海外展開

海外展開 早わかりガイド

中小企業・小規模事業者の海外展開に役立つ情報やデータをご紹介いたします。

失敗事例と対応策・ポイント ③労務、社内管理

海外展開において「労務、社内管理」に関する課題やリスクは多く聞かれます。事例に基づくチェックポイントをご紹介します。

事例3-1  労働契約の不備

概要 現地法人設立を計画し、本社社長の知人であるA国人Xに現地法人の代表者就任を前提に開設準備一切を任せたが、社長はXを信用し、特に労働契約は締結しなかった。現地法人設立後もXと労働契約締結を行わなかった。しばらくしてXの経営手腕に疑問を持った本社社長はXの解雇を通告したが、Xは会社設立準備期間から1年以上経過しており無期限労働契約が成立していることを理由に解雇を拒否。本社社長もXの言い分に従わざるを得なかった。
対応策とポイント たとえ準備期間であっても、労働契約を締結しておく必要があります。まずは、弁護士等の専門家に相談しましょう。準備期間中に労働契約を直接締結することに抵抗を感じる場合は、人材派遣会社に相談する方法もあります。労働契約法のような、基本的な法律の知識は事前に入手しておく必要があります。

事例3-2  現地社員の反発

概要 日本的慣行を持ち込み、日本人幹部で完璧な労務管理を試みたが、現地社員の反発を招いた。現地人通訳を通して労働組合との対話を試みたが、ストライキを打たれてしまった。通訳は労働契約や訴訟の知識のない技術通訳だった。
対応策とポイント 進出先ごとに人々の考え方や生活慣習などは大きく異なります。海外では日本の常識が通用しないことを前提に取り組むことが求められます。労務コンサルタントや弁護士を雇うことを検討するべきでしょう。また、新興国等では転職が日常的に行われており、他社の賃金動向等にも目配りすることが必要です。

事例3-3  海外現地法人の管理手法の問題

概要 量産品のコストダウンを目的としてA国に100%子会社を設立し、信頼するA国人責任者に経営を任せていた。しかし、数年が経過しても期待したコストダウン効果がまったく発揮できなかった。そのため、外部の会計事務所に依頼して、A国子会社の財務監査を実施したところ、会計管理のずさんさが判明した。また、A国人責任者に改善を指示してきたが、まったく実現しなかったため、撤退を決定した。
対応策とポイント 現地法人の管理体制について、現地に任せきりにするのではなく、月次報告等により日本本社でしっかり把握しておくことが必要です。また、報告を受けるだけでなく、年に数回は、日本側の責任者が現地に赴き、報告結果に疑義がないかどうか確認しに行くことも大切です。

事例3-4  技術者の転職問題

概要 A国では、IT技術者の育成が市場の需要に追いついておらず、人材市場が売り手に傾倒しており、新規進出企業も多いことから、転職すれば給料があがるという構造になっている。このため、人材の採用と維持に時間とコストを費やさざるを得ない状況に陥っている。
対応策とポイント 人材の定着を図るためには、社員が納得する給与水準に加え、企業の中で技術や経営手法について学ぶ機会や能力の発揮できる場を与え、公平で透明性のある評価制度を作ることが大切です。また、実力があれば幹部に登用する会社の姿勢や、会社の将来的な発展の可能性を示すことで、従業員のモチベーションを高めることも重要です。

事例3-5  就業規則改定によるストライキ

概要 社内体制の変更のため、人事担当を兼任していた総務課長から、人事担当兼任をはずし、あらたに他の者を人事課長に任命した。また、従業員待遇を他の子会社と統一するため、有給休暇日数、賃上げ条件などの就業規則の改定案を総務課長に提示したところ、総務課長が全社員にメールで通知し、自分と同一歩調をとるように要請しストライキ状態に突入した。
対応策とポイント 特定の従業員に権限を集中することは避けるべきで、社内の監視体制の構築と、組織として会社が機能するように「就業規則」「人事管理制度」などの社内規則をしっかりと制定しておくことが大切です。また、就業規則等の改定にあたっては、事前に従業員側と協議を行う機会を設けるとともに、無用なストライキを避けるためにも普段から労使で十分なコミュニケーションを取っておく必要があります。

事例3-6  現地の文化的習慣

概要 A国の旧正月は従業員の帰省のためラインが1ヶ月止まり、帰省した従業員が戻ってこないなど、製造スケジュールや就業安定化には課題がある。
対応策とポイント 文化の違いは労務管理においても考慮する必要があります。また、同一国内でも地域的に文化が大きく異なる場合があるので、進出する国だけでなく進出する地域にどのような違いがあるのかを把握する必要があります。今回のケースでは、旧正月の期間中に売上が上らないことを年間生産計画におりこむとともに、事前F/Sで進出する地域の離職率を調査して、それを考慮した人員計画を組む必要があるでしょう。

事例3-7  現地の責任者の処遇

概要 現地採用により責任者Xを雇い、会社の経営に関する重要事項のほとんどを委任していた。当初は業績好調であったが、Xの給料はほとんど上げなかった。ここ数年は会社の業績が下がり、調査した結果、Xの友人が同じような商品を扱う会社を設立し、Xは自社の業務をその友人の会社に紹介するようになっていたことが判明。
対応策とポイント ここまで状態が悪化する前に現地責任者と十分なコミュニケーションを図り、必要であれば待遇面の改善を行い、同時に本社からの会計財務部分のチェック機能を導入するべきです。また、一人に権限を集中させすぎることも不正につながります。今回のケースでは、採用時の契約で、会社の利益に反する行動を禁止する条項を盛り込むことを考慮に入れるとともに、現地責任者が会社に魅力を感じ、誠実に勤め続けることができる仕組みやインセンティブが不可欠です。

事例3-8  駐在員の女性問題

概要 駐在員Xは、単身での赴任ということもあり、仕事後は行きつけのカラオケ店で過ごすことが多かった。そうした中でカラオケ店従業員Yと特に親密な関係となった。しばらくして、Xは転勤で帰国することとなったが、Yとの別れ話がもつれ、YはXに騙されていた、関係を強要されていたとして訴え出た。この話は現地法人内にも広がり、従業員はA国人蔑視の態度として反発する動きを見せた。最終的に、弁護士と相談し、多額の賠償金を支払うことで和解した。
対応策とポイント 駐在員は日常の行動には十分気を付ける必要があります。対応方法を間違えると、国や地域によって反日感情に触れてしまうことにもなりかねません。
  • ※「海外展開早わかりガイド」で取り上げているリスク事例については、「海外展開成功のためのリスク事例集」(平成26年3月中小企業海外展開支援関係機関連絡会議)を基にしています。海外展開に取り組んだ日本企業に起こったトラブル・失敗の「概要」及びそれに対する「対応策とポイント」をまとめたものです。
  • ※対応策とポイントは一般的なものであり、当該日本企業が実際に行ったものとは限りません。
  • ※各事例においては、輸出先または進出先の国名について特定の場合を除き「A国」と統一しています。
  • ※リスク事例の記載内容に関して生じた直接的、間接的損害については、一切の責任を負いません。

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