プロジェクト進捗レポート

Report Vol.16「グッド・ビジネス・ニッポン」事例発表会 開催!

動き始めた新ビジネス!
3プロジェクトの取組みをご紹介!!

グッド・ビジネス・ニッポン 事例発表会
-大企業、中堅・中小企業、小規模事業者の
パートナーシップから生まれる新ビジネスの創造-

実施概要

「グッド・ビジネス・ニッポン -大企業、中堅・中小企業、小規模事業者のパートナーシップから生まれる新ビジネスの創造-」と題し、本事業の中間報告を「伸び盛り企業会議2016 ~中堅・中小企業の生産性向上について考える~」内で行いました。

日時:2016年2月12日(金)14:00~15:00 場所:日経ホール

コーディネーターとして清須美 匡洋氏(九州大学大学院 教授)、横田 浩一氏(横田アソシエイツ 代表取締役/慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任教授)に登壇いただき、本事業の取組みの説明や成果について、お話しいただきました。
続いて、EVスマートモビリティ・プロジェクト、Peace Kitchen プロジェクト、JAPAN VALUE モノづくりカタログプロジェクトの3プロジェクトで生まれたパートナーシップが、ビジネス化に向けてどのような取り組みを行っているのか、現状のご報告をいたしました。

取り組み事例報告

EVスマートモビリティ・プロジェクト

株式会社JTBコーポレートセールス
霞が関第一事業部 企画課 黒岩 隆之氏
コガソフトウェア株式会社 営業部 藤田 芳寛氏


黒岩氏:このプロジェクトは事業というより、仕組み作りを行っています。今回グッド・ビジネス・ニッポンで募集を行った「EVスマートモビリティ・プロジェクト」は、その中から電気自動車の利用促進を観光の中でできないかとの取り組みです。定住人口が減る中で、交流人口で担保する取り組みの仕組みづくりを行いたいと思っています。
今回パートナーとなっていただいたコガソフトウェアさんは、地域でこのインフラを有効に広げる仕組みとなりうるデマンド交通システムを開発されています。私たちJTBは充電器を貸し出しているだけで、技術を持っているわけではありません。自社だけでビジネスを広げていくのは限界があります。そこで、グッド・ビジネス・ニッポンに参画し、このような技術のある会社に出会うことができました。

藤田氏:弊社では「孝行デマンドバス」というオンデマンド交通システムを提供しています。オンデマンド交通とは利用者のニーズに応じてドアツードアの移動を実現する乗合型の新しい公共交通サービスです。公共バスの経済性とタクシーの利便性を備えたサービスを実現できます。
「EVスマートモビリティ・プロジェクト」に応募をしたのは、このオンデマンド交通の仕組みをEVモビリティに活用することで、地域の有効な観光資源に連れていく、新しい展開が考えられたからです。特にこれから外国人の観光客には喜ばれるのではないかと考えています。免許いらず、駐車場いらずで、乗合いのため車両の削減もできます。事前予約を行い、無料で送迎してもらえるのであれば、需要は大いにあると考えています。

横田氏:地方は車がないと全く移動ができません。今回のパートナーシップは、地方創生の文脈でも、DMO(地域全体の観光マネジメントを一本化する、着地型観光のプラットフォーム組織)の視点でも、楽しみな取り組みです。

清須美氏:地方における第三のインフラとして、とてもよい取り組みだと思います。課題としては、行政なりが新しい形でサポートをしていかないと、実現は難しいと思います。今後の展開を期待しています。

EVモビリティとオンデマンドで第3のインフラを

Peace Kitchen プロジェクト

Peace Kitchen プロジェクト

Peace Kitchen共同代表 古田 秘馬氏
カネサ鰹節商店 五代目 芹沢 安久氏


古田氏:Peace Kitchenでは、海外の食に精通している人に和食の情報を出していく方法で、世界に和食を広めるための活動を行っています。
今回カネサ鰹節商店と作り上げているプログラムは、訪日観光客向けに和食の理解を深めてもらうツアーです。私たちPeace Kitchenがプラットフォームとプログラムを作り、海外からの観光客にカネサ鰹節商店を訪れてもらいます。1人でも多くの人に知ってもらい、本質的に和食を理解している人が増えることが重要です。小さな一歩でも、始めることが何より大切です。

芹沢氏:私たちは明治15年から約130年、本枯れ節を作っています。和食は文化遺産になり注目されていますが、本枯れのかつお節を使って料理をしている人は、日本でもとても少ない状況です。日本だけで普及させようとしても、なかなか広がっていきません。今回Peace Kitchen プロジェクトに応募を行ったのは、この本枯れ節や伝統食である潮かつおを世界の人に知ってもらうことで、日本でも知ってもらえる機会となると思ったからです。
本枯れ節をはじめ鰹節の輸出には制限があり、現在輸出を行うことは難しい状況です。そのような状況の中で海外の方に知ってもらうには、来てもらえばよいのではないかと考えました。来てもらえれば、文化も一緒に知ってもらうことができます。そのような外国人向けのツアーをPeace Kitchenに組んでもらいました。来てもらい、食べてもらい、買ってもらえば、輸出するのと効果は変わらないのではないかと思っています。ぜひ外国人に私たちつくり手と交流しながら本枯れ節を知ってもらい、リピーターになってもらいたいと考えています。

清須美氏:多くの中小企業が、自分たちの限界を感じています。そのような中で新しい組み方で、仕組みを変えていく。外から見ると、伝統的なものも新しいものに映ることがあります。お互いにチャレンジできるパートナーシップなのではないでしょうか。

横田氏:大企業でも自社内でイノベーションを起こすことは、とても難しいです。そのような中、大企業と中小企業と組むことで、新しいイノベーションの種が生まれるのではないでしょうか。

JAPAN VALUE モノづくりカタログプロジェクト

株式会社乃村工藝社 事業統括室 加藤 悟郎氏
株式会社浄法寺漆産業 代表取締役 松沢 卓生氏


加藤氏:伝統工芸もしくは地に根付く特産品をバリューアップし、乃村工藝社の空間づくりに役立てたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。これまでも工芸品をモダンに活用した空間プロデュースで、実績を残しています。今後の取り組みとしては、社のイントラネット内にカタログを作り、パートナーになったみなさんの素材を掲載し、社内のデザイナーにスペックインを行い、実績作りを行っていきます。
私たちができることは販路を作ることだけです。デザインをし管理をすることはできますが、物自体は何も持ってません。浄法寺漆産業をはじめ、今回パートナーとなったみなさんをしっかりとバックアップし、伝統工芸や特産品を日本に残していきたいと考えています。
浄法寺漆産業をパートナーに選出した理由は、素材のみならず人柄に惹かれました。漆を客観的に見ながら自身でビジネスをおこし、発展させていこうという気持ちがあり、一緒にチャレンジしてきたいと思いました。

松沢氏:岩手県庁で漆担当になったことをきっかけに、起業しました。漆の精製販売、漆器の企画販売を行っています。岩手県は日本一の漆の産地で、日本の約7割を生産しています。しかしながら、日本で流通している97%が中国産の漆で、日本国産の漆は重要文化財や、一部輪島の漆器に使われているのみで、危機的状況です。
漆は漆器のものと思われますが、塗料の一つです。いろいろな展開が可能だと思っています。今回JAPAN VALUE モノづくりカタログプロジェクトに応募をしたのは、乃村工藝社であれば、漆でさまざまな新しい展開をしてくれそうだと思ったからです。漆は岩手県ならではの素材であり、金箔を貼るためには漆が使われたり、国宝や重要文化財の修復など、重要なところでは浄法寺の漆が使われています。しかし、日本人は誰もこのことを知りません。それは悲しいことです。このプロジェクトをきっかけに、もっと浄法寺の漆を普及させていきたいと思います。

清須美氏:このプロジェクトは中小企業側のリスクを下げて、技術を理解できる乃村工藝社が、素材の良さがわかる人につなげていく取り組みです。小さな経済を続けていくための、新しいノウハウを作っていけると思います。

JAPAN VALUEモノづくりカタログプロジェクト

コーディネーター講評

コーディネーター

清須美 匡洋氏(九州大学大学院 教授)
横田 浩一氏(横田アソシエイツ 代表取締役/慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特任教授)


清須美氏:グッド・ビジネス・ニッポンが、中小企業と大企業に対して、どのような貢献ができるのかを整理しますと、1つは、良いものを売れるものとして評価ができる人が、買う必要のある人にリスクを下げてつなげることである、ということだと思います。お互いのノウハウを十分に活かし、必要な人につなげていくという仕組みが生まれました。例えば、乃村工藝社の取り組みですね。
もう1つは、業績を大きくしていくという話ではなく、小さな経済をつなげていくための新しいノウハウを作っていける取り組みでもあると感じています。パートナー同士の、オンリーワンの新しいビジネスのやり方がグッド・ビジネス・ニッポンから生まれたのではないでしょうか。結果的に大きくなるかわかりませんが、永続的に利益を出し、事業を展開していくことが、中小企業が大企業と一緒に取り組む意義でもあると思います。

横田氏:通常、中小企業と大企業のマッチングというと、展示会へ行き、名刺交換をして、そこで少し話をし、うまくいくとアポイントが取れて話が進んでいく。この流れが一般的なマッチングだと思います。
しかし、今回のグッド・ビジネス・ニッポンは大企業と中小企業がパートナーとして同列で議論しあい、共創しアイディアを出し合うことができました。大企業側にもかなりの時間を取ってもらいましたが、展示会などでのマッチングよりも、かえって効率が良かったのではないでしょうか。
その時にポイントとなるのがCSV「創造価値の共有」であります。大企業側には「うちはこういう価値で社会に貢献していくのだ」といった、明確に何をやりたいか、ビジョンがあることが重要です。そのことに対して中小企業がリソース、強みを活かし、何ができるかを提供できると、効果的なマッチングができるのではないでしょうか。
さらに、今後は1対1だけではなく複数企業が1つのプロジェクトに関わったり、地方自治体とも連携できると、オープンイノベーション型の取り組みとなり、理想的な事業に発展すると思います。