パートナーシップ インタビュー

Report Vol.20EVスマートモビリティ・プロジェクト

黒岩 隆之さん・藤田 芳寛さん

強み・弱みを補完しあい、パートナーシップを築きあげる

株式会社JTBコーポレートセールス
黒岩 隆之さん
コガソフトウェア株式会社
藤田 芳寛さん

オンデマンド交通システムで、福島12市町村の域内交通を構築

※本記事は平成28年9月29日時点の取材を基に執筆・掲載しています。

【JTBコーポレートセールス 黒岩(以下 JTB 黒岩)】
グッド・ビジネス・ニッポンにエントリーいただいたコガソフトウェア株式会社をパートナー迎え、オンデマンド交通の仕組みを活かして何かできないか、思案を重ねてきました。
具体的な地域があれば展開しやすいと考えていたところ、福島県の12市町村で二次交通(拠点となる空港や鉄道の駅から学校や病院、観光地などの目的地までの交通)の手段がないと、経済産業省から相談を受けました。
*12市町村:田村市・南相馬市・川俣町・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・飯舘村

そこで、この12市町村をフィールドに、オンデマンド交通システム導入し住民のみなさんの移動・輸送手段を確保しながら、JTBのパートナーである宿泊業・サービス業等へのサポートもできないか、具体的な検討を進めているところです。


【コガソフトウェア株式会社 藤田(以下 コガソフトウェア 藤田)】
オンデマンド交通とは利用者のニーズに応じてドアツードアの移動を実現する乗合型の新しい公共交通サービスです。事前予約で効率よく様々な拠点を回ることができ、路線バスの経済性とタクシーの利便性を備えたサービスを実現できます。弊社ではサービスに必要なソフトウェアとオンデマンドサービス提供のノウハウを有しています。

今回、オンデマンド交通のシステムを活かして、避難先から自宅へ戻ったが病院をはじめとする外出先への移動手段を失ってしまった、主に高齢者の支援ができないかと思っています。


【JTB 黒岩】
三世代で暮らしていたが、避難指示解除後に自宅に戻ったのは、高齢者世代のみという家族も少なくありません。 以前は子供世代が病院の送迎、買い物などを行っていましたが、今は車を運転することができない高齢者のみで暮らしているため、生活の移動手段を失ってしまっている状況なのです。

もちろん、新しいツーリズムの仕組みは、旅館をカーシェアステーションとした取り組みだけではありません。あるローカル鉄道会社では、旅館同様、駅舎をカーシェアリングスポットとして提供する試みを検討しています。
病院や飲食店などは、基本的にはお客さまに来てもらいサービスを提供しています。送迎や宅配のための車両や人件費を企業が負担しようとすると、時間もコストも見合いません。
そこで、オンデマンド交通システムを構築し、移動・輸送の仕組みを住民や地域の企業へ提供したいと思っています。

さらに、現在は復興作業が続けられ、観光客をおもてなしできる状況ではありませんが、いずれは観光ビジネスにも力を入れていく地域だと思っています。
そのような状況となった時に、住民の皆さんために構築するオンデマンド交通システムは、観光客のみなさんにも利用してもらえると思っています。

今回の12市町村は主な東北の都市から、70・80・90Km離れている場所です。このような場所に観光客を呼び込むには、乗用車での移動を呼びかけるより仙台駅や郡山駅、福島駅までは電車や新幹線で来てもらい、そこから二次交通で移動してもらうことが有効です。特に訪日外国人をターゲットとした場合には、ほとんどの場合電車で移動しています。
ですので、観光客が拠点となる駅まで来てくれた後の域内交通手段にこのシステムを活用してもらえれば、観光による地域活性化にも寄与できると考えています。

JTBとしてファムトリップ(旅行環境事業者を対象に現地視察をしてもらうツアー)のブッキングや国内・外観光客へのPRを支援していきますが、実際にこの交通システム導入後に、車両やドライバーの手配・保管・運用は地元の企業さんに行っていただく必要があります。
現在、体制構築に向けて地元の方々と協議を続けており、来年にはスタートしたいと思っています。

さらに、南相馬市はロボット特区に指定されています。今後、最先端の企業を誘致し、自動車の自動運転やドローンの実証など活発に行われることでしょう。
そのような技術・機会を私たちが取り組んでいる事業にも活かし、オンデマンド交通で配車されたタクシーをロボットが運転していて、AR(拡張現実)で付加情報を得ながら町を周遊してもらえたらなどと、次への夢も広がっています。

JTBコーポレートセールス

得意分野を提供するだけで、話が進んでいく

コガソフトウェア株式会社 藤田

【コガソフトウェア 藤田】
今回のパートナーシップのメリットを申し上げると、新しい案件に取り組もうとするときに「JTBと一緒に事業を進めている」とお伝えすると、相手方に安心感をお持ちいただける、ということがあります。

2年前にいわき市でコンソーシアムを組み、復興支援の事業に取り組んだことがあります。その時は行政や地元企業に一つ一つ声をかけて回り、信頼してもらうまで何度も足を運び、時間もコストもかかりました。
それが今回の福島での取り組みでは、私たちが得意なソフトとオンデマンド交通のノウハウを提供するだけで話がどんどん進んでいきます。大変ありがたいと思っています。

「日本サービス大賞」を受賞した病院様とも協業させていただいているのですが、協業先が活躍されることで、私たちの販路も大きく広がっていきます。一つ優良事例ができると、大きく前進をしていきます。

JTBとは本事業の他にも話を進めていますが、すでにJTBが取り組んでいる別サービスとの連携ができないかといった提案など、黒岩さんにはいろいろと相談でき、このような関係性に感謝をしています。

    

自社にはないソリューションを提案できることは、武器となる

【JTB 黒岩】
私たちは中小企業の方々のみならず、行政や大企業とのコラボレーションを多く行っていますが、大企業の方々は中小企業を知る機会があまりないと感じています。ですので、自社では提供できないサービスやソリューションの話題が出た時に、中小企業のサービス・ソリューションをご提案すると喜ばれますし、それは私たちにとっても武器になります。コガソフトウェアの事例を知っているだけで、すぐに次の提案ができるのです。

コガソフトウェアに限らず、関係性の高い企業と一緒に、自社では持ち合わせていないハード・ソフトをどんどん活用して、よりよい事業を展開していきたいと思っています。

ナショナルパーク構想も一緒に進めていきたい事業の一つです。シェアリング・エコノミー(共有型経済)の考えが必要な事業です。いかに環境を守りながら、旅行を楽しんでもらえるかを考えたとき、宿泊は民泊やキャンプなどシェアリング、車もカーシェアが求められるでしょう。
具体的にどのようなソフト・ハードが必要かと考えていくと、JTBでは提供できるものは何もありません。パートナーの協力が不可欠です。
福島で進めているオンデマンド交通の取り組みは、乗合いで車両数を減らすことができるため環境にも優しく、ナショナルパーク構想においても有効と考えていますので、コガソフトウェアにも協力いただきたいと思っています。
*ナショナルパーク構想:豊かな自然が凝縮された「国立公園」を、世界水準の「ナショナルパーク」に生まれ変わらせる取り組み。

JTBコーポレートセールス 黒岩