報化促進センターと統合、2013年には公益財団法人となり、2018年10月1日付けでその名称を「公益財団法人全国中小企業振興機関協会」に変更して現在に至ります。

全国協会は、都道府県中小企業振興機関(以下「都道府県協会」という。)と密接に連携して、中小企業の皆さまの新たな販路開拓のための商談会の開催や、取引上のトラブルに係る相談、その他の支援事業を行っています。

都道府県協会は、中小企業を支援する各都道府県の中核機関として、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に基づき行政庁の認定を受けた公益財団法人であって、各種の中小企業支援事業を実施しています。

また、都道府県協会は、中小企業支援法に基づく「都道府県等中小企業支援センター」の指定を受け、地域の中小企業・小規模事業者の総合的な相談・支援機関としても大きな役割を果たしています。

全国の都道府県協会の一覧はこちら
公的機関の歩き方Vol.16「都道府県等中小企業支援センター」はこちら

取引適正化や販路開拓、経営安定化をサポート

全国協会が実施する主な事業は、(1)下請かけこみ寺事業、(2)下請取引適正化推進セミナー、(3)取引あっせん、(4)小規模企業者等設備貸与事業などがあります。それぞれの具体的な実施内容は、以下のとおりです。

(1)下請かけこみ寺事業

2017年度相談分類別割合

2017年度相談分類別割合
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下請取引の適正化を推進し、中小企業全体の経営基盤の底上げを図るため、中小企業庁から全国協会が受託して2008年度から実施している事業。全国協会に本部を設置し、47都道府県協会にも相談窓口を設置して、計48カ所で中小企業からの取引に関する相談を受け付けています。

相談窓口には、取引や下請法に精通した相談員を数人ずつ配置しており、相談内容の秘密は厳守します。個人事業主を含む中小企業の取引上のさまざまなお悩みに対して、親身になって伺います。業種は問いません。

対応は、相談員によるアドバイスとなりますが、内容によっては、全国に委嘱する弁護士への無料相談も行うことができます。2017年度の相談分類別割合によれば、相談内容は「代金の未払い」に関する相談が最も多く、全体の27.1%ありました(図「2017年度相談分類別割合」のとおり)。

弁護士相談の場合は、より具体的なアドバイスが受けられ、未収債権の回収に至ったケースもあります。また、中小企業の皆さまが抱える取引に係る紛争を迅速・簡便に解決するため、各都道府県に配置した調停人(弁護士)が相談者の身近なところで調停手続(ADR)を行っています。

価格交渉サポートセミナーの受講風景

価格交渉サポートセミナーの受講風景

同事業では、親事業者との価格交渉ノウハウに関して、中小企業を対象としたセミナーの開催や中小企業診断士による個別相談・現地支援を実施する「価格交渉サポート」も行っています。

「下請かけこみ寺事業」について、詳しくはこちら

(2)下請取引適正化推進セミナー

全国協会では、主に親事業者を対象とする「下請取引適正化推進セミナー」も開催しています。弁護士や経済産業省の下請代金検査官経験者が講師となり、法令遵守のために必要な知識を分かりやすく解説するセミナーです。法令の認知度合いに応じて、受講者は「基礎コース」「少人数制基礎コース」「実務者コース」の中から選択して受講でき、セミナーの中で個別質問を行うこともできます。

2018年度の「基礎コース」の開催は終了しましたが、20名を定員として個別質問をきめ細かに行う「少人数制基礎コース」の下期および、事例を交えたより実践的な内容を解説する「実務者コース」を順次、開催予定です。

「下請取引適正化推進セミナー」のお申し込みなど、詳しくはこちら

(3)取引あっせん

全国協会では、次の2つの取引あっせんに関する事業を実施しています。

a)ビジネス・マッチング・ステーション(BMS)

中小企業の皆さまの取引先の開拓や販路拡大のためのインターネットを活用したマッチングシステムで、2007年から開設しています。会員制ですが、登録料や利用料は一切かかりません。2018年6月末時点の登録企業数は、27,837件(うち発注企業7,163件、受注企業20,674件)です。

仕事を受注したい企業の皆さまは、自らの加工技術や保有設備などの情報を登録することで、今まで取引機会がなかった全国の企業と出会うチャンスが得られます。

「ビジネス・マッチング・ステーション」ページはこちら

b)広域商談会

「関東5県ビジネスマッチング商談会2018」の開催風景

「関東5県ビジネスマッチング商談会2018」
の開催風景

中小企業の販路多角化や経営安定化を支援するため、都道府県協会と連携して複数のエリアにまたがる広域的な商談会を開催しています。都道府県協会と全国協会がいずれも主催となり、2018年度は全11回の開催を予定しています。

本年度の初回として、2018年9月4日に東京ビッグサイトで「関東5県ビジネスマッチング商談会2018」を開催しました。全国から招へいした発注企業と、開催地域の受注企業とが、15分間ごとの商談を実施し、多い企業では1日に十数社の発注企業と商談できたケースもありました。

全国協会のホームページでは、全国協会が主催する商談会のほかにも、都道府県協会が開催する商談会や展示会の情報を紹介しています。

(4)小規模企業者等設備貸与事業

設備導入の支援を実施する道府県協会

設備導入の支援を実施する道府県協会
(クリックすると拡大します)

小規模企業者等の皆さまが創業や経営の革新のために必要な設備導入を支援するため、利用者の皆さまに代わって設備を購入し、割賦販売またはリースの方式で設備の貸与を行う事業です。同事業は、都道府県協会が実施し、全国協会はそのサポートを行っています。

2018年現在、国の「高度化事業」を原資として事業を実施する14機関と、県単独の予算で設備貸与事業または資金貸付事業を実施する8機関、計22の道府県協会が設備導入に関するサポートを実施しています。なお、事業を実施する道府県内に所在する小規模企業者等の皆さまが利用することができます。

対象者や利率は実施機関によって異なりますので、詳しくは図「設備導入の支援を実施する道府県協会」に記載のある実施機関にお問い合わせください。

小規模企業者等の設備導入については、他の公的機関が実施する融資制度などもありますが、この事業は他の公的資金と比べても利用のハードルは低いと思います。信用保証協会による保証は不要で、金融機関の与信限度額にも算入されませんので、設備導入の場合には同事業のご利用をお勧めします。

従来事業の専門性向上と新事業の展開

中島誠参事

中島誠参事

2018年10月1日に、旧名称から「公益財団法人全国中小企業振興機関協会」へと名称を変更しました。都道府県協会との連携強化が狙いです。

都道府県協会が行う中小企業に対する経営支援は多様化しており、都道府県協会からは従来の事業以外もサポートしてほしいという要望を頂いています。そこで、都道府県協会の業務と適合した支援を実施するため、名称と定款の変更をすることにしたのです。

2018年度中の新たな取組としては、都道府県協会と連携し、「提案型展示商談会」を開催する予定です。これは、発注企業からのニーズに対して受注企業が提案する従来型の商談会ではなく、将来的な発注ニーズにつながるような受注企業による技術シーズを全国から集め、発注企業に出向いて、その技術や製品を提案する方式です。従来の広域商談会とは一味違った事業を、今年度から展開する予定です。

さらに、研修など人材育成の面では、都道府県協会から要望が強かった事項である初任者向けの職員研修を、カリキュラムを変えて実施しました。今後ともより身につく研修を実施し、職員の資質向上を図る予定です。

将来的には、主力事業以外のサポートも充実させていきたいと考えています。都道府県協会は、「都道府県等中小企業支援センター」の指定を受け、地域企業の経営支援の中核を担っていることから、全国協会も専門的な知識を身につけ、都道府県協会にアドバイスをできるようにしたいと考えています。

全国協会が関わった支援事例を紹介

全国協会および都道府県協会が関わった支援事例を紹介します。「下請かけこみ寺事業」を活用した事例と、BMSからの取引成約に至った事例を以下にそれぞれ紹介します。

事例1 発注後の代金減額に対する交渉アドバイスを実施

個人事業主であるAさんは、運送会社B(資本金2,000万円)から配送業務を請け負い、発注金額をあらかじめ決めて契約しました。配送を完了しましたが、Bからは「運ぶべき荷物が減少したため発注金額を減じる」と一方的に言われ、減額した代金が支払われました。

Aさんから相談を受けた「下請かけこみ寺」は、下請法の適用要件である親事業者と下請事業者の資本金の額および取引の内容(役務提供委託)から下請法が適用されることを確認した上で、下請法第4条で禁止されている「下請代金の減額」に当たる恐れがあると判断し、「親事業者は、発注時に決定した下請代金を『下請事業者の責に帰すべき理由』がないにも関わらず発注後に減額すると下請法違反となる」ことをAさんに伝え、それを踏まえてBと話し合うことを助言しました。

Aさんが、助言を踏まえBと交渉したところ、減じた代金の支払いに応じました。

事例2 BMSを活用して、新規取引先との商談を成約

同社の5軸マシニングセンタによる加工

同社の5軸マシニングセンタによる加工

工作機械や半導体装置の金属部品加工を行う有限会社阿部製作所(埼玉県入間郡三芳町、資本金300万円)は、新たな取引先の開拓のため、BMSや商談会で発注先を探したところ、その中に自社が受注できそうな企業が見つかりました。その後、同社から発注企業へ、商談を進めるため面談の申し入れをしたことが契機となって、発注企業の担当者2名が同社を訪問しました。

訪問当日、発注企業の担当者は、工場内にある機械設備などの保有状況をつぶさに確認しました。当社にとっても、先方に訪問してもらったことで、受注内容の細かいところまで直接聞いて確認することができたと言います。

商談が成約に至った理由について、同社代表取締役の阿部浩司さんは、「先方の担当者が訪問したことによって、発注企業のニーズと当社の保有設備がマッチしていたことを理解してもらえました」と語ります。

全国の中小企業の皆さまへのメッセージ

取引のお悩みは、「下請かけこみ寺」へ!

山岡泰宏参事

山岡泰宏参事

全国に相談窓口があるので、取引に関するお悩みがあれば、何でも相談してください。最寄の「下請かけこみ寺」につながるフリーダイヤル(TEL:0120-418-618)を設置しているので、まずは電話でお問い合わせください。また、価格交渉のノウハウを解説するセミナーを全国で開催しています。2018年度は1月まで開催する予定で、最新情報は次のページに随時掲載するのでぜひご参加いただき、取引先との交渉の参考として役立ててください。

「価格交渉サポートセミナー」について、詳しくはこちら

お近くの商談会にぜひご参加ください!

内田透取引グループ長

内田透取引グループ長

広域商談会に参加された受発注企業の皆さまからは、その成果について好意的な意見を頂いています。「平成29年度取引の実態ならびに広域商談会の成果等に関する調査結果」によると、「広域商談会参加による効果」の項目で、2017年度に広域商談会に参加した受注企業の6割を超える方が「自社のPR」や「市場情報の収集」で効果があったと回答しました。同様に発注企業も効果を実感している結果が得られており、受発注企業の皆さまは、ぜひ機会を捉えて広域商談会に参加し、さまざまな効果を得ていただきたいと思います。

なお、2018年度に開催する広域商談会は募集を終了してしまいましたが、来年度の募集の際はホームページを随時更新しますので、ご確認ください。

「商談会・展示会」ページはこちら

インタビューをした人

取引グループ長
内田透さん

内田透さん

設備貸与グループ・施策情報提供グループ 参事
中島誠さん

中島誠さん

下請かけこみ寺本部 参事
山岡泰宏さん

山岡泰宏さん

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