事業承継

事業承継 早わかりガイド

円滑な事業承継には、しっかりした準備が重要。いざという時に困らないためにも、いまから計画的に取組みましょう。

Step2:後継者選びのポイント

後継者を決める際には、経営者として資質のある人を後継者に選ぶことが重要です。業務多忙な企業が、他の経営課題に優先して、将来の世代交代を見据えた事業承継の準備に取り組むことは、容易ではないでしょう。事業承継の準備の大部分は、経営者自身が取り組まねばならないことであり、特に、中小企業・小規模事業者に多いオーナー経営者の負担は、非常に大きいと考えられます。

しかし、準備の不足するままに、突然の事業承継を迎えれば、新たな経営者が多難な事業運営を迫られることはもちろん、廃業に追い込まれることもあり得ます。経営者は、事業承継の準備を先送りせずに、社内外の関係者や専門家、公的機関等の助力も得ながら、取り組んでいくことが求められます。

では、中小企業・小規模事業者のみなさまは後継者選びについて、どのような課題をお持ちなのでしょうか。ここでは、「2013年版 中小企業白書」のデータから、後継者選びに重要なポイントを見ていきます。

後継者候補は、親族に限らず、従業員や第三者など広く検討

中規模企業と小規模事業者ごとに、後継者決定の際に重視するポイントを見ると、小規模事業者では、「親族であること」が高いのに対し、中規模企業では「リーダーシップが優れていること」が高くなっています。
信頼できる親族に事業を託すという事業承継に加え、従業員や第三者といった親族外の優れた人物に事業承継をするのも、一つの選択肢と言えるでしょう。

規模別の後継者を決定する際に重視すること

後継者に必要な能力は、実務に加え、会社全体を統率する経営能力も

中規模企業と小規模事業者ごとに、後継者に不足している能力等を見ると、「財務・会計の知識」、「自社の事業・業界への精通」の回答割合がいずれも高くなっています。これらの知識・能力は、経営者にとって必須となるため、後継者選び・育成には欠かせないポイントと言えるでしょう。
また、小規模事業者では、経営者自身の実務能力が期待されているのに対し、中規模企業では、役員・従業員を統率して経営を方向付ける能力が、より重視されていることが分かります。規模によって、適切な後継者の特性もやや異なる点を考慮することも大切なポイントと言えるでしょう。

規模別の後継者に不足している能力等

税理士やコンサルタントなど、プロの力を活用してスムーズな事業承継を

事業承継に関する知識を備えるために、経営者が何らかの手段を活用したことがあるかを見ると、中規模企業の約3分の2、小規模事業者の5割強で、活用した手段があることが見て取れます。
具体的な手段としては、「顧問税理士等への照会」を挙げる企業が最も多く、「本・書籍」が続きます。
さらに、中規模企業では、小規模事業者よりも、「経営コンサルタント・金融機関のセミナー」と回答する割合が高くなっています。規模による差はありますが、経営者が積極的に、事業承継に関する知識の習得に努めていくことが、後継者選びにとって大切なポイントといえるでしょう。

規模別の後継者を決定する際に重視すること

社内外の関係者に理解を得ることで、後継者へのバトンタッチも円滑に

円滑な事業承継のためには、社内外の関係者から事業承継に対する理解を得ることも重要です。周囲に認められないまま、後継者に事業を引き継げば、後継者の経営主導に支障を来すことにもなりかねません。
社内外の関係者から承継への理解を得るために効果的な取組を見ると、小規模事業者では、「後継者が自社で活躍すること」が、中規模企業では、「後継者を支える組織体制を構築すること」が、最も高い割合になっています。
事業規模が大きくなるほど、経営者が独力で企業を運営することは難しくなるため、特に、中規模企業においては、後継者を支える経営幹部の養成や組織体制づくりによって、社内外の関係者から承継への理解を得ていくことが重要なポイントといえるでしょう。

規模別の後継者を決定する際に重視すること

各承継方法のメリット・デメリット

後継者選びにあたっては、関係者との意思疎通を図ることや、各承継方法のメリット・デメリットを把握することが重要です。誰に会社(経営)を承継させるかで、以下のようなメリット・デメリットがあります。

親族内承継

メリット

  • 内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。
  • 後継者を早期に決定し、長期の準備期間を確保できる。
  • 他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い。

デメリット

  • 親族内に、経営能力と意欲がある者がいるとは限らない。
  • 相続人が複数居る場合、後継者の決定・経営権の集中が困難。
事例:本多プラス株式会社

    愛知県新城市の本多プラス株式会社(従業員 198名、資本金 1億円)は、プラスチック・ブロー成形品の企画・製造・販売等を行う企業である。同社は、熱した樹脂をチューブ状に押し出して金型で挟み、圧縮空気を吹き込んで中空を形成する、ブロー成形をコア技術としている。
    同社の本多孝充社長は、大学卒業後、英国でMBAを取得し、1997年、28歳のときに、経営企画室長兼営業本部長として、同社に入社した。先代社長である本多克弘会長に経営手腕を認められ、入社4年目には専務に就任、以後経営の実権を任され、2011年に社長に就任した。本多会長は、「一代一事業であり、先代を超えることが後継者の仕事。経営は、感性や気力、体力に優れる若者の方が向いており、息子には自分の思うとおりにやって欲しかった。」と語る。

    本多プラス

    本多社長は、「他人のやらないことをやる」という同社の経営理念に基づき、ブロー成形技術の更なる可能性を追求するとともに、デザインから始まるものづくりを志向して、製品の高付加価値化を図っている。従来は、修正液のボトル等の文具製品を主力としていたが、本多社長の入社以降、化粧品容器、医薬品容器等新たな分野を開拓し、工場の新設を実現している。また、デザイン部門を設けて、デザイン力、提案力を強化したことにより、取引先の要望やニーズを的確に捉え、多様なオーダーメイド品に対応することが可能となっている。こうした本多社長の取組によって、売上、従業員数は専務就任時から現在までに約2倍になった。また、同社は、女性活用に積極的であり、女性の新卒採用や管理職昇進を増やしてきている。女性従業員比率は約5割に上っており、地域の子育て世代の女性への、就業機会の提供にも貢献しているという。

親族外承継(従業員等)

メリット

  • 親族内に後継者として適任者がいない場合でも、候補者を確保しやすい。

デメリット

  • 親族内承継と比べて、関係者から心情的に受け入れられにくい場合がある。
  • 後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い。
  • 個人債務保証の引き継ぎ等の問題。
事例:スタック電子株式会社
    スタック電子

    東京都昭島市のスタック電子株式会社(従業員55名、資本金7,000万円)は、1971年の創業以来、携帯電話基地局の通信、防災通信無線等に関連した、高周波・光伝送の技術開発に力を注いでいる研究開発型企業である。
    同社では、2011年に、創業者である田島瑞也会長から当時専務であった渡辺勝博社長に、経営が引き継がれた。田島会長は、会社を私物化せず、公私混同はしない、という方針のもとに同社を設立したことから、血縁者は採用せず、親族以外への事業承継を、創業当初から決めていた。自身が65歳で引退することを見据え、後継者を決定する前から事業承継に向けた準備を始めた。
    田島会長は、まず、人づくりが経営の基本であると考え、1982年から新卒採用を継続し、徹底した従業員教育を行ってきた。また、取引先等で経験を積んだ人材の招へいや中途採用も実施することで、組織の基盤を固め、次期社長を支える経営幹部を育成、登用してきた。
    後継者を、技術畑の渡辺社長に決めてからは、営業、製造、管理等社内の幅広い部門に配属して、経営者としての視点を養わせるとともに、取引銀行との面談に同行させるなどして、社外の関係者への周知を行った。さらに、銀行と相談して借入金の個人保証の解除も行い、渡辺社長が経営を担う上での負担を軽くすることに努めた。
    事業承継後も、田島会長は、1年間は渡辺社長と行動を共にし、経営に関する助言やサポートを行った。社内の意思決定についても、事前には関与しないものの、最終的なチェックを行うようにした。現在は、渡辺社長が経営を主導できるように、従業員の技術教育等を行い、組織の底上げを図る活動に、重点的に取り組んでいる。

親族外承継(第三者)

メリット

  • 身近に後継者として適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる。
  • 現オーナー経営者が会社売却の利益を獲得できる。

デメリット

  • 希望の条件(従業員の雇用、価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難。
事例:蒲原屋
    蒲原屋

    静岡県静岡市の蒲原屋(従業員 1名)は、豆類を中心とした乾物の食料品店を営む個人商店である。1946年創業の同店は、清水駅前銀座商店街の一角にある賃貸店舗で営業しており、店主の金子武氏は2代目である。店舗内の厨房設備を使った料理教室の開催により、20代の顧客も増えているが、顧客のほとんどは、40代以上の年配の方である。他店ではあまり見られない珍しい商品もそろえ、遠方からの来客も多い。
    現在 69歳の金子氏は、10年ほど前から事業承継を意識し始めた。金子氏には3人の娘がいるが、事業承継の意思はなかったため、取引金融機関に相談したほか、出入りの卸問屋の営業担当に事業承継を打診するなど、後継者を探してきた。実父が創業し、地域の人々の豊かな食生活に貢献している同店を、次世代に引き継ぎたいとの思いであったという。
    2012年初めに、静岡県事業引継ぎ支援センターが開設されると、静岡商工会議所職員を通じて同センターを知り、事業承継の相談に赴いた。そこで、同センターは、起業希望者と後継者難に直面する中小企業とを、結び付けることができるのではないかと考え、同店を経営したいとの熱意を持つ起業希望者を公募することとした。
    「創業・事業引継ぎ支援プロジェクト」と名付けられたこの取組では、応募者に対する店舗見学を含む説明会を開催し、同店の収支計画の策定やグループ討議を行うワークショップを実施して、半年程度を掛けて後継者候補を選考した。20人ほどから応募があり、最終的には、40代の女性が後継者に選ばれた。金子氏は、10年間は、後継者と共に店頭に立つことを考えており、最初の5年間で経営ノウハウを伝え、6年目で屋号、設備を含む事業を、無償で譲渡する予定である。後継者は、2012年12月から同店に勤務し、金子氏が不得意なインターネットでの通信販売にも取組み、将来的には法人化して、経営基盤を強化することも考えている。
    金子氏は、「経営環境が変化する中で、若い経営者が新たな取組を始めることは、新たな客層を呼び込み、事業拡大にもつながる。商店街には、後継者がいない店も多い。こうした取組が広がって世代交代が進み、商店街が活気づいてくれれば良い。」と語る。



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