海外展開

海外展開 早わかりガイド

中小企業・小規模事業者の海外展開に役立つ情報やデータをご紹介いたします。

失敗事例と対応策・ポイント ④ビジネスパートナー(合弁先、取引先、コンサルタント)

海外展開において「ビジネスパートナー(合弁先、取引先、コンサルタント)」に関する課題やリスクは多く聞かれます。事例に基づくチェックポイントをご紹介します。

事例4-1    合弁先企業のチェック不足

概要 現地で販路を確保するために、地方政府から紹介された現地企業と合弁会社を設立した。この会社の社長はプレゼンテーションが上手で、市場規模や競合との優位性などを鵜呑みにしてしまい、相手方の実力チェックを怠った。いざ事業を開始してみると、営業担当者の動きが悪く、受注が思うように伸びず、在庫管理も十分できないため返品が相次いだ。その結果、現地市場からの撤退を余儀なくされた。
対応策とポイント どの企業と手を組むかは海外事業の成否に大きく関わる事項であり、相手国側の企業に丸め込まれて信用しないことが重要です。パートナー候補選定の際には、事業の状況や経営方針等をできる限り調査しておく必要があります。また、自社の都合だけでなく、相手企業にとって自社がどういう存在として見られているのかに留意することも必要です。

事例4-2    合弁先企業との意見の相違

概要 現地で自動車部品を製造するため、現地ローカル企業(X社)と合弁会社を設立した。品質向上のためのテスト機器導入を計画したものの、X社側からはNGが出た。X社側は現状維持でも需要は抱えきれないほどあるのでそれを満たす品質であれば満足という考えである。目先の利益優先で、余力のあるうちに品質を上げようとしない姿勢に不安を覚える。
対応策とポイント 合弁先として適切な相手かどうか見極めるためには、相手企業の経営管理能力や資金力、マーケティング能力等の経営力だけでなく、合弁先企業の狙いが何なのか、自社のパートナーとして目標や経営理念が共有できるか、経営者と性格が合うか等についても確認を行うことが重要です。

事例4-3    合弁契約書への解散要件の不備

概要 現地で販売代理店を折半出資(日本側企業X社50%、現地ローカル企業Y社50%)で設立したが、お互いにイニシアチブを取り合ってしまう。いずれマジョリティを取りたいが、Y社側の営業力なしにビジネスが成り立たず、対応できていない。合弁会社設立は、Y社任せでコンサルを間に入れず、合弁契約に明確な解散要件を盛り込んでいなかった。
対応策とポイント 合弁会社を設立する時には、必ず合弁契約に解散要件を明記しておきましょう。具体的な要件として、収支目標との乖離が生じた場合や一定の累積損失が発生した場合、合弁相手との紛争解決でめどが立たない場合等に撤退できるように明記しておきます。また、撤退の手順(株式売却時の評価方法、会社清算時の損失負担等)についても明記しておく必要があります。

事例4-4    コンサルへの過剰な信頼

概要 A国ビジネスに関する知見がなかったことから、現地法人設立にあたり、A国で何十年の経験を有するという日本人が在籍するコンサルティング会社に設立に係る手続を委託した。しかし、言われるがままに書類や資料を提出したところ、会社設立に長期間を要し、また辺鄙な場所に設立したばかりか、想定していた業務を行えない会社であることが分かった。その上、重要な資料が紛失されており、さらに、当初の見積もり価格の数十倍の請求がされた。
対応策とポイント コンサルティング会社の選定を誤ると想定外の時間と費用のロスを要するケースがあります。単に海外経験の長さだけで判断し、手続きを丸投げするのではなく、コンサルティング会社の実績をできるだけ目に見える形で確認することが必要です。自身でも最低限の知識や制度を理解した上で、工程のチェックを怠らないようにすることが求められます。

事例4-5    安易な独占代理店契約の締結

概要 当社のホームページを見たA国の貿易商社から取引の申込みがあり、期待を持ってA国を訪問し交渉に臨んだ。先方は、当社の製品は非常に有望なので、総代理店契約を締結し全国で販売したいといわれ、代理店契約を締結することとした。間もなくテスト販売用の注文が入り晴れて輸出を行ったが、その後本格的な引き合いが入らず何度か催促したが埒が明かない。
対応策とポイント 信用調査も行わずに安易な代理店契約を締結することは避けるべきです。財務内容は良いか、販売力はあるか、この場合、調査すれば付き合う価値のない相手とわかったはずです。一社の総代理店契約のような独占契約は非常にリスクのある契約なので、非独占ベースの契約にするか、一定の地域に絞って一般代理店契約または販売店契約を締結し、実績を見ながら実力を見極める必要があります。

事例4-6    元フランチャイジーによる競業行為

概要 ある小売業者が、A国の現地企業をフランチャイジーとして、その国で多数の店舗をチェーン展開したが、事業に対する意見が合わなくなり、フランチャイズ契約を解除して、自社の100%子会社による直接事業に切り替えようとした。しかし、契約終了時の条件が十分に決められていなかったことから、店舗のデザインやビジネスモデルの流用、賃借店舗の利用継続などを含めた契約終了後の競業行為を法的に止められず、店舗網をそのまま看板を掛け変えた競合店として展開される結果となり、その国から撤退することを余儀なくされた。
対応策とポイント 本件のようなフランチャイズにかかる契約書に限らず、技術ライセンスを伴う合弁契約等においても、競業避止義務を規定していないケースが散見されます。その場合は、撤退の際には進出国に競争相手を残すことになりかねません。契約書の作成にあたっては、いろいろなケースを想定して必要な事項について専門家に相談して確認しましょう。

事例4-7    進出先での原料の調達困難

概要 A国に進出したが国内で適切な原料を調達することができず、海外から輸入していたため価格を高めに設定せざるを得ず、売上が伸びずに苦戦した。
対応策とポイント コストの低減を目的に海外進出を実施したとしても、日本では調達できた原材料が調達できずにコストが高くなる場合があります。また、初めて取引を行う企業では、不測の事態(納期が守られない、品質が不安定、代金が支払われない等)が発生する可能性もあり、それに備えた対策をとっておくことも重要です。現地でどのような事業を行い、それには何が必要なのか、進出前に十分に調査を行いましょう。

事例4-8    日本語と現地語の二言語で作成した契約書の内容相違

概要 A国の企業との輸出契約に当たり、相手側の交渉担当者が日本語が堪能だったため交渉は日本語で行われ、契約書も日本語で作成したが、輸入許可を取るために現地語を併記した契約書を役所に提出しなければならないとの相手方の要望により、現地語を併記した。相手方からは、現地語の文章は日本語の条文の翻訳文であって、意味は同じとの説明を受けていたが、当該言語の専門家に翻訳を依頼したところ、内容が日本語の条文とは大きく異なり、相手側に有利に書かれていることが判明した。
対応策とポイント 同じ意味で作成したとしても、二言語となると必ず言語間で齟齬が発生してくるため、契約書は一つの言語(日本語か英語)で作成すべきです。本件の場合、現地の輸入許可を取るために、現地語の契約書が必要と主張されるでしょうが、その場合は相手方のリスクで翻訳し、その翻訳文には日本側は一切関与しないこととすべきです。また、2つの契約書の内容、解釈に齟齬があった場合は日本語契約書の方を優先する、といったことを「契約言語」条項の中で規定しておくべきです。

事例4-9    メールでの合意に頼った契約の不備

概要 在庫品を現状有姿という条件で格安で売ったところ、後になってから品質不良だとして代金支払いを拒否され、督促したら、かえって顧客に迷惑をかけて補償させられたのでその分の損害賠償を請求すると脅された。現状有姿という条件はメールでやり取りされた議事録に書かれてあるが、サインがないので無効だと言われた。
対応策とポイント 外国との取引では、いつもの常識が通用せず、適用される法律も外国法になることがあり、思ってもみなかった要求を受け、損失を被ってしまうことがあります。これを避けるためには、まず、適切なひな形などを使って取引の基本的なポイントを列記した契約書を交わすこと、また、現状有姿など特別に合意した条件があればそれを契約書へ適切に追記しておくことが必要です。ひな形の選択や特約の追記などで分からないことがあれば専門家に相談しましょう。

事例4-10    取引先の倒産

概要 20年以上にわたり取引を継続していた海外取引先につき、マーケット拡大による売上増となったため、売掛取引額が増加した。ところが、取引先は別に経営する不動産事業の不振により資金繰りが急激に悪化し、倒産し、売掛金が貸し倒れとなった。
対応策とポイント 海外の取引先が業務の多角化を図っている企業等である場合は、直接の取引以外の業況がわかりにくく、不測の代金不払いに至ることもあります。長年の取引のある海外取引先であっても、他事業の状況など財務全般の把握が困難な場合には、倒産リスクについてのリスクヘッジが特に重要です。

事例4-11    取引先と連絡不通

概要 A国に高級建材用木材を輸出しているが、何度目かの取引で本船が現地に到着後も一向に代金数百万円の送金がないので困っている。毎日のようにこちらから連絡を入れているが、最近居留守を使っているのかまったく連絡がとれなくなった。また契約書は締結したことがなく、相手からの注文書に基づいて船積みしていた。
対応策とポイント この様な問題が発生した場合、解決の拠りどころとなる第一義的なものが契約書ですが、契約書がなければ裁判等で戦うこともできません。大体、何度か取引して誠意あるように見せかけ安心させるのが、悪事を働く輸入業者の常とう手段です。日本人は最初から「信頼」を基本にビジネスを開始しますが、これは国際的には非常識です。国際貿易では、相手は信頼できないという前提に立って騙されない様にビジネスを組み立てる必要があります。

事例4-12    国際詐欺

概要 健康機器の販売会社が国内の展示会に初めて出展したところ、A国の企業から日本語で総額3,000万円の引き合いが来た。支払条件として、50%契約締結時、残りの50%は船積時にそれぞれ送金するというので、送られてきた契約書に署名して返送し、送金を待った。しかし、送金がないので事情を問い合わせたところ、契約書を正式なものにして政府に送金許可を申請しないと送金できないため、その弁護士費用の半額を負担して欲しいとの要求があり、弁護士からの請求書を添付した請求書が送付されてきた。
対応策とポイント 本件は、典型的な国際詐欺であり、十分注意する必要があります。サンプル代金等で数万円程度の前金は有り得るでしょうが、それ以上の前金は有り得ないとまず考えるべきです。相手からきた情報は全て疑い、裏が取れた場合のみ信用するなど、細心の注意を払うべきでしょう。
  • ※「海外展開早わかりガイド」で取り上げているリスク事例については、「海外展開成功のためのリスク事例集」(平成26年3月中小企業海外展開支援関係機関連絡会議)を基にしています。海外展開に取り組んだ日本企業に起こったトラブル・失敗の「概要」及びそれに対する「対応策とポイント」をまとめたものです。
  • ※対応策とポイントは一般的なものであり、当該日本企業が実際に行ったものとは限りません。
  • ※各事例においては、輸出先または進出先の国名について特定の場合を除き「A国」と統一しています。
  • ※リスク事例の記載内容に関して生じた直接的、間接的損害については、一切の責任を負いません。

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