公的機関の歩き方

シーズ発掘から実用化支援まで中堅・中小・ベンチャー企業の技術開発をサポート
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

Vol.3-2新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
イノベーション推進部 佐藤 允昭さん
           伊吹 信一郎さん

第3回は「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」(通称:NEDO)の歩き方をお届けします。NEDOは経済産業省と共に、「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術力の強化」というミッションに取り組む国立研究開発法人です。
後編は中堅・中小・ベンチャー企業へのサポート事業について、お伝えいたします。

革新的技術はいろんなところに眠っている!

「私たちイノベーション推進部では、新技術発掘(シーズ発掘)から、起業活動、中堅・中小・ベンチャー企業の皆さんの実用化開発、事業化に至るまで、さまざまなフェーズでの支援を行っています。

革新的技術はいろんなところに眠っており、その種を見つける機能をもつ取り組みが「シーズ発掘」フェーズでの支援です。
このフェーズでは、2030年以降に実用化するであろう、新規性、独創性、革新性のある有望な技術の種を発掘し、将来のナショナルプロジェクトにつなげることを目的に、産学連携体制で先導研究を行う、「エネルギー・環境新技術先導プログラム」を実施しています。
昨年度(平成26年度)の公募では、172件の応募があり、36件を採択しました。倍率は約5倍と厳しいのですが、上限1億円(NEDO負担率100%)を原則1年間の研究に活用することができます。審査は、技術の新規性・革新性、NEDOのミッションであるエネルギー・地球環境問題の解決につながるか、実現する体制は備えているかなど、複数の観点から行っています。
採択後は関連する複数の研究開発テーマを束ねた「プログラム」を設定し、プログラムを最適化させるために「プログラムマネージャー」を配置します。将来のナショナルプロジェクト化を目指し、産学連携の体制で、1年間先導研究に取り組むことが特徴です。
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カタライザーなどが伴走する、ビジネスプラン作成支援が充実

続いて、これから研究開発型ベンチャーを起業しようと考えているみなさまへの「起業家支援」です。
主な事業の1つ目は「ビジネスプラン研修」です。昨年度から本格的に始めた新しい取り組みで、技術シーズをもとに起業を目指す国内の大学・企業の研究者のみなさまを対象に、ビジネスプラン研修とそのプランを発表するピッチイベントを実施しています。
ベンチャーキャピタルや先輩起業家などビジネスのプロたちにメンターになってもらい、彼らのサポートを受けながらビジネスプランを作成します。研究をしている技術はどこに市場があるのか、誰がターゲットであるのかなど、約半年間メンターの指摘・指導を受けながら考えぬき、ビジネスプランのブラッシュアップを行います。考えるべき視点が開発とビジネスでは異なるため、自分の技術の素晴らしさのみならず、いかに素晴らしいビジネスにするのかを考える機会となります。
半年の間も途中で選抜をかけて選定を行っていき、ファイナリストには京都や米国でのピッチイベントの機会が与えられる仕組みです。大企業やベンチャーキャピタルなどの投資家にも会場へ来てもらい、マッチングを図るなど、技術の面白さもさることながら、ビジネスとしても面白い発表会であったと感じています。
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2つ目は、起業家候補(スタートアップイノベーター)に対して、開発など活動にかかる資金(上限3,000万円程度/年)と専門家(カタライザー)による助言機会の提供を行う事業です。起業家やベンチャーキャピタリストなど起業のプロにカタライザーをお願いしており、スタートアップイノベーターにビジネスプランの助言などをしていただいています。
こちらも昨年度から開始し、420件ものご応募をいただきました。その中から14件を採択したのですが、残念ながら採択には至らなかった案件も含め、日本には多くの素晴らしいシーズがあることがわかりました。今年度は、9月18日より公募を開始しております。
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「起業家支援」の3つ目は今年度から開始した事業で、NEDOが公募し認定したベンチャーキャピタルから一定以上の出資がなされるシード期の研究開発型ベンチャー(STS)に対し、研究開発やビジネスプラン作成に必要な費用が助成されるというものです。
STSをNEDOが直接支援するのみならず、ベンチャーに対する投資を活性化し、エコシステムの強化につながればと思い、このような取り組みを始めました。認定するベンチャーキャピタルは国内にとどまらず、海外の企業・グループも認定をしています。海外からも投資を呼び込めればと思っています。
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研究開発の「死の谷」を乗り超えろ!

続いて、研究開発の実施に当たり、例えばリソース不足に陥るなどの障壁、いわゆる「死の谷」を乗り超えていただき、事業化フェーズへ橋渡しをするための「実用化開発支援」です。NEDOはこのフェーズに位置する助成事業を、15年以上前から実施しています。

1つ目は、今年度から開始した「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」です。NEDOが認定した、革新的な技術を実用化させる機能を持った公的研究機関・大学である「橋渡し研究機関」と、中堅・中小・ベンチャー企業が共同で実用化開発を行うことに支援をするものです。中堅・中小・ベンチャー企業の技術力の向上と、橋渡し研究機関の機能強化を目的として実施している事業です。
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2つ目も、今年度から開始した「革新的ものづくり産業創出連携促進事業」です。中小企業庁が所管するいわゆる「サポイン事業」で、このうちNEDOでは、国が指定する事業テーマに沿って開発を行っていただく「プロジェクト委託型」を中小企業庁から委託を受けて実施しています。橋渡し研究機関との共同開発でやっていただくという点では、1つ目の「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」にスキームは似ていますが、国が指定するテーマに沿い、政策課題の解決につながるような開発を行っていただくという点で異なっています。
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3つ目は「新エネルギーベンチャー技術革新事業」です。再生可能エネルギー分野での実用化に向けた研究開発を行う中堅・中小・ベンチャー企業に対して、「FS(※)」、「基盤研究」、「実用化研究開発」という、研究開発の進捗に応じた3つのフェーズで支援を行います。対象範囲は、太陽光発電、バイオマス、燃料電池・蓄電池、風力発電・その他未利用エネルギーと、非常に幅広く設定しています。次のフェーズへ進んでいただく際には、ステージゲート審査を受けていただくこととなっており、成果の達成度を確認するとともに、案件の選択と集中を図っていることが特徴の1つです。また、途中のフェーズからご応募いただくことも可能です。
※フィージビリティスタディ:事業可能性の検証
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4つ目は「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」です。現行の「省エネルギー技術戦略」で掲げられた重要技術について、事業化を目指した研究開発を、「インキュベーション研究開発」、「実用化開発」、「実証開発」の3つのフェーズで支援する事業です。事業化された際の省エネ効果量なども踏まえて審査を行うことが特徴の1つです。中堅・中小・ベンチャー企業に限った事業ではありませんが、対象の技術分野も幅広いことからぜひチャレンジしてほしい事業です。
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5つ目は「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」です。高齢者、心身障がい者及び介護者の生活の質を向上させることを目的に、福祉用具の実用化開発を支援する事業です。福祉用具はターゲットや用途が決まっている分、「その人のために作る」という強い思いがあるので、採択者の半分以上が実用化を達成しています。
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市場進出への最後の一押し!

最後に「事業化・マッチング支援」です。助成事業が終わった後も、ビジネスでの成功に向けて、しっかりサポートしていきます。

このフェーズでの取り組みの1つ目は「助言プログラム」です。「起業家支援」でもご紹介した他に約30名いるカタライザーの中から、ご相談されたい方をご指名いただき、ビジネスプランや経営に関する助言を受けていただける取組です。例えば、どういう市場を狙うべきか、自分が開発した成果のどこが不足しているのか、量産に向けてどのように課題解決すべきか、ベンチャーキャピタルへのアプローチ方法など、内容は多岐にわたっており、様々な知見や専門性を持ったカタライザーから助言を受けていただくことが可能です。経営などで悩みを抱えているが、そもそも誰に相談をしていいのかわからない、というお話も伺いますので、そのようなみなさまにはぜひ、活用していただきたいです。
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2つ目は「ビジネスマッチング」です。NEDO主催で「イノベーション・ジャパン」「新エネルギーベンチャー技術革新事業ビジネスマッチング会」を開催して商談の場をご提供している他、外部の商談会へNEDOが支援した企業をご紹介する取り組みも行っています。
イノベーション・ジャパン2015はこちら

3つ目は「サンプルマッチング」です。NEDO事業の成果を活用して作成されたサンプルの情報をNEDOのウェブサイトでご紹介し、そのサンプルを使いたい外部のユーザ企業とのマッチングをアレンジする取り組みです。現在127件のサンプルが掲載されています。
また、サンプル作成の費用のニーズも高いことから、今年度よりサンプル作成のための助成事業を開始する予定でおりますので、決まり次第ウェブサイトなどでお知らせをしてまいります。
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4つ目は一昨年度から始めた「特許マッチング」です。NEDO事業で企業・大学等が取得した特許のうち第三者利用許諾意思のあるものについて、外部技術の活用を求める中小・ベンチャー企業にご紹介し、マッチングを図る取り組みです。現在、NEDOの拠点がある川崎市と連携して実施しており、川崎市に所在する中小・ベンチャー企業のみなさま向けに先行的に実施していますが、今後この取り組みを他の自治体にも展開していきたいと考えております。

5つ目は「金融マッチング」です。例えば、株式会社産業革新機構(INCJ)から出資を受けた研究開発型ベンチャーのうち34%がNEDO事業に参画されていたことがわかり、ベンチャー支援においてより一層連携するためINCJと相互協力協定を締結しました。私たちが技術開発の内容や成果等を紹介し、INCJは出資や助言・情報提供を行うスキームです。この連携によりNEDO支援先への出資が増え、さらに事業化の実現へつながればと思っています。

最後に2015年2月に立ち上げた「オープンイノベーション協議会」です。オープンイノベーションに関する知見・ノウハウの共有を図ると共に、その取り組みを産業界に広げるための場として設立しました。現在、民間事業者16社を幹事メンバーとし、企業会員・賛助会員あわせて347団体に加入いただいております。オープンイノベーションのマインド形成にとどまらず、具体的な成果事例を生み出していけるよう、様々な活動を行っていく予定ですし、費用負担や面倒な手続きもありませんので、ぜひともご加入いただければと思います。
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どんなことでもご相談ください!

私たちNEDOイノベーション推進部では、技術を実用化するための支援を行っています。
単なる研究開発のみならず、どう実用化させるのか、どのようなビジネスプランを考えているのか、といった視点を重視し、様々なサポートを用意しています。まずは、私たちNEDOでも様々な取り組みを行っていることを知っていただきたいと思いますし、どんなご相談もお受けしたいと思いますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

中堅・中小・ベンチャー企業の方で、この事業について聞きたい、このような事業はないかといったご相談事項がございましたら、ぜひ直接イノベーション推進部へご連絡ください。
044-520-5171(イノベーション推進部)

また、何を支援してもらえるのか、どの段階のサポートが適しているのか判断がつかない方も、たくさんいらっしゃると思います。そのような方はNEDOお客様デスクという問い合わせ窓口を設けていますので、まずはこちらまでお問い合わせください。
0800-8888-400(フリーコール)
【受付時間】平日10:00~12:00、13:00~17:00(年末年始を除く)
*フリーコールがご利用いただけない場合は、044-520-5207(有料)をご利用ください。

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(写真左:イノベーション推進部 伊吹さん、中央左:イノベーション推進部 佐藤さん、中央右:広報部 鈴木智子さん、右:広報部 鈴木敦之さん)

インタビューをした人

佐藤 允昭さん

最近、楽しかったことは?
先月、同期がオーストラリアの大学に留学しているので、冬のオーストラリア、シドニーとメルボルンへふらりと行ってきました。寒い、雨の中でしたが、とても楽しかったですね。山の中の国立公園へ行ったのですが、朝起きて扉をガチャっと開けるとエミューがそこら中に...。目が合い、そのまま閉めました。さらに朝飯を食べているとカンガルーがガラス越しに。また、目が合いました...。エミューとカンガルーが喧嘩し始める光景には、さすがにびっくりしました。

伊吹 信一郎さん

ご出身地の紹介をしてくださいますか?
滋賀県出身で、京都で学生をやっていました。滋賀県のおすすめスポットは琵琶湖博物館です。ざっくりというと水族館なんですけど...。琵琶湖は結構独特な固有種として、ビワコオオナマズとか、琵琶湖にしかいないフナ(ニゴロブナ)もいて、行くと意外と面白いのでぜひ行ってほしいですね!

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