プロジェクト進捗レポート

Report Vol.18グッド・ビジネス・ニッポン最終報告-コーディネーター編

グッド・ビジネス・ニッポン
コーディネーター所感

グッド・ビジネス・ニッポンが果たした
役割と成果とは

新しい価値の創造へ向けてコーディネーターを配置

グッド・ビジネス・ニッポンでは、大企業等と中小企業・小規模事業者のマッチング確立をより高め、新しい価値を創造していくために、大企業と地域の中小企業・小規模事業者をサポートする『コーディネーター』を配置しまいた。
コーディネーターは、大企業側に中小企業・小規模事業者と継続的なパートナーシップを築くための課題抽出及びアドバイス、本プロジェクトに適した地域の中小企業・小規模事業者のリクルーティングやパートナーミーティングでのサポートなどを行っていただきました。

本レポートでは、本プロジェクトの取り組みに対する、コーディネーターとしての所感をご紹介します。

コーディネーター所感

清須美 匡洋氏(九州大学大学院 教授)
今回のグッド・ビジネス・ニッポンが果たした役割は、「中小企業のビジネス創造」に対して、大企業・中小企業が単なる今までのマッチングプロジェクトではなく、お互いの強みをパートナーに対して、どのように発揮できるか、隠れた強みを発見できるかという、新たな事業共創の取り組みです。大企業が中小企業を育てるカタチで、共に確かなメリットをつくり出すための努力や納得づくで行うための時間と手間をかけました。
大企業が持つ多量で広域な知恵、販路、ネットワーク、人材等を提供し、単なる付加価値事業ではなく、新しい具体的な事業領域創出や事業構築を行うこと、そのために限られたスケジュールの中で、お互いが納得できる時間とコミュニケーションを惜しまなかったことが、最大のメリットです。
地域における中小企業の弱点を大企業が補足・補強し、最終的に、確かなビジネスレベルにまで、引き上げ、押し上げる道筋をつけたこと、さらに、大企業ならではの視点で中小企業が気がつかなかった隠れた資源を発掘し、双方が実現可能な具体的利活用プロセスを創出したことが大きな成果であるといえます。
O2Oを可能な限り活用したコミュンケーションプロセス、多様なコミュニケーションスキルで、ビジネスモチベーションを高めていくマネジメントサポート力は秀逸だと思われます。

今後は、新たなビジネスの入口を大企業サイドのスピード、効果、さらなる市場拡大への急激な成果プロセスを求めるのではなく、お互いの歩調を合わせた新たなビジネス成果プロセス、小さな経済モデルをたくさんつくりあげるためのビジネスイノベーションサポートが重要です。
大企業が新たなCSV事業の入口として、このプロジェクトを位置づけ、中小企業が弱いIOTを活用したO2Oビジネスイノベーションを構築することが日本型アフェクティブ(感性)インダストリー4.0の入口につながるのではないでしょうか。

清須美 匡洋氏(九州大学大学院 教授)
横田 浩一氏(横田アソシエイツ 代表取締役/慶應義塾大学 特任教授)

横田 浩一氏
(横田アソシエイツ 代表取締役/慶應義塾大学 特任教授)

大企業でイノベーションが起きないといわれて久しくなります。その対処法として大企業においてM&A戦略を積極的に行っています。これによりもちろん成功する企業もありますが、トップライン(売上)を増やすことができても、ボトムライン(利益)を増やすことができる企業は多くはありません。よって、やはり企業内においてイノベーションを起こす必要がありますが、そのための人材不足や、硬直化した組織など課題は山積しています。また、中小企業側では、優れた技術やアイディアを持つところは多いのですが、大企業に対して、それらを盗まれるのではないか、あるいは大企業は所詮発注側なので、最後は料金的に厳しいことをいってくるのではないかという先入観があります。

今回、グット・ビジネス・ニッポンで行ったのは、まず「大企業と中小企業は対等なパートナーだ」という前提を示すことです。そして、大企業には未来志向の「やわらかい課題」を出してもらい、それに対して中小企業がアイディアを出すという形をとりました。イノベーションの一つとしてデザイン思考が有名ですが、その第一歩はお互い対等で、そしてお互いをよく知り、課題を共有して解決していくものでありますが、この手法の最初とよく似ています。大企業というブランドやネットワーク、ファイナンスとリソースをもつところと、小粒ながらシャープな技術やアイディアを持つ中小企業が共通の課題についてディスカッションするということは、デザイン思考の議論するメンバーの多様性の確保とマイノリティを観察するという点からも一致します。そして、なにより必要なのはお互いの信頼性の醸成です。このようなプロジェクトを通じて、大企業と中小企業が対等に話ができ、さらに数社入ればオープンイノベーションの可能性も拓けます。長い時間をかけて大企業と中小企業の信頼性を醸成することが大切で、そのためにこのようなプラットフォームを継続していくことが、中小企業支援の有効な打ち手になると確信しています。

松林 賢司氏(金沢工業大学 教授)
■オープンイノベーションからオープンイニシアティブへ
グッド・ビジネス・ニッポンはパッシブな大企業任せの、いわゆるオープンイノベーションから一歩踏み込んだ活気的な取り組みであり、ポジティブな意思を持ったオープンイニシアティブとも言えるイベントでありました。大企業と中小企業の間を取り持つ第三者が中小企業の取引喚起の意図を持って取り組んだ点に大きな意義があり、これが大きな成果に繋がったと考えています。

■オープンイニシアティブの自立には最短3年の政府の未来意思が必要
今回のコーディネーション業務を通じて中小企業が待ちの姿勢になりがちであることを再認識しましたが、その待ちを攻めに変えるには政策による未来意思が必須であると思います。前述のとおりグッド・ビジネス・ニッポンは意識改革とインフラ整備なのでハイウェイ整備、新幹線整備と同様に自立までに時間をかけた政府による支援が必要との認識です。今回の状況を分析しますと、マッチングインフラとしての認知が定着し、機能強化による自立が可能になるのに1年は短すぎ、最短3年の取り組みとして継続すべきだと思います。

松林 賢司氏(金沢工業大学教授)
古田 秘馬氏(株式会社umari 代表)

古田 秘馬氏(株式会社umari)
今回の取り組みは、従来の大企業と下請けの中小企業という上下の関係ではなく、一緒にプロジェクトに取り組むという新しい試みでありました。プロジェクトスタート当初はなかなか大企業のプロジェクトの狙いや、コラボレーションしたいポイントを理解することが難しい事業者の方も多かったと思います。
また従来のマッチング商談会の感覚で、商材の売り込みだけの事業者の方も多くみられたと思います。
書類選考での審査がどうしても最初はあるなか、書類の記載方法で自社の魅力をしっかりとアピールできていないところも多かったかと思います。
また実際に面談に進んだ事業者の中でも、大企業やソーシャルなプロジェクトを企業と組む時のプレゼンテーションとしてはまだ大企業側のポイントをうまくつけていない事業者も多かったと感じます。

一方プロジェクトを提供する企業側も、最終ジャッジがすぐにできない部分や、プロジェクトのゴールが遠かったりすることで、どのポイントで連携するかが決まりにくいことも多かったと思います。

まだまだ初めての試みに近いですが、実際に大企業と中小企業が対等に組めるスキームとしてはとても意義のある取り組みだと思います。
今後も多くの大企業がCSVという領域や、地方創生という観点でも地域や社会課題を解決するプロジェクトはどんどん増えることが予想されるため、こういう取り組みから成功事例も出てくると思われます。