海外展開

海外展開 早わかりガイド

中小企業・小規模事業者の海外展開に役立つ情報やデータをご紹介いたします。

失敗事例と対応策・ポイント ①政治・経済・社会情勢

海外展開において「政治・経済・社会情勢」に関する課題やリスクは多く聞かれます。事例に基づくチェックポイントをご紹介します。

事例1-1  国家紛争の発生

概要 親和性の高い安らかな国民性に魅力を感じ進出を決定した。ところが、宗教を背景とした国家紛争が突然発生し、一時工事が中断した。その後、紛争は地域を拡大して断続的に発生し、終結の見通しがつかなくなった現地政府・地方自治体の方針も二転三転し、工場完成に至らず撤退した。
対応策とポイント 海外においては、日本では想定できない事態が発生する可能性があります。特に、政情の不安定さや宗教対立がある場合、深刻な事態に至る可能性も低くありません。できる限り進出先国・地域の最新の政治、経済等の情勢を入手したうえで海外展開を検討すべきです。また、貿易保険の活用も検討しましょう。

事例1-2  現地政府による立ち退きの強要

概要 A国の市街地周辺に工場用地を確保し工場を設立したが、数年後、市街地が拡大し、現地政府の都市計画が変更され、工場周辺は商業用地に変わり、工場を拡張したくても、出来なくなった。さらに、現地政府から立ち退きの圧力をかけられるようになった。
対応策とポイント 海外においては、当該国の政策変更等により、立ち退きを迫られたり、土地が政府に収用されることがあります。その際、十分な補償金を受けられなかったり、補償金を得るための交渉に相当な時間を必要とする場合があります。専門家に相談するとともに、生産停止、休業期間中の業務を日本本社または他社に請け負わせることも検討しておきましょう。

事例1-3  環境規制の強化

概要 A国において、進出先の条例改定によって、メッキ加工後の工業排水を、決められた業者を通じて排水しなければならなくなり、年々汚水処理費が上昇したためコストが増加してしまった。さらには、当該処理業者の処理の不備などによってクレームを受けることがあることから、自社工場内に専用処理設備を導入することとなり、進出時には予定していなかった追加設備投資が必要となってしまった。
対応策とポイント 先進国だけでなく発展途上国でも、環境・省エネ規制の整備、運用を強化する方向にあり、突然の規制変更や、急激な取り締まりの強化も少なくありません。知らぬ間に、自社が環境・省エネ規制に違反する可能性もあることから、日頃から環境関連の規制やその適用状況に係る正確な情報収集を行うことが不可欠です。急な規制強化に備えた投資計画も想定しておくことも必要となります。

事例1-4  人件費の高騰

概要 労働デモが発生し、労働組合の要求を受け入れ、派遣社員の一部を正社員化したこと等で、年間で1億円のコスト増となった。当社は部品メーカーであり、客先である自動車、二輪車のセットメーカーはコスト増を価格転嫁することが可能だが、サプライヤーはなかなかそうもいかない。利益が吹っ飛び赤字転落の可能性もある。
対応策とポイント 新興国の経済発展に伴う人件費の高騰は進出企業にとって深刻な問題ですが、部品メーカー、サプライヤーは最終製品を作っていない弱みがあり、販売価格への転嫁が難しい面があります。廉価な労働力や原材料を求めて海外進出する場合、コストの増加を見込んだ事業計画を作成し、様々なケースを想定しておくべきです。また、今回のケースでは季節工の採用、臨時工の増員などで人件費の変動化も検討すべきです。

事例1-5  幹線道路の未整備による製品の破損

概要 日本から輸出した製品(機械)を港で陸揚げし、陸路で内陸の支店に運ぶこととなった。しかし、実際に支店に届いた製品には破損が見られ使い物にならなくなっていた。
対応策とポイント 発展途上国では、インフラの整備が遅れている場合も多く、道路については幹線道路にもかかわらず、未舗装ということも珍しくありません。輸送にかかる製品の破損と時間的コスト等は事前に把握しておく必要があります。今回のケースでは、港で陸揚げした際に木枠等で固定し、それからトラックに積み込むようにするなどの方法や、この損害をカバーする陸送込みの海上保険を付保する等の方法により対処する必要があります。

事例1-6  為替に関する大損害

概要 \100/USDの時、輸出で5万ドルの成約が出来たが、3ヵ月後いよいよ船積する段になって、為替レートが\95/USDになり、5円も円高になってしまった。この場合の為替差損は、▲\250,000となり、この取引で、利益どころか、損が出た。
対応策とポイント 為替差損は、輸出採算へのインパクトが非常に大きく、そのリスクを避けるためには、契約成立したら直ちに為替の先物予約を実行し、その時点の採算レートで予想利益を確定することなどを検討すべきです。なお、為替の先物予約も銀行との新たな取引となり、前もって「先物外国為替取引約定書」の締結が必要になるので、銀行との関係を築いておくことも重要です。

事例1-7  宗教に関係するストライキ

概要 朝から工場の出入口前で大勢の従業員が座り込みのストライキをしていた。すぐに労働組合の幹部を呼び状況を確認したところ、宗教上の冒涜があったとのこと。詳しく聞くと、採用面接時に女性オペレーターが、面接官のマネージャーから、ジルバブ(被面接者の女性が頭に巻くスカーフ状のもの)の着用を指摘され不採用になったことだった。このため、そのマネージャーを退職させない限り職場復帰はしないという説明であった。
対応策とポイント 宗教や政治の問題に関しては慎重に対応する必要があります。今回のケースでは、①マネージャーへ従業員の採用方針、宗教などに関する注意点を明確に伝えておく。②マネージャーの役割(組織運営、人事管理のあり方等)を継続的に指導する。③労働組合との定期会合開催により、意志疎通を図り、信頼性の向上を図る。④海外でのトラブル時の労使交渉は、日本の本社側からの一任を取り付け、従業員側に足元を見透かされないようにする。等の対策を行うことが大切です。海外進出する場合は、異文化への理解が必要であり、現地の人材を現地の総務担当者として起用する方法もあります。

事例1-8  現地の商習慣

概要 進出当初は前金100%で取引できたが、同業者の増加、価格競争の激化で、現在では、売掛金での取引に変化しつつある。A国では、代金の一部を年末にまとめて払ったり、代金の10%は保証に回し翌年に支払うなどの商習慣があり、売掛金の回収には手間がかかる。
対応策とポイント 海外では、日本と異なる商習慣があり、例えば、代金の支払い関係、在庫品の管理や不良品に関する責任、代理店契約などについて、それぞれの地域や商品分野によっても異なる商慣行がある場合があります。契約で明確化できる点、商習慣に準じていくことになる点などを意識しつつ、資金力のある代理店を確保・育成することや取引先を絞り込むことなど対策も講じていく必要があります。

事例1-9  海外現地の公務員への賄賂で逮捕

概要 ある部品製造会社のA国現地法人の役員Xは、A国税関当局から現地工場の違法操業を指摘された際、黙認してもらうなどの目的で、現地の公務員幹部に、日本円で数十万円の現金やバッグなど賄賂を贈ったとして、B県警から不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)※の疑いで逮捕された。
対応策とポイント 国によっては、公務員への賄賂だけでなく、民間企業同士のリベートのやり取り等が「商業賄賂」として処罰されることもあります。汚職行為の定義、経営者の姿勢、汚職防止方針、懲戒基準等の整備によるコンプライアンス体制の構築と社員研修の実施等による不正を行わない企業風土の醸成に向け、全社で取り組み必要があります。
※国際商取引において利益を得たり、維持するために、外国公務員に対して金銭等を渡したり申し出たりすると犯罪になります。(本人の刑事罰のほか、会社に3億円以下の罰金が科せられる可能性もあります。)

事例1-10  工場排煙に関する地域住民のデモ

概要 地域住民(約300人)が工場正門に集まり、工場からの排煙に関する抗議行動(デモ)を行った。デモ隊の代表者の話を聞いてみると、環境問題はきっかけに過ぎず、「製品屑の取り扱いに対して地元業者へ優先権を付与すること」、「雇用について地元の住民を優先すること。」であることがわかった。
対応策とポイント 工場排煙・排水などの環境対策については万全を期し、基準値以下でも外部の目に触れると抗議活動のきっかけ(口実)となり得るので特に注意が必要です。また、地域住民との的確なコミュニケーション、動向の把握を行い、経営の立場に立って毅然とした態度で交渉できる人物(現地社員)を社内に確保することが必要です。

事例1-11  出向者の生活に対する不安

概要 A国に出向するに当たって、事前の出張で無数の人々が飢餓と貧困に苦しんでいることに気付かされ、そんな底辺の社会的弱者や貧困の格差やそれを救うセーフティネットのおぼつかなさを体験すると、派遣予定者の中には出向拒否を申し出る者もいた。
対応策とポイント 派遣予定者に家族と一緒に出張して、買い物、病院、子供の学校、住居等、既に現地にいる日本人の暮らしぶり、気候など、日本人が住めるところかを肌身で体験してもらうことが必要です。また出向後は、現地にある「日本人会」等に参加することで、現地での生活に馴染みやすくなります。
  • ※「海外展開早わかりガイド」で取り上げているリスク事例については、「海外展開成功のためのリスク事例集」(平成26年3月中小企業海外展開支援関係機関連絡会議)を基にしています。海外展開に取り組んだ日本企業に起こったトラブル・失敗の「概要」及びそれに対する「対応策とポイント」をまとめたものです。
  • ※対応策とポイントは一般的なものであり、当該日本企業が実際に行ったものとは限りません。
  • ※各事例においては、輸出先または進出先の国名について特定の場合を除き「A国」と統一しています。
  • ※リスク事例の記載内容に関して生じた直接的、間接的損害については、一切の責任を負いません。

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